AKIO HASEGAWA. HOUYHNHNM

2019.8.22 Up
Style of Authentic

普通の服、普通のスタイル。

Case 11
STYLING,T-SHIRT,SNEAKER,SWEAT
夏のTシャツってやつは、白がもっとも「普通」だろう。機能的だし快適だし、見た目も暑苦しくない。でも、グレーが「普通」となる季節がもうすぐ訪れる。日焼けが残る秋にはこの色もまたいいものだ。なかでも密かにファンが多いのは、杢グレー。白い糸と黒い糸を混ぜ合わせて作るこの色は、染色によって糸を固くしてしまう可能性が少ない。だから実は他の濃色より、少しだけ柔らかくてちょっと着心地が良かったりする。そんなちょっとした「特別感」こそが「普通」の服には大事だなって思うんだ。

〈モクティ〉蛍光イエローの糸を混ぜたルーズフィットポケットTシャツ「JS021」SIZE:XL ¥6,900+TAX 、
肩に掛けた蛍光グリーンの糸を交ぜたビッグスエットシャツ※予約受付中「JS310」SIZE:XL ¥20,000+TAX(ともに新内外綿株式会社)、
プロパー〉リップストップの6ポケットショーツ SIZE:XL ¥7,000+TAX(プロップス ストア)、
ウィグワム〉アメリカ製のメランジソックス「サイプレス」¥2,300+TAX(メイン)、
ニューバランス〉スニーカー「M1300CL」¥23,000+TAX(ニューバランス ジャパンお客様相談室)、ハットは私物

フイナム:今回はグレーな感じのスタイリングですね。

長谷川:グレーは、オリーブドラブにもネイビーにも合う、なんでもない「普通」っぽさがあるんだけど、杢グレーは、それを持ち合わせたうえで、ちょっとした「特別感」も感じるから好きなんだよね。生地特有の凹凸っていうか、立体感みたいなものに、フラットなグレーよりも素朴さとか奥行きを感じるのかな。

フイナム:このTシャツは〈モクティ(mocT)〉っていうのがブランド名なんですね。名前にモクって入ってるぐらいなんで、杢グレーをテーマにしてるんですか?

長谷川:最初はそうだったみたいだけど、今後はいろいろ増えていくらしいよ。でも、杢グレーってすごくベーシックでしょ。それをテーマにしてるっていうのがいいなって思ったんだよね。

フイナム:けど、長谷川さんがグレーの服を着ているイメージがないんですが。

長谷川:うん、あんまり着ない(笑)。似合わないんだよね、なんか。でも、杢グレーは好きで、集めてた時期がある。

フイナム:なるほど(笑)。

長谷川:『ポパイ』をやってたときに、(当時の編集長の)木下さんがよくこういうグレーを着ててさ。白髪の人の方がこういうのは似合うと思うんだよね。

フイナム:ちなみに〈モクティ〉ってけっこう前からあるんですか?

