AKIO HASEGAWA. HOUYHNHNM

2020.11.12 Up
CROSS TALK

長谷川昭雄 × 南貴之

Talk06(後編)
ファッションディレクター、スタイリストの長谷川昭雄が、〈グラフペーパー〉、〈フレッシュサービス〉、「ヒビヤ セントラル マーケット」などを仕掛けるクリエイティブディレクターの南貴之と、「普通」に関してのトークを繰り広げるレギュラー対談企画。「普通」に対して思い入れの深い2人による、普通なようで普通じゃないファッション談義。それも今回で6回目。普通の定義だって、少しづつ拡張していきます。

PROFILE

南貴之

〈グラフペーパー(Graphpaper)〉、〈フレッシュサービス(FreshService)〉、「ヒビヤ セントラル マーケット」など、様々なブランド、ショップを手がけ、ファッション、カルチャーにまつわるあらゆる領域を手がけるクリエイティブディレクター。「alpha.co.ltd」代表。

長谷川昭雄

ファッションディレクター、スタイリスト。様々な媒体、広告のディレクションを手がけるなか、英国の雑誌『モノクル(MONOCLE)』では創刊よりファッションページの基礎を構築。2015年にはファッションディレクターに。2012年より2018年秋までは『ポパイ』のファッションディレクターを務めた。

blurhms

南:最初は〈ブラームス〉のコート。これは日比谷の店用に別注で作ってもらったやつ。前にデザイナーの村上くんと一緒に何かできないかって話をしてて。それで〈ブラームス〉にあるレディースのコートがすごく形が良くて、それをメンズサイズで作り変えてもらったのがこれ。このウールサージの生地もすごく好きで。

長谷川:かっこいいね。

南:コートはがっちり羽織るより、さらっと着てウエストで縛ったり、後ろで絞って終わり、みたいなそのくらいの感じがすごい好きで。

長谷川:いいよね、わかる。

南:最近あんまり寒くないじゃん。だからコートはこのくらいでマフラーとか、ネックウォーマーだけしとけばいいかなって思う。

長谷川:こういうチンストラップとかのディテールが好きなんだよね。

南:昔のコートはきっちり付いてるよね。これも押さえるとこは押さえて、抜くところは抜くみたいな感じが良くて。

長谷川:ドイツっぽい生地だね。

南:そうそう。

長谷川:色とかも。

南:昔の軍モノにありそうだよね。

長谷川:これ洗いたくなるね。

南:裏地もコットンだからね。洗っちゃうね、俺なら。

長谷川:ポケットもデカいし、いいね。 

南:この辺の内側の仕様は村上くんに任せてて。ガチガチの芯入りのコートというよりかはレディースっぽい少し抜いた感じなんだけど、要所要所はメンズのディテールでちゃんと作ってあるのがいいなって。これくらいの抜け感がいい。今回の〈クリスタセヤ〉の別注もそうだったんけど、女性向けに作ってあるメンズアイテムがすごい好き。

長谷川:このベルトもいいよね。ベルトって好きなんだよね。シングルのコートもいいんだけど、ダブルとかトレンチコートとかベルトが付いた服は着た時の雰囲気が全然違うよね。

南:あれいいよね。

長谷川:生地から作ってるの?

南:うん、オリジナルのやつ。

長谷川:いいね。

南:フランスのイタリア料理屋行った時におっさんとかが大抵肩の張ったボックスのジャケット着てたりするじゃん、キャップを被って。あの感じがする。しかも、大体こういう色のを着てるんだよね。

長谷川:わかる、かっこいいよね。

南:そんなおっさん向けの一着です。

FreshService

南:最近家にいることが多くて洗濯をよくするんだけど。このバスケットがめっちゃ良くて。中にPVCが張ってあって水が漏れないようになってて。前からあるんだけど、最近使っててすごいいいなって思った。

長谷川:へぇ、便利そう。

南:洗濯物を干しに行くときも使えるし、取り込むときにも便利だし。あと植木鉢を入れてもいいと思う。

長谷川:良さそうだね。植木鉢ってさ、あんまいいのがなかったりするんだよね。

南:そうそう。あんまりカッコよくないし、値段も高い。これだった普通の鉢に被せておけばいいしね。取っ手が付いてるから持ち運びもしやすいし。お子さんがいるところはおもちゃ入れに使ってもいいから、結構便利。

長谷川:確かに。

南:アイデア次第で何とでもなるね。使わない時はコンパクトにできちゃうから。

長谷川:これ自体も洗えるんだよね?

