AKIO HASEGAWA. HOUYHNHNM

2022.3.24 Up
Focus on

気になる服とか人とか。

Vol.39
GINZA TANAKA
世界情勢が不安定になると、株価が下がり、金(きん)に注目が集まる。それが世の常なのだとか。今、金の価格は一定の上昇傾向となっている。そんななか、世の中より少し早く、金に注目をしていたのが長谷川さん。24金? 資産運用? 地金? 今回はいろいろと知っておいた方がいい話。

about GINZA TANAKA

1892年に創業した貴金属の老舗。「K18」や「K24」といったゴールドの品位を示す規定を日本で初めて立案するなど、貴金属界の確立に貢献。「ゴールドを、もっと自由に。」をテーマに、ゴールドジュエリーのさらなる発展、そして啓蒙活動に尽力している。

フイナム:最近「AH.H」でちょこちょこ金、ゴールドのアイテムが登場しますよね。南さんとの対談でも出てきたし、こないだの京都編にも登場しました。

長谷川:そうだね。金(きん)はいいよ(笑)

フイナム:金といってもいろいろあると思うんですが、「AH.H」に登場するのは全部〈GINZA TANAKA〉のものです。最初に長谷川さんが買ったのが喜平ネックレスで、そこからオリジナルのリングをオーダーして、さらにこの度そのオリジナルリングを販売させてもらうことになりました。今回は〈GINZA TANAKA〉さんに制作の経緯なんかを伺えたらと思います。

ギンザタナカ: どうぞよろしくお願いします。

フイナム:今回長谷川さんと作られたのは、シグネットリングと呼ばれる形のリングです。

ギンザタナカ: シグネットには認印、印鑑という意味があって、印章や漢字などを彫刻して署名などに使用していたリングのことです。印台リングとも呼ばれています。

長谷川:そもそもシグネットリングって、世の中にそんなにたくさんないですよね。古着屋さんでヴィンテージのものがあったりしますけど。

ギンザタナカ: たしかにどのブランドでも作っているものではないかもしれません。

フイナム:〈GINZA TANAKA〉には元々3種類の形があって、それは全部18金だったんですよね。

ギンザタナカ: はい。それを今回長谷川さんのリクエストで、24金、つまり純金で作らせていただきました。

長谷川:24金って18金より色がちょっと濃いですよね。

ギンザタナカ: そうですね、山吹色といえばいいんでしょうか。金って元々こういう色なんです。そこに銀とか銅を混ぜていくと、様々な色に変化させることができます。ちなみに18金には24分の18の割合で金が含まれていて、10金、14金とかになってくると、混ぜる素材によって色目が変わってきます。

フイナム:なるほど。

ギンザタナカ: 75%が金で、銀と銅を12.5%ずつにすると、発色のいいイエローになります。この比率を5/5割といいます。

長谷川:それを今回は24金にして、さらに八角型の上下の角張りがない形をリクエストさせてもらって、六角型を作ってもらいました。

フイナム:こういう六角型は、今まで作ったことがなかったんですか?

ギンザタナカ: はい、これは完全に長谷川さんのオリジナルですね。デザインを起こしながら決めさせてもらったんですけど、腕(アーム)のところもすごく肉厚になって、ラインとかシェイプもうまく出せてよかったなって思ってます。

長谷川:たしかに。すごく綺麗ですよね。

〈GINZA TANAKA〉 K24 GOLD SIGNET RING「A.H K24 シグネットリング」¥480,000~ ※4月7日(木)発売開始。サイズによって価格が異なります、K24 GOLD KIHEI BRACELET「純金 キヘイブレスレット(6面カットダブル)40g/20cm」¥762,034 ※3月24日現在(参考価格)、K24 GOLD KIHEI NECKLECE「純金 キヘイネックレス(2面カット)25g/50cm」¥385,204 ※3月24日現在(GINZA TANAKA)

フイナム:本当だ。元々ある八角型と全然ふくらみが違いますね。長谷川さんの六角型はシャープになってます。

ギンザタナカ: そうなんです。職人に何回もサンプルを作ってもらって、かなり苦労したんですが、ようやく納得いくものができたので、今回発売させていただくことになりました。

フイナム:さらに自分のイニシャルを刻印することもできるんですよね。

長谷川:そうそう。一見するとすごく地味なんだけど、イニシャルが入るとすごくよくなるなって思って。あと今、見てて思ったんですけど、最初に作った僕の私物と、今回販売するもの、A.Hの感じが違いますよね。今回の方が彫りが深いというか。

