about nanamica
都市生活のなかで、風や雨などの自然の変化に対応できる機能を持つウエアや、 休みの日に海で過ごすときなどに着たいと思うウエアなど、日常の中でなるべく長く付き合えるアーバンな仕様のアウトドアウエア。〈ナナミカ(nanamica)〉は「七つの海の家」という意味。
フイナム:前回は「ゴアテックス」のコートについてお話ししましたが、今回は「プリマロフト」と「光電子ダウン」の2種類のアウターについてです。
長谷川:急に寒くなったし、そろそろ、アウターが必要になってくるからね。
フイナム:はい。どちらも昨年にデビューし、すぐに完売したそうです。
長谷川:すごい人気なんだ。
フイナム:〈ナナミカ〉はコートもいいですが、他のアウターも優秀ですからね。というわけで、「プリマロフト」と「光電子ダウン」。それぞれの魅力を深く知るため、今回も〈ナナミカ〉の方に来ていただきました。
フイナム:まずは「プリマロフト」のジャケットから。そもそも「プリマロフト」はどういった機能を持つ素材なんですか?
ナナミカ:「プリマロフト」は人工羽毛で、いわゆる化学繊維の中わたです。保温性が高く、柔軟で軽いというのが特長です。
フイナム:ダウン並みの温かさがあるということですね。
ナナミカ:はい。天然素材のダウンは濡れてしまうと縮んでしまい、保温力が落ちると言われていますが、こちらは化繊なので水に強くて自宅で手軽に洗えます。
長谷川:家で洗えるっていうのはいいですよね。コロナも気になるし、いつも清潔でいたいって人は多いと思います。
フイナム:アウターにしては比較的買いやすいプライスですね。
ナナミカ:ダウンは天然素材なので、供給が安定しなかったりするので、それと比べると安定して供給できる化学繊維は比較的に価格を抑えて提供できます。さらに環境にも配慮していてリサイクル素材を使っています。
長谷川:「プリマロフト」ってリサイクル素材なんですか?
ナナミカ:「プリマロフト」でも様々なシリーズがあって、今回使用しているのは「プリマロフト ブラック インシュレーション」。リサイクルした「プリマロフト」を60%以上使用した環境配慮型のシリーズです。
長谷川:へえー。いろんな種類があるんですね。
ナナミカ:他には「ゴールド」や「シルバー」など、細分化されていますね。
長谷川:あぁ、なんか聞いたことあるかもしれないです。化繊もどんどん進化してるんですね。
ナナミカ:そうですね。〈ナナミカ〉の母体である「ゴールドウイン」では、日々研究がされていて、これからも様々な機能を持つ素材が生まれるかもしれませんね。
長谷川:ところで、このジャケットはオリジナルデザインなんですか? いつも不思議な形だなと思っていて。
フイナム:見たことあるような、ないようなデザインですよね。
ナナミカ:アーカイブのミリタリーやアウトドアウエアの要素をミックスしたデザインです。
長谷川:あれみたい、首元にファーの付いてるミリタリーウエア。なんて名前だっけ?
フイナム:N-3Bですか?
長谷川:それ。でも少し違うか。こういうジャケットなら普通はフードがあったりするんでしょうけど、これはなくて、そこがおもしろいのかな。
ナナミカ:見た目は高めに設定されたスタンドカラーですが、襟元にフードが収納できるようになっていて、そのフードにも「プリマロフト」が使われています。
長谷川:てことは、フードを被っても温かいんですね。今回はネイビーを使ったんですが、グリーンもいい色でした。
フイナム:お店で着比べてもらってもいいかもしれませんね。
フイナム:続いては「光電子ダウン」のミドル丈のコートです。こちらはどんな特長がありますか?
ナナミカ:「光電子ダウン」というのは、天然の羽毛に、光電子という高純度超微粒子セラミックスを練り込んだものになります。「光電子」は発熱素材ではなく、着た人から発せられる体温(遠赤外線)を衣服内で効果的に輻射します。ですので、衣服内の温度も快適に保ってくれるというわけです。
長谷川:僕も寝る時は、「光電子」の靴下を履いて寝ています。ポカポカして、すごくいいですよ。
フイナム:要するに「光電子」は暑くなりにくいってことですか?
