普通の服、
普通のスタイル。

中野を訪れたのは、数ヶ月前にヴィンテージ時計を見に来たブロードウェイ以来。だったのだが、まさかその真横に、「LOU」ができているとは。ワイワイガヤガヤした飲食街のど真ん中にあるとは思えないこの店の内装は、〈ポスタルコ〉のマイクさんによるものだそう。

自然派ワインが好きで、よく飲んでいる。それは、お洒落だからとか、そういうことではない。心の底から美味いと思うから。でも、なぜか、なぜか味を覚えることができない。その前に、酔って忘れてしまうのである。きっと、死ぬほど飲むからだ。にもかかわらず、次の日に二日酔いになることはほとんどない。それが自然派ワインの最大の魅力。これを知ったら、コンビニで買ったわけのわからないのを飲みたいとはあまり思わない。とは言え、人との交流が目的でもあるからなんでも飲むのだけど、もっとどこにでも、置いてあったらいいのになぁって思う。ここで扱っているワインは、自然派だけ。僕が一番好きなオレンジワインも扱っていた。白葡萄を使って、赤ワインの製法で作られるそれは、独特の風味で美味いのだ。

言うまでもなく、今やアルコール消毒液は、必需品。僕も一時期は、100円ショップで買った醤油専用スプレーに、日本酒からできている77％アルコールの消毒スプレーを入れて持ち歩いていた。のだが、こいつ昼間から飲んでるのか？　と思われそうなほど、酒の臭いが強かったから少し前に、この〈PALOS〉に乗り換えた。植物由来の原料に、アルコールを60％配合。西原の「BULLPEN」が別注したというヒバとパチュリの香りが落ち着く。お気に入りなのに2回も紛失しており、すでに3本目のコレ。中野へナチュールを飲みにきたついでに、この店でも手に入れられることがわかった。

ここ数年、カシミヤが人気だ。でも、子供でそんなものを愛用している人はいないだろう。単純に値段が高いというのもあるし、着心地のソフトさや軽さなんてものは、実はみんな、どうでもいいからではないだろうか。極端な話、ガサガサでも着心地がいいと思うことはあるし、なんならある程度の重さは、人に安心感を与えるというようなことを本で読んだことがある。

最近、代々木上原に新しくできた京都発祥のセレクトショップ「ロフトマン」が、山形県のニットブランド〈YONETOMI〉に別注したセーター。屈強でいながらも素朴な顔をしたこいつは、リジッドカシミヤと名付けられた代物。未洗の糸で、全く染めてもいないから「採れたそのままの、生の風合い」がある。そんな剥き出しな野生みと素朴さに、なんか惹かれた。限界まで強く撚った糸を高密度に編み立てているから、カシミヤらしい柔らかさがありながらも、適度な硬さと重さがあって、モチっとしている。着ていくうちに、しなやかになっていくという。何度か着て過ごしたけど、ガッチリした表面感はまだ変わらずキープされている。

〈VINCENT SHOE LACE〉を作っている古くからの友人がはじめた、一型4色だけの展開のパンツブランド。80年代のスケートブランドのそれをモチーフに、某メゾンの元パタンナーが美しいシルエットを作り上げた。オーガニックコットンで織り上げた、ガッチリしたツイルは、かなり頑丈。これも洗うたびに柔らかく、しなやかになっていくようで、将来が楽しみ。

帽子っていうのは、どこかへご飯を食べに来た時や美術館に行った時など、ファッションとは関係のない店に来た時の方が、なぜか買いたくなってしまうもの。実際、そうして集まったものが、僕の家にはいっぱいある。罪悪感なく、見つけたら即買いしてしまうのが帽子なのだ。