ギンザタナカ: いただいたロゴデータが違ったので、そのせいだと思います。

長谷川:あー、なるほど。両方ともナイジェルグラフに描いてもらったんですが、僕が最初に作ったリングのA.Hと、今回販売するリングに入ってるA.Hは違うもので、新しい方はアルファベット26文字を全部書いてもらってそこから使っています。それにしてもそんな細かいところまでちゃんと表現できるんですね。そして今回の方がくっきりしてていいですね。

ギンザタナカ: ニュアンスがすごく可愛いですよね。

長谷川さんが最初にオーダーしたリング。A.Hのアルファベットの感じが微妙に違う。よーく見るとすでに少し傷が。。〈GINZA TANAKA〉 K24 GOLD KIHEI NECKLECE「純金 キヘイネックレス(2面カット)25g/50cm」¥385,204 ※3月24日現在(GINZA TANAKA)

長谷川:最初にオーダーさせてもらったリング、小銭入れに入れておいたら、ちょっと傷がついちゃったんですよね。

ギンザタナカ: 24金は柔らかいので、どうしてもそういう傷はついてしまいます。

長谷川:細かい傷とかは、磨けばいいんですか?

ギンザタナカ: いや、磨くと研磨痕ができてしまうので、やらない方がいいと思います。18金は磨くとピカピカになるんですけど、24金だけはどうにも難しくて。

フイナム:光らせるにはどうしたらいいんですか?

ギンザタナカ: いわゆる鏡面っぽく光らせるには、熟練の職人の技が必要になります。〈GINZA TANAKA〉で購入いただいた商品は店頭にお持ちいただければ、状況を見て対応いたします。

フイナム:だからみんなあんまり手を出さないんですね。

ギンザタナカ: そうですね。24金で作るなら最初からつや消しにするとか、もしくはハンマーでつぶしたような感じ、ハンマートーンっていうんですけど、そういう仕上げにしたりしますね。

長谷川:あぁ、雪平鍋みたいな(笑)。

フイナム:今回のリングは、、

ギンザタナカ: 鏡面仕上げです。

フイナム:一番お手入れが大変なやつですね(笑)。買うときにはケアのやり方も聞きたいですよね。

ギンザタナカ: はい、お伝えするようにします。

長谷川:磨いちゃう人いそうですよね。絶対磨かないでくださいって言わないと(笑)。

フイナム:18金は磨いていいんですよね?

ギンザタナカ: そうですね。それ用のクロスで磨けば、表面が綺麗に光ります。24金は一回磨いたら、ちょっと白くなってきて後戻りできなくなるでしょうね。。

長谷川:怖い(笑)。

長谷川:さっきお店の1Fで見たんですが、今日は金の価格が1g7600円くらいでした(※取材日は2月16日。記事公開日の3月24日は8374円)。金相場が変わると、価格が変わってくるアイテムもあるんですよね。

ギンザタナカ: はい。ちなみにコロナの前あたりの相場は、2020年2月で金税込小売価格(平均)6200円 / gくらいでした。

長谷川:えらい違いですね。。

フイナム:日々変わってますよね。価格が固定のアイテムもあると思うんですが、それとはどんな違いがあるんですか?

ギンザタナカ: 重量感があって資産価値が高いものに関しては、オリジナルの販売レート(Gマーク)で価格を付けています。例えばこのブレスレットだと金が20g使われているんですが、こういうものは金相場と連携した価格(販売レート)を設定しています。

フイナム:なるほど。「Gマーク」が付いている商品が、金相場により価格が変動するんですね。

ギンザタナカ:はい。金を20g以上使っているキヘイネックレスなどはレート販売となります。あとはデザインとか作りの部分で凝っていると、その分お値段に関係してくる感じです。

フイナム:それはそうですよね。

ギンザタナカ: ジュエリーなので、金そのものの価格だけではなく、デザイン費や加工賃が入ってきて、商品の価格が決まってきます。さっきのキヘイブレスレットに関しては、加工賃はマシーンチェーンなので、わりと安く抑えられています。

長谷川:ちなみに今回のリングは固定の金額ですか?

