PROFILE
2014年に創立し、中国で5店舗を展開するセレクトショップ「ドウ(DOE)」。日本ブランドをはじめ、世界各国からセレクトされたブランドを展開するほか、コーヒースタンドも併設。中国のストリートシーンを牽引している。
ファッションディレクター、スタイリスト。英国の雑誌『モノクル(MONOCLE)』では創刊よりファッションページの基礎を構築。2015年にはファッションディレクターに。2012年より2018年秋まで『ポパイ』のファッションディレクターを務めた。
フイナム:1月8日(日)から中国のショップ「DOE」で長谷川さんがセレクトしたアイテムを販売するわけなんですが、改めて「DOE」はどんなお店か、お伺いできたらと思います。ちなみに長谷川さんは、「DOE」に行かれたことがあるんですか?
長谷川:いや、行ったことがなくて。いろんな人から中国だと「DOE」がいいショップだって聞いていたので、ずっと気になってたんだよね。「DOE」はどこにある、どんなショップなんですか?
DOE:中国に5店舗あって、上海、深圳、リゾート地のアランヤにもあって、あと今年9月に「ノースフェイス」と共同で作ったお店を杭州にオープンしました。そこにはオリジナルブランドとコーヒースタンドがあります。いわば、ショップインショップみたいな形ですね。
長谷川:コーヒースタンドもされてるんですね。
DOE:はい、全店舗でコーヒーを提供しています。
フイナム:カフェが併設されているって感じなんですか?
DOE:いえ、食べ物はなくて、飲み物だけです。「DOE」は2014年に立ち上がったんですが、元々は事務所の下の小さいスペースでコーヒーとオリジナルブランド、あとは〈バンズ〉や〈コンバース〉といったベーシックなスニーカーだけを取り扱う予定だったんです。ですが、借りた物件が想像以上に広かったので、今のように他ブランドをセレクトするようになりました。
長谷川:へえー。あまり中国にはないテイストのお店なんですか?
DOE:そうですね、はじめて来たお客さんは日本のお店だと勘違いする方も多いです。
長谷川:お店を作る時に参考にしたり、インスパイアされたものはあるんですか?
DOE:社長の1人は2002年頃から中国のユースカルチャーにフォーカスした『URBAN』という雑誌を作っていて、その時にいろんな国に行っていて、日本の街角に小さなコーヒーショップがよくあるじゃないですか、それを参考にしたみたいです。自分の編集部の下にこういうスタイルの店があったらいいんじゃないかっていう発想を元に形にしていったそうです。
長谷川:そうなんですね。今もそのメディアはあるんですか?
DOE:今はコンスタントに活動してないんですが、特集本を作る時だけ発行するという感じですね。2年前に〈ナイキ〉の本を出したのが最後です。
長谷川:雑誌作るのは時間もかかりますし、大変ですもんね。洋服だけじゃなくて、コーヒーが飲めたり、雑誌を作っていたりする方が面白いと思っているので、そういうお店と一緒にできて良かったです。
DOE:ありがとうございます。今でも店頭に日本の雑誌を置いていて、大半のお客さんは日本語が読めないんですが、ビジュアルを見てもらいたいので置くようにしています。
長谷川:中国にもいろんなファッションのスタイルがあるんですよね? どういったスタイルがあるんですか?
DOE:今はアウトドア系のファッションと、長谷川さんが作ったオーバーサイズのシティボーイスタイルがメインだと思います。
長谷川:そうなんですね! 噂には聞いてましたが、嬉しいことです。「DOE」では主に、どういったブランドを扱われてるんですか?
DOE:日本のブランドだと、〈ナナミカ〉、〈ゴールドウイン〉、〈フレッシュサービス〉、〈ビームス プラス〉、〈ベドウィン〉、〈ラミダス〉、〈リベライダース〉、あとフレグランスの〈リトゥ〉ですね。欧米だと〈ステューシー〉、〈パタ〉、〈グラミチ〉、ドイツの〈ア カインド オブ ガイズ〉。誰もが知ってるブランドもあれば、ユニークなものもあります。
長谷川:中国でファッションといえば、やっぱり上海なんですか?
