カレーはインドがそのルーツであり正義であるように、Tシャツってやつは、誰がなんと言おうとアメリカが正義だ。ヨーロッパはもちろん、アジアでも散々企画されているし、たとえば日本でも〈Uniqlo U〉のTシャツは大ヒット作だし、僕のファミマもすごくたくさんの方に買っていただいた。でも,少なくとも僕はアメリカものに大きな影響を受けている。ヨーロッパで企画されたものやデザイナーズのTシャツがかっこいいなんてことは、なかなかない。
アメリカのTシャツは、アメリカに住む多くの体型の人に向けて作られていて、乾燥機に入れることが前提であろう大きなシルエット。そこには無理がなく、自然。それをあえて短い丈に変更しようとしたり、肩を落とそうとするといびつなデザインになることがほとんど。デザインしても自然なシルエットとディテールに作ることで、Tシャツはそれらしくなるのだ。
これは〈Champion〉のアメリカ企画のホンデュラス製のTシャツ「T105」。ゆったりしたフォルムと少し肉厚なボディは、こうしてタックインしてもドレープが美しくて、夏でも秋でも活躍する。最大の魅力はこのバインダーネック。数あるTシャツのなかでもこのネックの力強さには、右に出るものはいない。
そろそろ長袖の季節だと思う人もいるだろうけど、基本的にインナーは断然半袖T。色はもちろん白。首元からチラリとしか見えないときでさえ、コーヒーに入れたミルクのようなマイルドさと爽やかなさを楽しめる。
裾はフロントだけパンツにインする。これは90年代に〈DOLCE & GABBANA〉がショーでやっていた着こなし方。着丈が長くても気にならず、ドレープの美しさを楽しめる。短くカットしてしまうと、ふとしたときにお腹が見えたり、かがんだときに腰が見えたりして美しくない。クラシックな服の作りをうまく使う着方ができてこそ、情報の多い現代社会に生きる意味がある。スタイリングこそがファッションだと僕は思う。
誰も興味ないと思うが、〈Clarks〉で僕が一番美しいと思う色がある。その名は「コーラスエード」。実はそれを履いている人がいて、数あるなかからその色を選んだその人のセンスには、何年経っても感心する。でも、そんなことに着眼点を持つ人はなかなかいないだろう。〈Clarks〉と言えば、黒が人気。でも僕にとってはそうじゃない。僕は圧倒的に金茶が好きだ。履けば履くほど色が抜けて美しくなる。それが魅力だ。〈Levi's®〉のコーデュロイも同じく、金茶が美しいと思う。スエードと同じく、履くほどに色が落ちて薄くなる。これは10年以上前に買った古着のリーバイス519。コーデュロイにはいろいろな色があるけど、着込んで色が薄くなっても美しいのは金茶だけだ。
丈はハサミで適当にカットオフ。それをロールアップしてあえて短く。くるぶしが見えるくらいの感じが、やはり美しい。