長谷川:いや、ブランドになったのは2017年みたい。

フイナム:生地屋さんがやってるんですよね。

長谷川:そう。「新内外綿」っていう130年以上の歴史があるところ。

フイナム:130年。。明治時代ですね。

長谷川:当時の人は何着てたんだろうね(笑)。

フイナム:想像つかないですね。和装の人もまだいたかもしれないですよね。

〈モクティ〉蛍光イエローの糸を混ぜたルーズフィットポケットTシャツ「JS021」SIZE:XL ¥6,900+TAX(新内外綿株式会社)、
ハットは私物

長谷川:でね、この〈モクティ〉っていうブランドは、「GR7」っていう名前の杢グレーの糸を使って作られた生地を使ってるの。

フイナム:詳しいですね。

長谷川:いや、さっき聞いてきたんだよね(笑)。

フイナム:「GR7」っていう糸は、うちの会社の生産スタッフも知ってました。杢グレーではすごく一般的みたいですね。「GR1」とかいろんな色があるらしいです。

長谷川:そうなんだ。

フイナム:〈チャンピオン〉とかそういうのも、こういう色目ですし、「GR7」はかなりメジャーなんでしょうね。

長谷川:そうだね。そういうヴィンテージスウェットとかも好きな人が作ったんだろうね。

フイナム:ところでこのTシャツ、なんか黄色っぽいのが混ざってますね。

長谷川:これは定番ってわけじゃなくて、シーズンのコンセプトモデルらしいんだけど、ポリエステルの糸を混ぜてるんだって。

フイナム:いい感じにムラが出てますね。

長谷川:この一見ランダムに見えるのも全部計算してるらしいよ。

ニューバランス〉スニーカー「M1300CL」¥23,000+TAX(ニューバランス ジャパンお客様相談室)、
ウィグワム〉アメリカ製のメランジソックス「サイプレス」¥2,300+TAX(メイン)、
〈モクティ〉蛍光グリーンの糸を交ぜたビッグシルエットスウェットシャツ※予約受付中「JS310」SIZE:XL ¥20,000+TAX(新内外綿株式会社)

長谷川:こういうグレーには、〈ニューバランス〉の「1300」が合うと思うんだよね。

フイナム:5年に一回復刻しているあれとはまた別の「M1300CL S」っていうモデルですね。

長谷川:そう。限定のやつは買えない人もいるだろうから、こっちならいつでも買えるし。やっぱりいつでも買えるのは大事だよ。

フイナム:確かに。

長谷川:で、この「M1300CL S」って、ちょっと青っぽいでしょ?

フイナム:そうですね。

長谷川:このブルーっぽいグレーがいいんだよね。グレーって単色のグレー同士で合わせてしまうと、意外とあんまり面白く見えないっていうか。

フイナム:なるほど。

長谷川:だから、こうやってちょっとトーンの違う感じと混ぜてみる方が良さが出るんだよね。とくにこのモデルは独特の色をしてるので、グレーにすごく合うなって。

フイナム:で、靴下は〈ウィグワム〉ですね。

長谷川:そう。このアメリカンコットンの雑な感じが、ミックスしたときに陰影がよく出るんだ。

フイナム:アメリカっぽさというか。

長谷川:日本の糸だと、もっと繊細に仕上がると思うんだけど、こういうミックスのソックスに関して言うと、この雑味がいいなって。ソックスだと結局〈ウィグワム〉が好きだな。あんまりいろんなところで売ってないんだけどね。

〈モクティ〉蛍光グリーンの糸を交ぜたビッグシルエットスウェットシャツ※予約受付中「JS310」SIZE:XL ¥20,000+TAX(新内外綿株式会社)、
プロパー〉リップストップの6ポケットショーツ SIZE:XL ¥7,000+TAX(プロップス ストア)、ハットは私物

フイナム:スウェットもあるんですね。

長谷川:このスウェットも、さっきのTシャツと同じで、蛍光の糸が混ざってるモデル。

フイナム:微妙に色が違うような。

長谷川:そう。こっちはグリーン。Tシャツはイエロー。

フイナム:あ、やっぱり。

長谷川:スウェットの方も、ダマっていうの? そういうのがちょこちょこできてて、この感じがいいんだよね。

フイナム:本来ならB品扱いされがちなものを、デザインとして取り入れてるのは面白いですよね。

長谷川:このスウェット、レギュラーモデルよりも少し大きめのサイズのシーズンのコンセプトモデルらしいんだけど、欲を言えばもうワンサイズくらい大きいのがあると最高なんだけど。

フイナム:このXLサイズが一番大きいサイズなんですね。

長谷川:いまはそうみたい。ちょっと身体が大きい人用に2XLとかあるといいんだけどね。こういうスウェットってみんなわりとジャストぐらいで着てるよね。

長谷川:あとはグレーには、OD(オリーブドラブ)も合うよ。

フイナム:最近、気になってしょうがない色ですね。

長谷川:そうそう。このショーツはいつもの〈プロパー〉。もう何回使ったかな。

フイナム:確かにけっこう登場してますね。

長谷川:あとさ、グレーって夏に着ると汗染みとか気になったりするじゃない。

フイナム:確かに。

長谷川:だから秋口くらいに着るのがいいと思うんだよね。ちょうどこれからの季節くらいに。

INFORMATION

新内外綿株式会社 06-4705-3786
プロップス ストア 03-3796-0960
メイン 03-3264-3738
ニューバランス ジャパンお客様相談室 0120-85-0997

STAFF

Direction&Styling_Akio Hasegawa
Photo_Seishi Shirakawa
Hair_Kenichi Yaguchi
Edit_Ryo Komuta

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