DOE:そうですね。深圳もファッション好きな若者が多いんですが、上海とは少しスタイルが違っているので、取り扱いブランドも変えています。
長谷川:へえー。
DOE:深圳は〈ステューシー〉とか、もっとアメリカのストリートブランドが好きなイメージですね。上海は東京っぽくていろんなスタイルの人がいますね。
長谷川:上海の方がいろんな情報が多いってことなんですかね。
DOE:深圳も多くの情報が入ってくるんですが、一年中暑いこともあってそういうスタイルの人が多いんだと思います。でも、レイヤーのスタイルが好きなので、Tシャツにベストを着るみたいな感じですね。
長谷川:あーなるほど。環境の違いもあるんですね。
DOE:上海はそれとは違っていて、Tシャツにショートパンツみたいなできるだけシンプルなスタイルが多いですね。
長谷川:そうなんですね。
フイナム:そんな「DOE」で販売するアイテムもご紹介していけたらと思います。中国でも販売するんですが、せっかくなので、一部の商品を、少量だけ年明けに「AH.H ONLINE STORE」でも販売します。
about WASHABLE KNIT CAP
長谷川:これは〈SNBYA.H〉っていうメリノウールのスポーツウェアブランドの新作で、スポーツするときにも使いやすい、薄手のリブ編みのウォッシャブルニットキャップを作ったんです。そして、今回のイベント用に、「ラフアンドサニーデイ」で、A.Hの刺繍を入れてもらいました。
DOE:季節的にもいいですね。
長谷川:これは春先までは全然使えると思います。ウールはクラシックな素材でありながらも、ハイテクノロジーな素材でもあって、天然のエアコンのような機能があるんです。例えば、よく知られているように保温性がありますが、実は吸湿性もあって、汗などの水分を繊維の中に閉じ込めてくれるので、衣服が濡れた不快感を着用者に持たせにくいんです。それを生かして作られたウォッシャブルメリノの糸で編んだリブニットので、洗って、乾燥機に入れても、全然、縮まないんです。手入れもしやすくて使いやすいと思いますよ。
about LONG SLEEVE T-SHIRT
長谷川:加藤さんの〈ブローシャ〉とロンTもつくっていて、インラインとはディテールを変えてもらってます。
DOE:これもいいですね。
長谷川:インラインは、左裾に付箋からインスパイアしたという蛍光イエローの生地が縫ってあるんですけど、もっと手作業の感じを出したくて、A.Hの刺繍を施した付箋をさらに上から、しかもわざとずらして縫い付けて、付箋の下には若干被せるようにA.Hの刺繍をしてもらいました。かなりめんどくさい作業をやってくれた「ラフアンドサニーデイ」の堀川さんチームには感謝です。めちゃくちゃ高いクオリティで、B品紛いの物をあえて作ったんです。大手のアパレルにはできないことをしないと、つまんないですからね。
about THINSULATE COACH JACKET
長谷川:次は〈ピースバード〉のシンサレートが入ったコーチジャケット。これは昨年、東京で販売して即完したモデルです。今回は日本では販売しないんですが、なかなかの名品です。DOEのみで販売します。
フイナム:これはうちのスタッフも着ています。いいですよね
about PANTS
長谷川:世界で最初にクライミングパンツを作った、マイク・グラハムさんのブランド、〈ストーンマスター〉のパンツです。グ○○チも、この方が作ったブランドです。そこを商社に売った後に始めたのがこのブランドになります。生地は、ナイロンとコットンを混紡していて、ピグメント加工を施しています。実はこの加工が難しいようで、日本でしかできないそうです。このパンツにも今回は特別に「ラフアンドサニーデイ」でA.Hの刺繍を施してもらっています。
DOE:いい雰囲気のパンツですね。
長谷川:そうなんですよ、穿いていくうちにアタリが出たりするので結構楽しめると思います。
フイナム:こちらは、薄手の生地なので、ジップポケットに収納できるポケッタブル仕様になっているそうです。
about WASHABLE MERINO WOOL UTILITY WEAR
長谷川:これは先ほど紹介したウォッシャブルメリノのスポーツウェアブランド〈SNBYA.H〉の、ウォッシャブルメリノウールのTシャツと同素材のタンクトップです。先程もお伝えしたように、ウールは天然のエアコンのような素材と呼ばれています。ウールは本来、その時の体温や湿度に合わせて、一定の温度にある程度はコントロールしてくれる機能があるんです。なので、自然な範囲で保温ができながらも、汗などの水分を中に閉じ込めるから、多少は濡れても、濡れた感じがしなくて快適なんです。そんなウールの繊維をナイロンに巻き付けて、強度を持たせて、真っ直ぐな糸にしてあるから、洗濯して乾燥機に入れても縮まないんです。便利でしょ? スポーツにもいいけど、旅にも最高で、僕は一年中愛用しています。
about 1P BIG CHINO PANTS A.H
長谷川:その他は、前に〈ブローシャ〉とつくったパンツをこのために少し取っていて、僕のモデルがあったり…
about HAIR CUTTER FATIGUE PANTS YAGUCHI
長谷川:ヘアメイクの矢口くんのモデルがあったり…
about PHOTOGRAPHER PANTS S.S
長谷川:あとはフォトグラファーの白川くんのモデルがあります。それぞれディテールやシルエット、生地も違ってたりします。
DOE:「AH.H」で見ていたアイテムも多いので、どれも楽しみです。
長谷川:そう言っていただけてうれしいです。今回も本当は「DOE」に行きたかったんですけど、今は簡単に行けないと思うので。
DOE:落ち着いたらぜひ来てください!
長谷川:そうですね。今後もよろしくお願いします。
DOE铜仁路店
住所:上海市静安区铜仁路78号(88铜仁)
時間:10:00~22:00
Instagram :@doeshanghai
DOEでの販売について
発売:1月8日(日)
時間:10:00~22:00
場所:DOE铜仁路店
※詳細は「DOE」のインスタグラムで告知いたします。
※「AH.H ONLINE STORE」での販売は、1月10日(火)を予定しています。