AKIO HASEGAWA. HOUYHNHNM

2026.9.28 Up
Style of Authenticity

普通の服、普通のスタイル。

Case 160
ブラウンのコーデュロイパンツに、
白Tを合わせて。
秋になったら、きのこ、
里芋、栗、ごぼう、かぼちゃ、
その季節のものを食すように、
たとえば、ブラウン。
季節にあった、秋色の服を。
インナーには白Tを忘れずに。

カレーはインドがそのルーツであり正義であるように、Tシャツってやつは、誰がなんと言おうとアメリカが正義だ。ヨーロッパはもちろん、アジアでも散々企画されているし、たとえば日本でも〈Uniqlo U〉のTシャツは大ヒット作だし、僕のファミマもすごくたくさんの方に買っていただいた。でも,少なくとも僕はアメリカものに大きな影響を受けている。ヨーロッパで企画されたものやデザイナーズのTシャツがかっこいいなんてことは、なかなかない。

アメリカのTシャツは、アメリカに住む多くの体型の人に向けて作られていて、乾燥機に入れることが前提であろう大きなシルエット。そこには無理がなく、自然。それをあえて短い丈に変更しようとしたり、肩を落とそうとするといびつなデザインになることがほとんど。デザインしても自然なシルエットとディテールに作ることで、Tシャツはそれらしくなるのだ。

これは〈Champion〉のアメリカ企画のホンデュラス製のTシャツ「T105」。ゆったりしたフォルムと少し肉厚なボディは、こうしてタックインしてもドレープが美しくて、夏でも秋でも活躍する。最大の魅力はこのバインダーネック。数あるTシャツのなかでもこのネックの力強さには、右に出るものはいない。

そろそろ長袖の季節だと思う人もいるだろうけど、基本的にインナーは断然半袖T。色はもちろん白。首元からチラリとしか見えないときでさえ、コーヒーに入れたミルクのようなマイルドさと爽やかなさを楽しめる。

裾はフロントだけパンツにインする。これは90年代に〈DOLCE & GABBANA〉がショーでやっていた着こなし方。着丈が長くても気にならず、ドレープの美しさを楽しめる。短くカットしてしまうと、ふとしたときにお腹が見えたり、かがんだときに腰が見えたりして美しくない。クラシックな服の作りをうまく使う着方ができてこそ、情報の多い現代社会に生きる意味がある。スタイリングこそがファッションだと僕は思う。

誰も興味ないと思うが、〈Clarks〉で僕が一番美しいと思う色がある。その名は「コーラスエード」。実はそれを履いている人がいて、数あるなかからその色を選んだその人のセンスには、何年経っても感心する。でも、そんなことに着眼点を持つ人はなかなかいないだろう。〈Clarks〉と言えば、黒が人気。でも僕にとってはそうじゃない。僕は圧倒的に金茶が好きだ。履けば履くほど色が抜けて美しくなる。それが魅力だ。〈Levi's®〉のコーデュロイも同じく、金茶が美しいと思う。スエードと同じく、履くほどに色が落ちて薄くなる。これは10年以上前に買った古着のリーバイス519。コーデュロイにはいろいろな色があるけど、着込んで色が薄くなっても美しいのは金茶だけだ。

丈はハサミで適当にカットオフ。それをロールアップしてあえて短く。くるぶしが見えるくらいの感じが、やはり美しい。

STAFF

Direction & Styling & Text_Akio Hasegawa
Photograph_Seishi Shirakawa
Production_Ryo Komuta

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