AKIO HASEGAWA. HOUYHNHNM

2021.12.2 Up
CROSS TALK

長谷川昭雄 × 南貴之

Talk談話室の冬 2021(前編)
ファッションディレクター、スタイリストの長谷川昭雄が、〈グラフペーパー〉、〈フレッシュサービス〉、「ヒビヤ セントラル マーケット」などを仕掛けるクリエイティブディレクターの南貴之と、「普通」に関してのトークを繰り広げるレギュラー対談企画。「普通」に対して思い入れの深い2人による、普通なようで普通じゃないスモールトーク。半年ぶりのセッションとなりましたが、相変わらずゆるい感じでお届けです。

PROFILE

南貴之

〈グラフペーパー(Graphpaper)〉、〈フレッシュサービス(FreshService)〉、「ヒビヤ セントラル マーケット」など、様々なブランド、ショップを手がけ、ファッション、カルチャーにまつわるあらゆる領域を手がけるクリエイティブディレクター。「alpha.co.ltd」代表。

長谷川昭雄

ファッションディレクター、スタイリスト。英国の雑誌『モノクル(MONOCLE)』では創刊よりファッションページの基礎を構築。2015年にはファッションディレクターに。2012年より2018年秋まで『ポパイ』のファッションディレクターを務めた。

〈GAME SPORTSWEAR〉VARSITY JACKET ¥52,800(BLUE BLUE KANDA), 〈LOS ANGELES APPAREL + AKIO HASEGAWA + SSZ〉GARMENT DYEING TURTLE NECK SWEAT SHIRT AKIO’S OWN,GARMENT DYEING SWEAT PANTS AKIO’S OWN,〈RIVERSIDE READING CLUB+STACKS BOOKSTORE〉TOTE BAG「CARRYING TOTE BAG」AKIO’S OWN

フイナム:半年ぶりの談話室です。

南:ついに来ましたか。。

長谷川:まぁコロナも最近ようやく落ち着いてきたということで。

フイナム:はい、早速やりましょう。

VANS

〈VANS+SSZ+A.H〉CHUKKA ¥17,600(BEAMS HARAJUKU) ※販売詳細はこちら

長谷川:〈ヴァンズ〉をね、作ったの。

南:え、〈ヴァンズ〉って作れるの?

長谷川:〈SSZ〉の加藤さんとね。

南:あー、そういうことね。なんかA.Hって入ってるよ。

長谷川:そうそう。そもそもがチャッカでなんかやりませんか?っていう話だったの。俺が私物のチャッカをよくビジュアルで使ってるってことを知っててくれたみたいで。で、チャッカ好きだから是非って。まぁ本当はいろいろできるみたいだけど、やっぱ普通がいいからさ。色を決めたくらいで、自らインラインみたいなのを作ったんだ(笑)。アッパーもラインも緑にして。ずっと使える定番だよ。サイドにはナイジェル文字のイニシャル、インソールには俺の直筆のそれを入れてます。

南:前にTシャツのときにやったやつだ(笑)。

長谷川:そうそう。色はネイビーもあるんだけど、個人的にはグリーンがすごくいいなって思ってて。

南:いいね。俺も好き。

長谷川:ネイビーももちろん好きなんだけど、なんかちょっと飽きてきちゃって。

南:飽きるのね(笑)。

長谷川:だから、最近はネイビーにグリーンを混ぜるぐらいがちょうどいいかなって思ってるんだよね。

南:これ、生地は?

長谷川:スエードだね。

南:あとなんか端がほつれてるけど、そういう仕様なの?

