AKIO HASEGAWA. HOUYHNHNM

2025.10.10 Up
Style of Authentic

普通の服、普通のスタイル。

Case 143
ネイビーのウールTと
ジョルジオ・アルマーニのプレーントゥ。
アルマーニさんに憧れて
トップスはネイビー、
靴は黒のプレーントゥ。

秋めいて、ウールTが最も活躍する時期に突入した。ウールTってやつは、ウォッシャブルメリノウールの糸でできていて、ウール100%のものと化繊が混じってるものとあるのだけど、僕は100%の混じり気のないものが好きだ。絶対的な着心地に繋がって、肌に優しいし、万が一なんらかの事故に遭って炎にまみれたときに、化繊は溶けて肌に張り付いてしまう。そして、もし衣服を捨てたときに、化繊や化繊の混じったものは自然に還ることができない。だから僕は作るときにも化繊のミックスはできるだけ避けている。

〈Ameriyas〉Washable merino wool T-shirt ¥19,800(Ameriyas)、〈SNBYA.H+CAHLUMN〉Washable merino wool Long Sleeve T-shirt ¥34,900(SNBYA.H+CAHLUMN)、〈CAHLUMN〉French linen gym pant ¥36,300(CAHLUMN)、〈SNBYA.H〉Washable merino wool casket ¥16,500(SNBYA.H)

〈Ameriyas〉Washable merino wool T-shirt ¥19,800(Ameriyas)

ところで、ウールTの最高なところは「手入れの面にもある」ということは知っておいて欲しいポイント。ウォッシャブルメリノウールの糸は普通のウールと違って、クルクルしていなくて、真っ直ぐな糸に加工している。だから洗っても縮まない。そのために僕は洗濯機で洗って、そのまま乾燥コースまで一気に進行させている。本当は乾燥機なんか入れたらダメだ。おそらく洗濯表示タグに書いてあるだろう。でもそんなこと知ったこっちゃない。僕はカシミヤですら乾燥機にガンガン入れている。多少は縮むけど、いちいち乾燥機に入れるものと、そうではないものと分けて洗うなんてことしたくないからだ。多少のことを気にしてビクビクしてるくらいなら、どうなってしまおうがある程度のことは諦めて、乾燥機まで入れてしまうほうがいいと僕は思っている。その分、自由を手に入れ、楽しい時間を過ごせるのだから。

一般的に洗濯表示は、いかに怒られないかという配慮のもとに書かれている。少しオーバーに書かれているから、そんなものに従い始めたら何も洗えないと僕は思っている。服を着るからにはある程度の諦めと自分なりの知識を持って判断する勇気が求められているように思う。クレームをつけるやつと、それを避ける企業の戦いがそこにはあるのだろう。僕はそことは関係ないところで生きていたい。実際、そこまで影響があったことはないし、洗って質感が変わった方がカッコよくなる服ってものも、世の中にはたくさんある。そもそも新品ビカビカの服なんて僕は着たくない派だ。だから、そうじゃない人にはおすすめしない考え方なのだけど。。

〈SNBYA.H+CAHLUMN〉Washable merino wool Long Sleeve T-shirt ¥34,900(SNBYA.H+CAHLUMN)

話を戻して、まだまだジメジメする時間の多い昼間に対して、少し冷え込む夜がある今の季節。そんな季節こそ、ウールT。半袖で長袖をレイヤードして着れば、もうそれで全ては解決する。半袖は、友達の染谷くんが作っているウォッシャブルメリノウールのポケT。アメリカもののポケTの雰囲気を、ウォッシャブルメリノウールで表現している。肩にかけているのは僕が監修している〈SNBYA.H〉と〈CAHLUMN〉のコラボレーションのもの。製品染めをしているから、他のウールTのようにツルッとしていなくて、独特な質感があるところが気に入っている。いずれにしてもどこのものでもウールTは好きで、もうこの辺のものを一年中、何も不満に思うことなく着続けている。日本でも海外でも。

この前の夏もロンドンに行ったとき、ウールTをいくつか持って行ったけど、結局、滞在中は一枚のウールTだけで7日間過ごした。匂わないし、汗を吸ってくれるし、旅先でも完璧なパフォーマンスを発揮してくれた。染谷くんは同じ素材でボクサーブリーフも作っていて、僕の下着はほとんどいつもそれ。薄くて軽くて、旅先でも重宝している。

〈SNBYA.H〉Washable merino wool casket ¥16,500(SNBYA.H)

かぶっているのは、以前に高校の後輩の〈COMESANDGOES〉にお願いして作ってもらったウォッシャブルメリノウールのキャスケットで、〈SNBYA.H〉の生地を使ってコラボレーションしたモデル。髪がボサボサなときには、このキャスケットをかぶるだけ。どんなシーンでも使える。ラッパーのZORNはプライベートでいつも、Tシャツやパンツとともに愛用してくれている。

ウールのウェアたちは夏でも快適なのだけど、保温性という機能を発揮するのは秋から冬の間。また違う良さを実感できる。快適すぎて、結局どの季節にも手放せない。

日本人はプリンシプルがない。そう言ったのは白洲次郎。日本語にすると、主義や信条という意味だそう。たしかに、全体主義や世間を気にしているうちに、何をしたかったのか、わからなくなってしまうことってあると思う。先日亡くなったジョルジオ・アルマーニさんはきっとプリンシプルがしっかりとあった人。いつもブレなくて、自分の哲学で全てを決めて生きていた人なのだろう。本人のビジュアルを見る限り、いつも同じネイビーのピタピタしたTシャツを愛用していた。その姿が潔くて、品があって、僕は影響を受けた。自分が好きな色やシルエットを毎朝着ていたいし、それ以外のものを選んだり探すことには興味がない。それは仕事ですればいいのだ。僕はそんな風に思っている。

〈GIORGIO ARMANI〉derby shoes ¥201,300(GIORGIO ARMANI JAPAN)

この靴はアルマーニの店でいつも見かけていたプレーントゥ。綺麗なフォルムだなって思っていたのだが、あるときふと思ったのだ。「あれ、これって毎シーズンあるぞ!?」。普通そんなことあるはずがない。ここ何シーズンかいつも見かけていると思っていたのは勘違いで、マイナーチェンジを繰り返していて、よく見ると全く違うものだった。

アルマーニさんがここ数年、履きたいプレーントゥはこういうボリュームだったのだろう。だから大きく変わる必要はなかったのだろう。そんな風に想像した。きっとアルマーニのパンツにシルエットに合わせて欲しいと考え、作られたプレーントゥ。理想のシルエットがこれで完成するに違いない。これは買うしかない。そう思ってこの靴を購入した。そんな喜びを感じた数日後、アルマーニさんの訃報を聞いた。

INFORMATION

Ameriyas instagram.com/ameriyas_official/
CAHLUMN instagram.com/cahlumn_official
SNBYA.H instagram.com/snbya.h/
GIORGIO ARMANI JAPAN 03-6274-7070

STAFF

Direction & Styling & Text _Akio Hasegawa
Photograph_Seishi Shirakawa
Hair & Make-up_Kenichi Yaguchi
Production_Ryo Komuta

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