AKIO HASEGAWA. HOUYHNHNM

2019.4.25 Up
Focus on

気になる服とか人とか。

Vol.2
ARCH OPTICAL,TOMO
世の中には、いろいろな種類の「普通」が存在する。いつも「普通」のものを作っているブランド、普段は尖ったもの作りをしているけれど、たまに「普通」のものを作る人。様々なかたちの「普通」を「AH.H」が、ピックアップ。

about ARCH OPTICAL

眼鏡・サングラスを中心にしたセレクトショップ「コンティニュエ」がこれからのスタンダードとなれるよう、自分たちが考えるオーセンティックなアイウェアを目指してスタートさせたオリジナルブランド。物そのもので主張するよりも、実際に掛けたときこそ、掛け手の個性を引き出し、ほどよく新鮮に感じてもらいたいという想いで製作している。

PROFILE

長谷川昭雄

ファッションディレクター、スタイリスト。様々な媒体、広告のディレクションを手がけるなか、英国の雑誌『モノクル(MONOCLE)』では創刊よりファッションページの基礎を構築。2015年にはファッションディレクターに。2012年より2018年秋までは『ポパイ』のファッションディレクターを務めた。

嶋崎周治

Continuer Inc.代表。大学で数学を学び、料理研究家のマネジメントを経て、「コンティニュエ」を開業。趣味は仮説構築とボクシング観戦。

フイナム:今回は眼鏡とイチゴサンドの回です。全然関係ないように見えますが(笑)。

長谷川:いや、でも実は共通点があるんだよね。

フイナム:そーなんですね。眼鏡はどこのやつなんですか?

長谷川:「コンティニュエ」から出る新しいブランド。オーナーの嶋崎さんとは以前から知り合いなんだけど、こないだ「普通」をテーマにした新しい眼鏡ブランドを始めるって聞いたの。今日は嶋崎さんに来てもらったので、いろいろと聞いてみたいなと思ってます。

嶋崎:はい、よろしくお願いします。

長谷川:早速なんですが、「普通」の眼鏡ってどういうものなんですか?

嶋崎:まずは顔に馴染んだもの、そして相手(周り)から見て、違和感のないものだと思います。

フイナム:たしかに。まず眼鏡に目がいくような奇抜なものは「普通」じゃないですもんね。

嶋崎:はい。また、顔に馴染むかどうかは、掛け手の顔に対しての形、フチの太さ、色合いや質感などのモノ的な要因と、相手の常識によっても変わります。また、相手の常識は時代感や見慣れているなどの経験によっても変化します。

フイナム:「眼鏡は顔の一部です」というのもありましたよね。

長谷川:けど、そうなると人によって「普通」の眼鏡は違うっていうことなんですか?

嶋崎:そうとも言えますが、でも眼鏡の源流はレンズの形であるラウンド型ですし、近年のファッションシーンに限定すれば、深めのパント型(ボストン)ということになると思います。特にメタルフレームにおいてはそれが顕著ですね。

フイナム:たしかに定番といえば、ボストンっていうイメージはありますね。

嶋崎:あくまで僕の眼鏡選びの考え方ですが、まず顔に馴染むことが第一で、次にそこにちょっとした違和感を入れるんです。この違和感というか、ずらしの部分は人によって許容範囲が違ってきます。最近の「普通」は少し攻めてもいいような感じになってきていますね。

長谷川:なるほど。嶋崎さんから「普通」の眼鏡ができましたと聞いて見に行ったら、「意外とクセがあるなー(笑)」って思ったんですけど、そういうことだったんですね。

嶋崎:そうなんです(笑)。

アーチ・オプティカル〉眼鏡 ¥36,000+TAX(コンティニュエ)

長谷川:今回の〈アーチ・オプティカル〉はこの形だけなんですか?

嶋崎:最初は2型からスタートします。ヘキサンゴン型とスクエア型の2型ですね。写真のモデルはヘキサンゴン型のウィンザーリムです。

フイナム:ヘキサンゴン型っていうのは、どんな形なんですか?

嶋崎:ボストンの下側が少しカットされたような形です。これ、実はそんなに特殊なものではなくて、もともと存在している形なんです。この形がもう少し縦に深くなると“ストロベリーシェイプ”って呼ばれたりするんです。今回はイチゴサンドと同じ回だって聞いてたので、ちょうどいいかなって(笑)。

長谷川:すごい偶然でしたね!