南:洗える。表地がキャンバスだから大丈夫。

長谷川:この色もいいね。

南:カーキとアイボリーがある。

長谷川:サイズはSとLの2種類?

南:そう。

長谷川:いいかもね。俺も洗濯好きだからさ。家だと、自分の好きなように洗濯できないわけ。嫁のペースもあるし。でも俺は自分のものをガンガン洗いたくて。あと色もちゃんと分けたい。

南:わかるわかる。黒いのと白いのとかね。

長谷川:そう、分けないと変な毛玉が付いたりして嫌なんだよ。事務所だと洗い放題だから、自分の好きなときにガンガン洗って。だから1日に3、4回は回すよ。

南:回しすぎだよ(笑)。

長谷川:乾燥機も付いてるんだけど、それでやるとたくさんできないから浴室乾燥機で乾かして、洗濯機はガンガン回してる。今日も洗濯してから来たかったんだけど、ギリギリ間に合いそうになかったから諦めた。

南:洗うと自分のものになった気がしない?

長谷川:そうかもね。

南:洗ってない服を着るのって、なんか恥ずかしいんだよね、ピシッとしててさ。

長谷川:あと汗吸わなそうでいやだ。

南:大体糊が付いてるからね。

長谷川:衣装も洗いたいもん。糊が付いてるからさ、なんかペタッとしちゃうんだよね。

南:嘘くさくなるよね。

長谷川:シワっぽくなってるところに服のロマンを感じるんだよね。

南:今日着てる〈トーマス メイソン〉のシャツも絶対スチームかけないもん。洗って吊るした重さでシワが取れるぐらいのがちょうどいいのよ。

長谷川:いいよね。だからさっきのコートとかも洗いたくなる。何もかも洗いたくなるんだよね。えらい目見るときもあるんだけどさ(笑)。

南:わかる。俺ニットを洗って、平たくして置いてたんだけど、あれよあれよと縮んでいったことがあって(笑)。こんなおもちゃ、昔あったなって思いながら眺めてた(笑)。

長谷川:あったあった。水に浸けておくと、ちっちゃい怪獣がデカくなるやつ。間違えてネクタイを洗ったことがあって。ネクタイって洗うとどうにもなんなくなるんだよ。なんかよく分かんない形になって。

南:洗濯クラブとか作りたいね。

長谷川:それいいね、洗剤とか売りたい。

南:今さ、おしゃれなコインランドリーとかあるじゃん。ああいうのイチからプロデュースしたい。スニーカーも洗えるよね?

長谷川:あるね。俺もスニーカー洗いたいんだよね。でも流石に自分んとこの洗濯機で洗いたくないから、たまに綺麗なコインランドリーで誰も使ってないようなスニーカーの洗濯機とか見つけると洗いたくなる。

LOOPWHEELER

南:次はスエット。これは〈ループウィラー〉さんに別注で作ってもらったやつ。今までは杢グレーのスエットで、それはそれでベーシックで良かったんだけど、インラインにもあるからワガママを言ってチャコールグレーの生地を作って頂きました。

長谷川:これ、いい色だね。

南:ほんとに。これすごい気に入ってて。色出しも上手いし、すべてが完璧なの。

長谷川:うん。

南:別注では杢グレーをやめて、このチャコールグレーがウチの定番のグレーになったっていう。普通っていう意味では杢グレーなんだろうけど、それは世の中にいっぱいあるじゃん。

長谷川:そうだね。

南:ウチ用に作ってもらったデカいサイズなんで、いいかなって。今回選んだものの中でも一番普通。普通だけど意外とないっていう。チャコールグレーのスエットってあんまりないんだよね。

長谷川:そうかもね。

南:スエットでグレーってなると、やっぱり杢グレーになっちゃうんだろうね。

長谷川:高校生の頃に、〈チャンピオン〉のチャコールグレーのスエットがすごい好きでよく着てた。あれは後染めだったかな。

南:そうなんだ。

長谷川:チャコールグレーのスエットを見ると、いつもその服を思い出す。昔着てたなって。

南:でもそれは杢じゃない?

長谷川:杢の後染めかも。

南:チャコールグレー杢はあるんだけど、チャコールグレーベタはないんだよ。

長谷川:ないね。

南:グレーだけは杢糸を使うんだよね、スエットって。なんか理由があるんだろうけど。

長谷川:あれなんなんだろうね。杢っていうのは違う色の糸を組み合わせてるんだよね?