ギンザタナカ: はい。ただ、長谷川さんオリジナルのリングだけは“鍛造”という一点一点職人が作る手法を取っていて、加工の大変さ、手間が全然違います。鍛造は火を入れて、叩いて、どんどん地金(じがね ※高純度の金を固めたもの)をしめていって、そこからこの形にまで持っていくやり方で、最後に刻印を入れるまで全部手作業なんです。なので、その分価格にも反映されています。

〈GINZA TANAKA〉 K24 GOLD SIGNET RING OCTAGON 「K24 シグネットリング 八角型」¥320,000~※4月7日(木)発売開始。サイズによって価格が異なります。<ナイジェル・グラフ>手描きフォント刻印サービスは2文字につき¥25,000、K24 GOLD KIHEI BRACELET「純金 キヘイブレスレット(6面カットダブル)40g/20cm」¥762,034 ※3月24日現在(参考価格)(GINZA TANAKA)

フイナム:たしかに長谷川さんオリジナルの六角型とは、全然値段が違いますね。ということは、他の作り方もあるってことですよね。

ギンザタナカ: キャスト(鋳造)という、型に流し込んで作る方法があります。同じ形でも、キャストと鍛造では仕上がりの重量が全然違います。やっぱりしまってくると重たくなるので。鍛造で作った長谷川さんのオリジナルは、重量も20gくらいありますし、そんなに簡単に変形はしないと思うんですが、キャストで作ってるリングの方は、使ってるうちに徐々に変形していく可能性があります。それもまた味だとは思うのですが。

長谷川:なるほど、そういう違いがあるんですね。やっぱりこういうのは、使っていってどういう変化が出るのかが大事だし、楽しいところですよね。

ギンザタナカ: そうですね。鍛造だと独特の風合いが出てきます。たださっき少し傷がついてしまったというお話をされていましたが、鍛造は変形しにくいとは言え、特に純金の場合は傷がつきやすくなります。

フイナム:そうなんですね! 傷は付きやすいけど、変形はしにくいんですね。ややこしい。。

長谷川:じゃぁ小銭入れなんかに入れちゃ絶対ダメなんですね(笑)。

ギンザタナカ: そうですね。丁重に扱っていただけると。。

長谷川:どうしてくれるんですか、これ(笑)。

フイナム:首から下げたらいいんじゃないですか。ネックレスに通したりして。

ギンザタナカ: 貴金属同士だと、こすれたときに傷がつきますね。18金は24金よりだいぶ硬いので、チェーンの方には傷がつかなくてリングの方には傷がつくということになるかもしれません。革紐とかどうですか?

長谷川:革紐いいですね。お酒飲むときは、ぶつけたりもするし、手を洗ってたらいつのまにか「ない!」とかイヤですしね(笑)。

〈GINZA TANAKA〉 K24 GOLD SIGNET RING OVAL 「K24 シグネットリング オーバル型」¥280,000~ ※4月7日(木)発売開始。サイズによって価格が異なります。<ナイジェル・グラフ>手描きフォント刻印サービスは2文字につき¥25,000、K24 GOLD KIHEI NECKLESS「純金 キヘイネックレス(6面カットダブル)50g/50cm」¥912,766 ※3月24日現在(GINZA TANAKA)

フイナム:24金のアイテムは、キヘイネックレスとシグネットリングで、すでに二つ持ってるってことですね。

長谷川:そうだね。今はブレスレットもいいなって思い始めてる。

フイナム:ブレスレットをなくさないためにはどうしたらいいんですか?(笑)

ギンザタナカ: サイドストッパーというのがついていまして、パーツが取れたとしても、腕からブレスレットが落ちないような仕組みになっています。ただつけているときに、サイドストッパーが邪魔だという方もいるので悩ましいところなんですが。

長谷川:そういう金具も24金なんですか?

ギンザタナカ: そうですね。

長谷川:24金のブレスレットはひとつひとつのパーツを落とさないようにするのが難しくて、なかなかできなかったって聞きました。

ギンザタナカ: 手首って生活する上で、いろいろなところに当たりますよね。なので外れやすいですし、あとは傷ついたりするという理由で、これまで24金のブレスレットを作ってこなかったんですが、いろいろ試して作っていくうちに〈GINZA TANAKA〉としてお客様に提供できる強度まで開発することができたので、発売しました。

長谷川:一種の発明品ですよね。

フイナム:作りにくいこと、管理しにくいことの二つで、24金はハードルが高いんですね。

ギンザタナカ: そうなんです。お店側からしたらお客様からのクレームの対象になるようなことはなるべく避けたいので、18金で十分というのが一般的だと思うんです。そもそも18金で何か困ることがないと24金まで手を出さないと思います。けど〈GINZA TANAKA〉では24金で何か作って欲しいという要望をたくさんいただくんです。18金だけじゃ満足できないというのは〈GINZA TANAKA〉のお客様くらいかもしれません(笑)。