長谷川:いや、これは撮影でスケートしてもらったらこういう風になっただけ(笑)。何百回もキックフリップやってもらったからさ。

南:そうなんだ。まぁそれ用の靴だもんね。

長谷川:いや、昔はそうだったんだろうけど、現状としては、あくまでもライフスタイル用って位置付けらしい。

南:へー、ライフスタイルってのは、ようは普段履きってことね。

長谷川:そうそう。「エアフォース1」とかと一緒なんだよね。

yahae

〈yahae〉 ORGANIC COTTON SOCKS「GARABOU ROOM SOCKS」¥3,300(YAHAE)

長谷川:で、次はこの履いてるソックスなんだけど、、、これ前にこの企画で出したかも。

フイナム:えーと、、出してますね(笑)。

南:ガラ紡?

長谷川:そうそう。奈良の靴下屋さん。すごい気に入ってて最近よく使ってたら、送ってもらったの。

南:うん、めちゃめちゃかわいいね。

長谷川:〈ウィグワム〉みたいなさ。いわゆる落ち綿を使ってて。で、ちょっと肉厚で。

南:けどさ、この靴下は出してなくない? ガラ紡の靴下は出してたけど。これは前に出してたミックスっぽいのじゃなくて、落ち綿そのままって感じだもんね。まぁとにかく靴下が好きなんだね(笑)。

フイナム:たしかにちょっと違いますね。

南:あ、やっぱり。けど、俺はちゃんとブランドとかかぶらないように、って考えて持ってきてるのに。。(笑)

長谷川:まぁいいじゃない、かぶっても(笑)。とにかく靴下は洒落てる方がいいと思うんだよね。女の人にもできれば綺麗でシンプルな靴下を履いててほしい。けど、意外とそうじゃなかったりするじゃない。

南:どんなの?

長谷川:えーと、リブの細いやつとかさ。ああいうのあんまり好きじゃないんだよね(笑)。女の人って靴下に少し無頓着なような気がする。

南:そもそも履かない人もいるもんね。ヒール履く人とかさ。

長谷川:そうかも。だからこそたまに履くと、ん?ってなるのかも(笑)。男の人でも、服がイマイチでも靴下が洒落ているといいなって思うんだよね。

フイナム:この〈ヤハエ〉の靴下は結構持ってるんですか?

長谷川:すごいたくさん持ってる。〈ウィグワム〉とか〈エルエルビーン〉とかも好きでいっぱい持ってるんだけど、こっちの方が値段もする分、かなり厚さがあって安心感がある。リブの感じもかわいいし、コットンの中では自分史上最高のソックスだよ。バスタオルとかも分厚い方が好きでさ。

南:あぁ、はいはい。

長谷川:サウナとか入っても薄いタオルだとすぐビチャビチャになっちゃうじゃない。ああいうの不安になっちゃうんだよね。分厚いのでがっしり拭いた後でも、まだビチャビチャになってないぐらいのがいい。

南:わかるわかる。とにかく、落ち綿特有のこのネップ感はいいよね。まぁ2回目の登場ですけど(笑)。

COOPERS TOWN

〈COOPERS TOWN〉 BB CAP AKIO’S OWN

長谷川:次はキャップ。俺、LAとかNYとかのキャップってかぶれないんだよね。

南:あ、俺も。

長谷川:なんか怒られちゃう気がしてさ。

南:それはないけど、俺、NYに全然関係ないよね、って思うのよ。

長谷川:そうそう。申し訳ない気持ちになってしまう。浅草育ちのやつが何がニューヨークだよ!って、自分で思っちゃうんだよね(笑)。ニューヨークにごめんなさいって。

南:(笑)。わかるわー。

長谷川:じゃぁ作ればいいのかなって思って作ってもらったの。

南:これどこのなの?

長谷川:えーとどこだっけな。〈エベッツ(フィールドフランネル)〉に帽子の作り方を教えた、、

南:〈クーパーズ(タウン)〉?

長谷川:そうそうそう!

南:これはコットン? ウール?

