普通の服、
普通のスタイル。

僕はよく銀座線に乗るのだけど、なぜか車内がやたらと暑い。最初は大丈夫でも、だんだん暑くなってきて、アウターを脱ぐ羽目になることが多い。当然、その頃にはすでに汗だく。最後にはTシャツ一枚になっていることもザラ。こんな時にウォッシャブルメリノウールの服が役立つ。ウールだから当然、温かいけど、暑くなっても、蒸れることがほとんどないのだ。

これは、スイスのウールのスポーツウェアブランド〈SN〉とコラボレーションをして作ったメリノウールのシティウェア。本来はスポーツ用だけど、スポーツっぽいディテールを排除して、ベーシックでプレーンなデザインに仕上げた。僕は普段着としても、毎日、愛用している。

化繊が多い機能素材の中で、ウールは古来から存在する、唯一の天然素材。この素材が本来持つ、保温性、防臭性、吸湿性は、化繊に劣ることがない。唯一の欠点は、縮れているために、洗濯に弱いこと。これをまっすぐ糸に加工することで、洗ってもさほど縮まない、ウォッシャブルメリノウールという糸が出来上がった。だから僕は、洗濯機でガンガン洗って、乾燥機にも入れている。ケアもラクチンなのだ。

また、メリノウールは実は、ありふれているようでいて、仕入れに限界のある高級素材。いくらでも生産できて、資源を破壊し、安く仕入れることができるポリエステルとは、わけが違う。環境に優しく、限られた人だけが着られるのだ。

糸はニュージーランド産のメリノウール100％。17.5マイクロンという極細でありながら、丈夫な最高級の糸を日本で作り、日本で生地にした。最高の肌触りと着心地。これに慣れてくると、残念なことに、他の服が着れなくなってしまう。軽くて小さく畳めるから、旅にもいいし、家にあっても邪魔にならない、最高の服が出来上がったのだ。

まずは一枚持っておきたいのは、インナーの基本である、バインダーネックのシンプルなタンクトップ（Aシャツ）。ウォッシャブルメリノウールは、インナーとして使ったときに最も威力を発揮するから。チクチクせず、シルクのようなさらっとした表面感は、一年を通して使える。春から夏にかけての暖かい季節はもちろんだけど、今の時期は、グラフィックの入ったコットンのロンTのインナーや、ハイゲージのセーターのインナーとして、僕は愛用している。コットンのタンクトップよりも確実に温かいし、汗をかいて濡れても、水分を吸って閉じ込めてくれるから、銀座線のような、暑すぎる車内でも、汗冷えすることがない。ちなみに今回は、ニュージーランド産のウール100%で、紡績から日本で行った日本製のウォッシャブルメリノウール生地。アウトドアブランドすらなかなか手を出さない17.5マイクロンという極細の高級糸を採用している。ディテールは以前に作ったヤツのネック部分を、さらにガッチリとしたバインダーネックに変更。デザインはシンプルなままだ。

ロングスリーブTシャツ、ショーツと共地のウォッシャブルメリノウールのロングパンツ。さらっとした表面感なんだけど、ショーツとレイヤードすることで防寒性を高めることができる。それと、重ねて履くことで、ゆったりしたシルエットをキープすることができる。薄手でゴワつきがなく、シャキッとした素材感だから、寝る時、走る時、テレビを見る時、犬の散歩に行く時、長い時間飛行機に乗る時、LAでいいレストランへデートに行く時、ファミレスに行く時、彼女の実家へ挨拶に行く時などなど、どんなシーンでも、確実に使える。

オーガニックコットンの落ち綿を尾州で紡ぎ、奈良のガラ紡編み機で編んでいる〈YAHAE〉のソックス。僕のお気に入りのアメリカ製の〈ニューバランス〉に合うように、薄いブルーの杢で、いい感じにゴツゴツした、履き心地の柔らかなソックスを、特別に作ってもらった。アメリカもので、たまに見かけるそれよりも、かなり分厚くてガッチリしてるけど、ふわっとした履き心地。本来はルームソックスなんだけど、こうして外履きで使っても、かなりいい感じ。

奈良の〈YAHAE〉で作ってもらったオーガニックコットンの杢糸を使い、京都の〈VINCENT SHOELACE〉で作ってもらったシューレース。元々、シューズに装備されていたシューレースが、使いこんでいるうちに、先端が割れてきてしまったがために、どうにかしたいと思って、ソックスに合わせ、スチールブルーで靴紐を作ってもらったのだ。この靴だけではなく、他のシューズにも、きっと合う。