ミリタリーの服は、男の服の基本形。テイラードのスーツだって元々は、軍服の襟を寝かせたところから始まっている。一方で、チープでありながらも完成されたデザインであるミリタリーウェアは、古くから全世界のミュージシャンや映画界から愛されてきた存在。
そうした本物のミリタリーウェアの中には、アウトドアブランドの技術が搭載されている服もあって、今や誰が何と言おうと、冬のアウターの“普通”。そう考えてみると、永年、アウトドアウェアを作り続けてきた〈nanamica〉が監修しているミリタリーウェアルーツのアウターは、すごく興味深い存在だと思う。
about INSULATION JACKET
これは〈nanamica〉が、米軍特殊部隊のMonster Parkaのデザインをベースにモディファイドした、インシュレーションパーカ。表地には、〈THE NORTH FACE〉も60年代から使用してきているポリエステル65%、コットン35%をミックスした糸で高密度に織り上げたウェザークロスを採用している。この生地は、はっ水性があるから短時間の軽い雨くらいなら大丈夫。もし仮に中綿が濡れた場合にも、保温性と軽量性に優れたPRIMALOFT® Black Insulationを採用しているから、ダウンのように保温性を失うことがない。
about UCP 10 POCKETS RIPSTOP PANTS
米軍のインシュレーションパーカをベースにデザインされているジャケットには当然、6ポケットパンツも相性がいい。これは、ACU(ARMY COMBAT UNIFORM)のUCP(UNIVERSAL CAMOUFLAGE PATTERN)という、米陸軍が採用していたホンモノの迷彩のパンツ。この岩場には溶け込んでいるような気がするけど、兵士の間では、コンクリートの背景にしか馴染まないとして評判が悪く、10年ほどで廃止されてしまった柄。少し前までデジタル迷彩は、ミリタリー色が強すぎて何だかなぁと思っていたけど、現行ではなくなった今、これはこれで、なかなかいい気がしてきている。
about GORE-TEX® LONG DOWN COAT
今回は撮影のために、ちょっと遠出をしたのだけど、大抵、そういう旅には、機能性の高いアウトドアウェアを着て出かけてしまいがち。そうなると、やたらと機能的な服を着過ぎてしまい、旅行者らしく見えすぎてしまう時がある。できたらいつもと変わらない服装でいたい。そういう意味ではミリタリーウェアをベースにしたデザインは、街着の基本だから、大げさな感じがしなくていい。これは、USアーミー/ M-1951パーカーシェルのデザインをベースにした、ロング丈のフィッシュテールのダウンコート。表地には、雨風に強い2L Polyester GORE-TEX Fabricsを使い、中綿には、体が発する遠赤外線を輻射して保温効果を高めるパウダー状の機能素材、光電子®を練り込んだダウンを採用。暖かく、雨を完全にシャットアウトするから、山奥でも都会でも雨でも雪でも、どんな環境でも、心配はいらない。
about SWEATSHIRT
インナーには、なんでもない形の、クルーネックの無地のスエット。中にタートルを合わせれば、真冬でも大丈夫。色は、後染めで褪色した雰囲気のチャコールグレー。首元から少しのぞく時にも、こうしてアウターを脱いだ時にも、派手すぎず、地味すぎず、いい馴染み方をする。