長谷川:コットン。これ、未洗いの状態で来たんだけど、そのままだとなんかラジオ体操のおじさんみたいな感じになるわけよ(笑)。おじさんがおじさんみたいな帽子かぶってどうするんだっていう。本物のおじさんだからさ。

南:(笑)。

長谷川:だからすごい洗って、もうちょっと状態を研究してから販売しようかなって思ってて。

南:そんなことやってるのね(笑)。そういう洗いの加工があるから、それをすれば恥ずかしくないんじゃない。あと、刺繍とか入ってないベースのサンプルを使って、薬剤使ったり、石と一緒に洗ったり、いろいろ試せると思うよ。ハードからソフトまで。で、いろいろつくったなかで、これとこれの間くらい、みたいなことができる。

長谷川:へー、そうなんだ。

南:だってさ、自分で洗って、それどうすんのよ? 長谷川昭雄加工ってこと?(笑)けど洗濯好きだからいいのか(笑)。

長谷川:そうそう(笑)。あとこれ、ツバに芯がないの。

南:ステッチだけで止めてるのかな。

長谷川:帽子ってさ、かぶらない時に行き場に困るから、これだったらポッケに入るから。

南:なるほど。あとこれ、ツバが短いのがいいね。

GINZA TANAKA

〈GINZA TANAKA〉SIGNET RING AKIO’S OWN

長谷川:このリング、実は24金なの。

南:え? ガチの? それっていわゆる金だよね。

長谷川:そう。純金。金ってさ、、価値があるんだよ。

南:なんか急にやらしい顔になったけど(笑)。

長谷川:24金のジュエリーってあんまり売ってないの。やれ10金とか18金ばっかりで。なんでかっていうと、柔らかくて加工がしにくいからなんだよね。だから限られた職人しか作れない。もちろんこういう文字入れもだし、そもそもこの形にすること自体が難しいらしくて。

南:へー、そうなんだ。

長谷川:でね、どこのブランドでもいいんだけど、仮に24金のものがあったとして、それを買取りしてもらうときに、金そのものの価値、相場だけで見られるんだって。つまりデザインには価値を見出さないということらしくて。

南:なるほど。純粋に金の値段だけで見られるんだ。

長谷川:そう。で、もちろん24金の方が高く売れるわけ。けどそもそも加工ができるところがないし、24金のものを作ってるところってどこなんだろう?って調べてたら「田中貴金属」くらいしかないの。

南:え、そうなの?

長谷川:そう。けど、そこに行く前に中古のものとかもいろいろ調べてて。御徒町とかにお店あるじゃん。

南:あぁ、あるね。

長谷川:けど、そこで見ててもさ、それが本当に24金かどうかなんてわからないじゃない。

南:疑わしいってこと?(笑)

長谷川:だってなんかわかんないじゃん。X線で検査してますってことらしいんだけど「じゃいまやってよ」っていうか(笑)。けどやってくれないから不安でさ(笑)。それでいろいろ調べてて「田中貴金属」にたどり着いたんだよね。とにかく金っていったら「田中貴金属」らしくて。

南:そうなんだ。

長谷川:それで、お店に行っていろいろ見たんだけど、どうやらそこでは金の価値にデザインの価値をそこまで載せてないで作ってるみたいで、そもそも社販もないんだって。社長すら上代で買うみたい。それくらい価値そのままで売ってるみたいで。そこでネックレスを買って、一回「AH.H」に載せたら、知り合いが「田中貴金属」のPRをやってて、今度いろいろ見に来てください、ってことで改めて行ったわけ。

南:うんうん。

長谷川:そしたらこのシグネットリングっていうリングがあって。けど、24金はなくて18金しかなかったんだけど「オーダーでお作りできますよ」って言われたから作ったの。

南:なるほど!