南:うん、撚り合わせてる。

長谷川:なんでわざわざそんなことするんだろうね。

南:その方が糸の値段も高くなるしね。杢も嫌いじゃないんだけど、杢で作ったスエットは個人的には退屈な方の普通なんだよね。ウチには杢で作るデニムとかもあるんだけど、それはあんまりないからいいんだけどね。

長谷川:うんうん。

南:今回というか、今後ずっとウチのグレーはこうなりますっていう。杢グレーが欲しい人がいても今後は手に入らない。そのくらいこのチャコールグレーが気に入ってます。三型作りまして、三型買っております(笑)。ネイビーにも合うし、グレーと合わせても良くて。ベージュとか茶系とも相性良くて。

長谷川:チャコールとネイビーって意外と相性いいんだよね。

BODHI

〈ボーディ for グラフペーパー〉ハイスペッククルーネックスエットシャツ ¥79,000+TAX

南:最後が〈ボーディ〉と作った別注のカシミヤニット。ここの〈チャンピオン〉のスエットみたいな厚手のニットあるじゃん。

南:あれ着てたんだけど、俺には暑すぎて。もうちょい薄手にしてもらって。だけど、スエットっぽさは残してもらってます。この茶色がすごく気に入ってて、キャメルっぽい感じ。

長谷川:これもいい色だね。

南:形も〈グラフペーパー〉のスエットを踏襲して作り変えてもらってる。やっぱりカシミヤ100っていいよね。

長谷川:うん、いい。

南:あとさ、カシミヤって毛が長いから毛玉になっても落ちるんだよね。

長谷川:そうなんだよね。

南:ブラッシングすれば毛玉が落ちるから結構長く着れる。

長谷川:ウールって毛がくるくるしてるから、洗うと縮んじゃうらしいんだよね。カシミヤは毛が長いから洗っても縮まない。そういう理屈らしいね。だからカシミヤ製品も家でガンガン洗ってる。

南:洗っちゃっていいよね。俺もやってる。

長谷川:洗濯好きとしてたまらないアイテムだよね、カシミヤは。

南:あと洗うと元に戻るんだよ。伸びてたのが。

長谷川:それ、すごいわかる。

南:あれがいいよね。良いカシミヤと悪いカシミヤは洗えばすぐわかる。

長谷川:そうかもね。

南:悪いやつは、変な縮み方して、良いものは綺麗に戻る。

長谷川:確かにそうかも。

南:洗ってて思うもん。高いだけのことはあるなって。あと洗濯ネットでいいのがないから作りたいんだよね。意外となくない?

長谷川:そうなんだよね。俺、ウールの靴下作ってるじゃん。あれもなかなか難しくて、どうしても毛玉ができやすくて。裏返して洗ってもらうか、それか洗濯ネット付けて売るか考えたりしてるんだけど、なかなかいいネットがないんだよね。

南:ないよね。ネットを付けて販売するって可愛いね。

長谷川:こっちからこうしてくださいって推奨したり、洗濯は楽しいってことを広めていかないとさ。俺たちみたいに洗濯が好きな人もいれば、そうじゃない人もいるからね。

南:洗濯は面倒っちゃ面倒だからね。だけど、靴下に毛玉ができやすいのは擦れるからだよね?

長谷川:そうなんだよ。摩擦がすごいんだよね。それと家で履いてるとすごい埃が付いてさ。だから管理が大変で。そう考えるとスリッパも必要になってくるなって。

南:『AH.H』でスリッパもいいかも。家にいる人も増えたし。スリッパも気が利いたのがあんまりないんだよね。

長谷川:〈アグ〉のサンダルとか、「ビームス 」がくれた〈ビルケン〉とか、あんまり外でサンダルを履かないから部屋で履いててさ。そうすると履き心地をダイレクトに感じられるからすごい良いの。

南:確かにね。

長谷川:ビブラムとか、カシミヤもそうなんだけど、外よりも敏感に感じられるから、これを持ってて良かったって思えるんだよね。だから部屋着とか部屋で履くスリッパこそ、良いものにした方がいいと思う。

INFORMATION

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グラフペーパー青山 03-6418-9402
フレッシュサービス ヘッドクオーターズ
03-5775-4755
ヒビヤ セントラルマーケット03-6205-7894

STAFF

Direction_Akio Hasegawa
Edit_Ryo Komuta , Shun Koda

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