嶋崎:なんでこの形にしたかっていうと、最近はレンズの縦幅が深いもの(パント型 exボストン)がトレンドだったんですが、僕はもっと「普通」のものが作りたかったので、縦浅にしようと考えたんです。

フイナム:流行りをそのまま形にするんじゃなくて、もっと根源的に「普通」なものをってことなんですね。

嶋崎:はい。でも、思いのほか製作に時間がかかってしまって、そのうちに縦浅のトレンドが来てしまいました(笑)。

長谷川:そもそも眼鏡ってすごく制約が多いですよね。目は二つだし、鼻の上に置かなきゃいけないし。

嶋崎:そうなんです。でも眼鏡はもともと実用的なものから始まっているので、装飾っていう考え方は、できた当初はなかったと思います。

フイナム:道具というか。

嶋崎:そう、トンカチとかと一緒ですね。そこからあらゆるデザインが試されていて、現在は最早やり尽くされているとも言えます。けど眼鏡って本当にミリ単位で印象が変わるものなので、そういう意味では今後もクリエイティブとして成立する余地もあるのかなと思います。

長谷川:確かにこの眼鏡、よく見ると細かいところに色々手が入っていますよね。

嶋崎:わかりやすいところでいうと鼻パッドの色ですね。肌に乗せたときの程よい馴染みと、少しの違和感が出るように3~4回染色し直します。

長谷川:ほんとだ! これ透明じゃないんですね。

嶋崎:そうなんです。あえて表現するなら暖色系の薄いグレーですね。

フイナム:ぱっと見、気づきませんでした。

嶋崎:それ以外に、サイズ感や縦幅はミリ単位、リムの太さは0.1ミリ単位という感じで調整して、多くの人にとっての顔なじみのいい条件、「普通」になる条件を作りつつ、ちょっぴり違和感を導入しようとして完成したのが、このフレームです。

長谷川:ある程度誰にでも似合う眼鏡を作らなきゃいけないっていうのは大変ですよね。外国人と日本人でも、随分違うでしょうし。

嶋崎:そうですね。外国人と日本人との違いで言うと、眉と目の位置関係などでも、似合う眼鏡の形は違ってきます。けどそうやって掛け手のことを想像するっていうのはすごく大事なことなんです。

長谷川:なるほど勉強になりました。ありがとうございます!

※2019年4月28日(日)発売です。

about TOMO

「食べる 作る おもてなし」をテーマに、ケータリングを中心とした食に関する活動を続ける。

PROFILE

TOMO

ケータリングの他、レシピ考案、マーケット出店など、食にまつわる様々な活動を行っている。信条は「心を込めて」。お問い合わせはInstagramの@tomo_tomo_0328のDMから。

フイナム:次は前にも「AH.H」で紹介した〈TOMO〉のイチゴサンドですね。

長谷川:そう。このイチゴサンド、本当にうまいんだけど、なんでこんなにうまいのか、ちゃんとトモちゃんに話をききたくて。というわけでよろしくね。

TOMO:はい、お願いします!

長谷川:〈ダブルタップス〉の撮影のときに、ケータリングを食べたのが最初だったんだよね。それが年末かな。

TOMO:そうですね。ケータリングを始めたのが去年の11月くらいなので、それくらいだと思います。

フイナム:それまではどんな活動をしてたんですか?

TOMO:レストランで働いていて、あとはレシピ考案のお仕事なども定期的に頂いていました。あるとき人にケータリングとかやってみれば?って誘ってもらって始めたんです。

長谷川:最初に会ったときはイチゴサンドじゃなくて、普通にお弁当のケータリングだったよね。そのお弁当が信じられないくらい美味くて、わざわざその感動を伝えに行った。絶対に伝えてあげないといけないって感じたから。

TOMO:そうですね。お弁当や焼き菓子なども作るんですが、長谷川さんがいち早く私の変なこだわりに目をつけてくださって、このイチゴサンドを取り上げてくれたんです。

長谷川:最初に食べたときはイチゴじゃなくて、確かパイナップルとみかんのフルーツサンドだった気がする。それもめちゃくちゃ美味くて。でも俺は地球上の全ての食べ物のなかでイチゴが一番好きだから、中身をイチゴに替えて作ってもらったのが最初。だった気がする。

フイナム:とくにイチゴサンドに強いこだわりがあるんですか?