〈GINZA TANAKA〉 K24 GOLD SIGNET RING OVAL 「K24 シグネットリング オーバル型」¥280,000~ ※4月7日(木)発売開始。サイズによって価格が異なります。<ナイジェル・グラフ>手描きフォント刻印サービスは2文字につき¥25,000(GINZA TANAKA)

長谷川:アレルギーも、24金だと起きにくいんですよね。

ギンザタナカ: そうですね。例えば18金だと銀か銅に反応してしまうことがあるのですが、24金の場合は金に対するアレルギーでなければ確率は低いです。

長谷川:シルバーも同じような理屈なんですか?

ギンザタナカ: シルバーはシルバー925(92.5%が銀)というのが多いですよね。シルバー925だとニッケルに反応される方が多いんですが、うちは基本的にニッケルフリーとしています。

フイナム:それは地球環境的に、ということですか?

ギンザタナカ: それもありますが、ニッケルアレルギーの方が結構多いので、使わないようにしています。

フイナム:金属アレルギーの方って結構いますもんね。

ギンザタナカ: はい。汗に貴金属の成分が反応することによって、肌がアレルギー反応を起こすと言われています。

長谷川:そういうことなんですね。

ギンザタナカ: あとはお酒を飲んで体があったかくなってくると、反応が出やすくなる方もいます。

〈GINZA TANAKA〉 K24 GOLD SIGNET RING TRACK 「K24 シグネットリング トラック型」¥210,000~ ※4月7日(木)発売開始。サイズによって価格が異なります。<ナイジェル・グラフ>手描きフォント刻印サービスは2文字につき¥25,000、K24 GOLD KIHEI NECKLECE「純金 キヘイネックレス(2面カット)25g/50cm」¥385,204 ※3月24日現在(GINZA TANAKA)

フイナム:金って不思議ですよね。高貴で上品なイメージもありますが、それだけじゃなくて、どろっとしたところもある気がします。

長谷川:たしかに(笑)。

ギンザタナカ: 私も入社したときに、田舎の両親から「大丈夫か? 東京で変なことしてないか?」って言われました(笑)。

長谷川:笑。けど、〈GINZA TANAKA〉さんは店頭に金の価格を表示していたりして、なんか健全なイメージがあります。

ギンザタナカ: ありがとうございます。弊社は企業グループ全体では電子部品を金で作るなどの工業、産業用の事業の母体が大きくて、そのなかのジュエリー小売部門という位置付けで、私たちは活動をしています。あとは資産運用ですね。資産形成を主な目的として、お客さまに提案しています。(詳細はこちら

フイナム:最近景気が悪いからなのか、資産運用の話をよく聞くようになりました。

ギンザタナカ: そうですね。そういった意味でも金に最近注目が高まっています。金って当然、有限なんです。新しく採掘することもあるのですが、今流通している金は、リサイクルによる再生金が多いです。なのでもしかしたらクレオパトラが使っていた金がどこかで使われているのかもしれません。

フイナム:ロマンチックな考え方ですね。そもそも金ってどうやって採るんですか?

ギンザタナカ: 色々な採り方があるんですが、まずはみなさんご存知の砂金。あとは金鉱石と呼ばれる、1トンから多くて3gくらいしか採れないものの採掘とか。いずれにしてもすごく大変な作業です。

長谷川:今、金はすごく高いですよね。

ギンザタナカ: 現在、上昇傾向ですね。地金の話をお客様にするときに、為替の市場、株の市場、金の市場という説明をするんです。世界中の投資家が、お金を少しでも増やしたいと思っているわけで、株が下がってきてこのまま株をもっておくのが不安だとなれば、株式市場からお金を引き上げて、下がりにくいところにお金を入れる、例えば金を買ったりするわけです。原則的にこの三つの市場間をお金が行き来しています。

フイナム:今、金が高いのはロシア・ウクライナの情勢も関係ありますよね。

ギンザタナカ: そうですね。政治の情勢が不安になると自国通貨の価値が下がる傾向があり、そういうときに金を買う動きが活発になります。日本は円がわりと安定しているので、そういう動きは少ないのですが。