ナナミカ:そういうことになります。昔は保温性を高めるためにはダウンの量を増やすしかなかったですが、この「光電子ダウン」は体温を輻射して保温してくれるので羽毛量を減らせるんですよね。服の軽量化にもつながります。
フイナム:見た目もすっきりとしてますもんね。ボリュームを抑えられているから使い勝手も良さそうです。
ナナミカ:同じぐらいの保温性のものをダウンだけで作るとしたらもっとパンパンになるでしょうね。
フイナム:ダウンの量が減ることでスタイリングをしやすかったりしますか?
長谷川:どうなんだろ。ダウンジャケットならではのボリューム感も大事だったりするから、あまり薄くなってしまうとダウンらしくなくなっちゃうと思うんだよね。そういう意味ではこれはいいバランスかな。あまりにペラペラだとチープに見えちゃうし。
フイナム:確かにそうですね。
長谷川:ダウンって羽が抜けちゃったりしますが、「光電子」の粉が出てくるってことはないんですか?
ナナミカ:ダウンが生地から出てきてしまうのは、縫い目からなんですよね。それに生地の中にダウンパックと言ってダウンが抜けないように詰める袋があります。
長谷川:じゃあ洗っても機能はなくならない?
ナナミカ:はい。しっかりと繊維に練り込んでいるので洗っても問題ありません。
フイナム:それに表地は「ゴアテックス」を使っているので、ダウンの天敵である雨にも対応しています。
長谷川:すごいですね。
フイナム:以前、紹介した「ゴアテックス」のコートはリペアできましたが、このダウンジャケットもリペアできるんですか?
ナナミカ:はい、こちらも対応しています。
長谷川:やっぱりアフターケアしてくれるのは嬉しいですよね。安心できるし、長く使いたくなる。どっちのアウターも洗えるみたいです。
ナナミカ:そうですね。「ゴアテックス」を洗ってはいけないものだと思ってる方が多いですが、そういうわけではないんですよね。使っていくうちに汚れが付いてしまったり、ダウンも汗が溜まってしまったりするんです。だから、定期的にクリーニングすることで、はっ水力や保温力といった機能も維持しやすくなります。
フイナム:今回、着用しているワラビーとニットキャップも「ゴアテックス」です。
長谷川:撮影中はすごい雨だったからね。改めて「ゴアテックス」のありがたさを実感したよ。
フイナム:風も強かったですしね。そして、タートルネックのカットソーとスエットパンツは「光電子」です。
長谷川:「光電子」って意外と何にでも使えるんですね。
ナナミカ:応用の効く素材ですね。自宅でも快適に過ごしたいという人が増えたので、今シーズンからカットソーやスエットなど、「光電子」のラインナップを増やしました。
長谷川:光電子スプレーとかあったらいいんですけどね。「あんた、今日は外が寒いから光電子かけていきなさい」みたいな(笑)。
フイナム:そんなのがあったら、すごく便利ですね(笑)。
長谷川:〈ナナミカ〉で「光電子」の布団も作ってほしいですね。
ナナミカ:寝袋ではなくてですか?
長谷川:はい。寝袋だと家で使えないから、布団がいいと思うんですよね。
フイナム:寝具はファッションブランドが踏み入れていない未開の地ですね。
長谷川:うん。みんなシーツとか羽毛布団とか、どこで買ったらいいかわからないと思うから。
ナナミカ:それは考えたことがなかったですね。
長谷川:寝具メーカーは年配の人たちにターゲットを絞ってると思うので、やっぱどこか実家ぽいデザインなんですよ。
フイナム:花柄とかですもんね。
長谷川:そうそう(笑)。だから、若い人たちに向けて〈ナナミカ〉で布団をつくったらすごく喜ばれるはずですよ。
フイナム:「光電子」の服を着て出掛けて、帰ってきたら「光電子」の布団で寝る。いいかもしれないですね。
長谷川:うん、みんな健康になれるよ、きっと。