長谷川:形からお願いして。

南:じゃぁ、食うに困ったら売ればいいんだね(笑)。

長谷川:そうそう(笑)。

南:俺、すぐになくすから絶対だめなんだよなー。

長谷川:あとさ、最近はアルコール消毒とかしょっちゅうするじゃない。あれでツルって滑るんじゃないかって思うと、飲みに行くときとかは付けられないなって(笑)。まぁとにかく金はいいなって思ってて。

南:価値が安定してるっていうよね。

長谷川:いまどんどん上がってるよ。俺が買ったときよりも1000円(1gあたり)くらい上がってるし。その一方で、いまお買い得なのはプラチナらしいよ。けど、金は上がり続けてるの。80年代とかってみんな金のアクセサリーつけてたと思うんだけど、そのときってだいたい1000円くらいで、いまは7000円くらいするからね。

南:7倍だ。。

長谷川:だからみんな当時はつけてたみたい、安いから。いまプラチナが同じようなことになってるんだって。だから今日は南くんにプラチナを買ってもらおうと思って(笑)。

南:え、うそでしょ?(笑)

長谷川:今度「田中貴金属」行こうよ。

南:いやいや、なんかすごい接客されそうじゃん(笑)。

長谷川:メガネとかいいと思うよ。昭和天皇って金のメガネをしてたらしいんだけど、金ってわかるとあんまりよくないなということなのか、上から黒く塗装してたんだって。すごくない? 隠す美学というかさ。無地Tを着るような感じ? 洒落てる。

南:へー。あと純金って金属アレルギーが少ないんだって。あと電導率がいいみたいでオーディオのパーツとかにも使われてるよ。

長谷川:あー、あるね、たしかに。

PORTER

〈PORTER〉TANKER OFFICER KIT AKIO’S OWN,〈RESISTANT〉TITAN TOUCHLESS KEY HOLDER「SAVER」¥6,050(RESISTANT)

長谷川:最後が〈ポーター〉のこれです。キーホルダー? キーケースっていうの? 俺、鍵とかよくなくすから、もう首からそのまま下げておこうと思って。けどむき出しすぎるのもなんかなーって思ってたら、これをもらって、いざ使ってみたら意外とすごいよくて。

南:へー。

長谷川:〈エルメス〉とかにもあるじゃない。

南:うんうん、あるね。

長谷川:マルジェラの時代のさ。けど、なんか似合わなくて。我ながら〈エルメス〉って柄でもないかなって(笑)。このカジュアルさがいいなって。

フイナム:じゃあこれは売ってないんですか?

長谷川:うーん、多分。けど似たようなのはありそうだけどね。

南:その隣についてるのはなんなの?

長谷川:長谷川:これももらったんだけど、ドアノブとか開けたり、栓抜きにもなるんだよね。〈レジスタント〉のやつ。

南:へー。それ、首から下げてたら重そうだなって思って。

長谷川:いや、それが意外と平気なんだよね。なんか〈エルメス〉のやつもいいんだけどさ、どうしても〈エルメス〉!っていう感じになるじゃない。

南:わかる。。

長谷川:実は結構迷ったんだけどね。つけてみたらちょっといいかもなって思って。けど、お前が〈エルメス〉かよって自分で思っちゃって(笑)。もっと魅力的な人物にならないとダメだね。完全に物に負けて、自分が下品に見えると思う。まだまだ足りないから無理だね。100年早い。

南:難しいよね。長谷川さん、なんだかんだ言っても〈エルメス〉つけるんだ、みたいなね(笑)。

長谷川:ブランド物って持ってる人に価値がないと、負けちゃうってことだよね。価値のなさを浮き彫りにしてしまうっていうか。価値のある人物になりたいなぁ。

INFORMATION

BLUE BLUE KANDA 03-5577-7280 @blue_blue_kanda
BEAMS HARAJUKU 03-3470-3947 www.beams.co.jp
yahae yahae1921.com
RESISTANT www.resistant.jp

STAFF

Direction&Styling&Comment_Akio Hasegawa
Photo_Seishi Shirakawa
Hair_Kenichi Yaguchi
Comment_Takayuki Minami
Composition_Shigeru Nakagawa
Edit_Ryo Komuta,Shun Koda

CONTENTS

TAG SEARCH

ARCHIVES