TOMO:イチゴサンドの他にフルーツサンドも作るんですが、作ってて一番好きだなぁと感じるのがイチゴサンドなんです。洗練されているのか、野暮ったいのかわからない、クラシックな佇まいが好きです。

長谷川:見た目もすごい綺麗だよね。

TOMO:まず見た目で喜んで欲しいので、いかに断面を美しく保てるかには気をつけています。そのための試行錯誤もありました。で、そのあと「おいしい!」って言ってくれるのを見ると、また嬉しくなります。あとイチゴサンドを食べてるときの大人の顔って、すごく可愛いんです(笑)。それを見るのが好きだし、原動力になっています。

フイナム:インスタの投稿とか見ても、すごく真面目ですよね。

TOMO:私なりに1個を完成させるまでにはこだわりがあって、時間をかけています。他人から見たら下らない、時間の無駄と思われるようなことも、私にとってはとても大切なことなんです。

〈TOMO〉イチゴサンド 各¥600+TAX(TOMO @tomo_tomo_0328

長谷川:このイチゴサンドってさ、イチゴはもちろんうまいんだけど、パンがすごく柔らかくていいんだよね。あとクリームもめちゃくちゃ美味い。

TOMO:ありがとうございます。今のパンにたどり着くまでに、かなりの種類のパンを試しました。厚み、柔らかさ。高級だからいいっていうわけでもないんです。

フイナム:たしかに。絶妙なフワフワ感です。

TOMO:こないだこのパンでフレンチトーストを作ってみたら、それは柔らかすぎてあんまり美味しくなかったんです。なので、これはサンドイッチに適したパンなんだなっていうのを実感しました。

フイナム:クリームもすごくおいしいです。

TOMO:ホイップクリームの配合は内緒です(笑)。ポイントは、甘くしすぎないための工夫をしていることですね。フルーツサンドが嫌いと言っていた方が「これなら食べれる!」って言って下さったこともありました。

長谷川:わかる。それぐらいうまいもん。このイチゴサンド、1個600円なんだけど、それくらいの価値は全然あるなって思う。

フイナム:もしかしたら高いって言う人もいるかもしれませんね。

長谷川:高いものには理由があるんだよ。

TOMO:時間とか手間は確かにかかってます。撮影のケータリングで注文して下さる方が多いので、デリバリーは早朝のことも少なくありません。なるべくフレッシュな状態で食べてもらうには、夜から作り始めて、自分なりの数々の工程を経て、最後に1時間冷蔵庫で冷やしてお渡しできるのがベストなんです。

長谷川:だから、ほとんど寝ないで作ってるんだよね。デリバリーもすごく丁寧だし。これでもっと安かったら、全然利益出ないと思うよ。

TOMO:毎回ベストの状態で提供したいんです。その日の私のコンディションがどうかなんて、食べてくれる方には関係ないですから。とにかく心を込めて。それがイチゴサンドの顔となって現れると、勝手に思い込んでいます。

長谷川:思いとか気持ちが込められているのが、すごく伝わってくるんだよね。だから、なんか重い(笑)。

TOMO:重いサンドイッチ(笑)。でも、そうやって見てくれる人がいるんだなって、すごく嬉しかったです。

フイナム:こういうものづくりの話を聞けると、イチゴサンドがまた違って見えますね。

長谷川:そう。眼鏡もイチゴサンドも、すごく手間をかけて作っているし、そういう部分の価値って同じだと思うんだよね。

アーチ・オプティカル〉眼鏡 ¥36,000+TAX(コンティニュエ)、
〈ビームス〉ビッグシルエットのヘビーオックスフォードボタンダウンビッグシャツ¥11,000+TAX(ビームス 原宿)、
〈ライオン堂〉6Lサイズのイージーパンツ¥7,000+TAX(ライオン堂)、 スニーカーは私物

※〈TOMO〉のケータリングは
全て1人で作っているため、
1日に受けられるオーダーに限りがあります。
ご利用の際はお早めにご連絡を。

INFORMATION

コンティニュエ 03-3792-8978
TOMO @tomo_tomo_0328
ビームス 原宿 03-3470-3947
ライオン堂 03-3631-0650

STAFF

Direction&Styling _Akio Hasegawa
Photo_Seishi Shirakawa
Edit_Ryo Komuta

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