フイナム:なるほど。

ギンザタナカ: 金は世界共通の価値というところが大きいですよね。ドル、ユーロ、円がどうなるんだろう、というところとは無縁なんです。現物資産なので0にはならないという。長谷川さん、次は地金なんていかがですか?(笑)

長谷川:いいかもしれないですね。買っておこうかな(笑)。服なんて買った瞬間から価値が下がっていくわけですからね。

〈GINZA TANAKA〉 K24 GOLD SIGNET RING TRACK 「K24 シグネットリング トラック型」¥210,000~ ※4月7日(木)発売開始。サイズによって価格が異なります。<ナイジェル・グラフ>手描きフォント刻印サービスは2文字につき¥25,000(GINZA TANAKA)

フイナム:ところで、長谷川さんってジュエリーってあんまりしないじゃないですか。どうやって〈GINZA TANAKA〉にたどり着いたんですか?

長谷川:最初は、金の何かが欲しかったんだよね。けど金のものを探そうにも、どこに行ったらちゃんとしたものが買えるのかわからなくて。ようやく見つけてもそれが本物なのかが信用できない(笑)。それで色々調べているうちに〈GINZA TANAKA〉を知ったの。そういえば、なんか名前聞いたことあるなって思って。

ギンザタナカ: 嬉しいです。コツコツやってきた甲斐がありました(笑)。弊社がずっとやってきたのは、金の啓蒙活動なので。

長谷川:なるほど。

ギンザタナカ: 過去には多くの金取引業者が出現し、通常価格の倍くらいで金が売られていたこともあったようです。当社は、価格はこれが妥当だということをお客様に知ってもらって、金の取引をしていただきたいという思いから始まっています。

長谷川:まさにそういうことなんですよ。正しい金額で買いたいっていう。

フイナム:たしかに。安いものではないし、そこが不安だと一歩踏み出せないですよね。

長谷川:そう。で、買うなら純金、24金がいいなって思ったんです。どうせならちゃんとしたものというか、より良いものがいいなって。だけど世の中には全然ないんですよね。高級なものは高級なブランドに行けばあるのかなと思って、そっちもいろいろ見たんですけど、意外とデザイン性の激しいものしかなくて。

ギンザタナカ: わかります。

長谷川:僕はただスタンダードなものが欲しいと思ってただけなんです。でも、そういうのって本当にない。それこそ質屋にはあったんだけど、質屋で買うのものもなんかイヤだなって思って(笑)。と思ったら、ここにはスタンダードなものがちゃんとあったっていう。素晴らしいですよね。

ギンザタナカ: 〈GINZA TANAKA〉のお客様でもせっかくならいいものを身につけたいと言う方は多いです。だからこそ我々はベーシックなデザインのものを中心に、金製品であれば18金以上のものしか取り扱いをしていません。

長谷川:やっぱり“普通でいいもの”が一番いいと思うんです。一見良さそうなんだけど、実は質が悪いものって、なんか陳腐だなって思っちゃうんです。そういう意味でも今回のシグネットリングとか、キヘイネックレスみたいなシンプルなものが24金であるっていうのは、すごくいいと思うんです。意味があるというか。

ギンザタナカ: 嬉しいです。いただいたお言葉を社内報で流したいくらいです(笑)。ベーシックなことを続けるには、その都度決断が必要なんです。新しいものを出さなきゃ、とかいろいろ考えますから。だからベーシックなものを求めていただけるっていうのは、すごくありがたいことです。

長谷川:いろいろなブランドで金のジュエリーを作ってますけど、これくらいスタンダードで普通なものを24金で作って売るっていう自信がないんじゃないですかね。というか、他の会社ではここまでのものを売る理由がないんだと思います。

ギンザタナカ: そうかもしれないですね。だからファッション性を強めていくということにつながっていくのかもしれません。

長谷川:あと洋服とかでも、こういう定番ものをずっとお店に置いていてもやっぱりそんなに動かないみたいなんです。ずっとあるとあんまり価値を感じなくなってしまうっていうことなのかも。でも買う方からすると、今は欲しいと思わなくても、2年後に欲しくなったりするわけで、ずっとそこにあってくれないと困るんですよね。だからこれもずっとお店に置いていただけたら嬉しいですね。

INFORMATION

GINZA TANAKA 0120-556-826(10:30-19:00)

STAFF

Direction&Styling_Akio Hasegawa
Photo_Seishi Shirakawa
Hair_Kenichi Yaguchi
Edit_Ryo Komuta、Shun Koda

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