about JINS×Ronan&Erwan Bouroullec
〈ジンズ〉は、2017年より“メガネを本質からデザインする”をコンセプトに、世界的なデザイナー達との対話を通じてこれからの時代に価値あるメガネを提案する「JINS Design Project」に取り組み、 ジャスパー・モリソン、コンスタンティン・グルチッチらと協業。優れたデザインのメガネを多くの人が手に取りやすい価格で提供している。第5弾で協業するロナン&エルワン・ブルレックは、プロダクトデザインから公共空間、都市デザインに至るまで幅広い分野で活躍。「ヴィトラ」「カッシーナ」など多くの有名企業にデザイン提供を行い、手がけた製品がパリのポンピドゥーセンターやニューヨーク近代美術館をはじめとする主要な美術館に収蔵されるなど、現代のフランスを代表するデザイナーである。
SUGATA O
フイナム:長谷川さんって普段、メガネかけてるんですか?
長谷川:うん、よくかけてるよ。
フイナム:あんまりイメージがないんですが、伊達メガネですか?
長谷川:伊達っていうか、ブルーライトカットレンズが入ったメガネなんだよね。1日のなかで結構長い時間、携帯を見てるから夜になるとすごく目が疲れるんだよね。原稿書くときとかセレクトするときにもかけてる。
フイナム:なるほど。それで、今回は〈ジンズ〉が2017年から取り組んでる「JINS Design Project」の第5弾です。毎回世界的なデザイナーたちとものづくりをしているプロジェクトなんですが、『ポパイ』のときに一回撮影をしたんですよね?
長谷川:うん、第二弾のコンスタンティン・グルチッチさんのときね。
フイナム:今回は現代のフランスを代表するデザイナー、ロナン&エルワン・ブルレックです。
長谷川:〈ジンズ〉のように手に取りやすい値段でものづくりをしているブランドが、こういう世界的なデザイナーとコラボレーションするのって、すごく面白いよね。
フイナム:というと?
長谷川:誰でも、ものを買うときって、何かしらの付加価値を求めるものじゃない?
フイナム:そうですね。
長谷川:ものにストーリーがあって、それに共感したときに欲しいと思うわけで、そういう意味で考えると、このプロジェクト、コラボレーションって、いい付加価値の付き方になっていると思う。しかもそれが手に取りやすい値段となると、ファッションとかに興味がない人にも届くかもしれない。関心を持ってくれる可能性があるというか。それがいいと思うんだよね。面白い会社なんだなって感じる。
フイナム:意義があるというか。
長谷川:そう。で、誰だって値段は安い方がいいわけなんだけど、価格だけで勝負しているわけじゃないから、そこがいいんだよね。
長谷川:メガネといえばさ、一時期メタルのボストンタイプのメガネが流行ったことがあったんだけど、それって絶対に『ポパイ』の影響なんだよね(笑)。
フイナム:ホントですか??
長谷川:うん。メガネ屋さんがみんなびっくりしてたって聞いたことがある。それまではセルのウェリントン型が多かったんだけど、あるとき突然、メタルのボストンタイプが売れ始めたんだって。あんまりそういうことってないらしいよ。女の子にも売れたみたい。
フイナム:長谷川さんが流行らせたわけですね(笑)。いつぐらいの話ですか?
長谷川:1回目のサマーボーイ特集だから、7年くらい前かな。空バックでメガネをかけた男の子が表紙だった号。その写真がその後まで続く、新しいシティボーイ像を決定付けたと思う。
フイナム:たしかそれまでって、セル全盛って感じでしたよね。
長谷川:女の子の間でちょっと大きいフレームのメガネをかけるのが流行ってたんだよね。
フイナム:それもセルのウェリントンですか?
長谷川:そう。ほかにあんまり選択肢がなかったような気がする。で、なんか嫌だなって思ってたんだ。俺はどっちかっていうとメタルのボストンが昔から好きだったから。
フイナム:なるほど。
長谷川:メガネってトレンドみたいなものがあるみたいだけど、今回のメガネはどうなんだろうね。
フイナム:明確に~タイプっていうのがない気がしますね。
SUGATA S
フイナム:長谷川さんといえばネイビーですが、このスタイリングは黒ですね。
長谷川:黒ってファッションっぽく見えすぎちゃって、ちょっと強すぎる気がするんだよね。狙った感じがするというか。けど、ちょっと新鮮でいいなって気がする。
フイナム:ネイビーが流行ったおかげで、黒が少し追いやられた感じがしますよね。
長谷川:そうかもね。昔ってさ、Tシャツのラインナップも、白・黒・グレーしかなかったから、ネイビーのTシャツを見つけると絶対買ってたんだよね。できるだけ濃いネイビー。黒に近いネイビーに黒を合わせるのはずっと好きなスタイルなんだ。でも、何周も回った結果、全部真っ黒もいいなって最近は思ったりする。
フイナム:いまはだいたいのブランドがネイビーを作ってます。で、このスタイリングでは黒をあしらった家具を使っていて、メガネも黒です。ちなみに家具は、メガネと同じくロナン&エルワン・ブルレックがデザインしたものですね。
長谷川:なんかこの椅子、今回ユーゴがかけてるメガネと似てる気がするんだよね。丸みといい、質感といい。
フイナム:たしかに。「ベルヴィル チェア」っていう名前らしいんですが、ウッドの部分はいろんな素材があるらしいんですが、フレームは基本黒みたいです。
長谷川:そうなんだ。鳥もかわいいよね。
フイナム:これもロナン&エルワン・ブルレックによるものなんですよね。北欧の民芸的な。
長谷川:なんの意味もないけど、こうして置いてみてると、なんだかいいね。
フイナム:今回のメガネって、いろいろキーワードがあるんですけど、なかでも「エレガント」っていうのをすごく重視しているらしいです。あと「ジェントル」。
長谷川:なんかわかる気がする。ちょっと上品で優しげな感じになるもんね。
フイナム:そうですね。
長谷川:アレクシスってもともとすごく綺麗な顔立ちをしているけど、それが余計に際立つ。
フイナム:かけるひとによって印象は違うんでしょうけど、すごく大人っぽく見えますよね。
長谷川:そうだね。あとロナン&エルワン・ブルレックがつくるプロダクトはどれも全体に丸みがあって、優しさを感じるよね。
フイナム:たしかに。
長谷川:このスタイリングでも使ってるけど、家具もそういう感じがする。曲線というか。
フイナム:カクカクしてないですよね。
長谷川:そうそう。このメガネってスクエアタイプなんだけど、やっぱり角が丸くなってるし。柔らかい印象になるよね。
フイナム:「ジェントル」っていうことなんでしょうね。
SUGATA ST
フイナム:この「SUGATA ST」というモデルは、ストレンジ(STRNAGE)でSTということらしいです。
長谷川:へー。ストレンジといってもそこまで変わった形ではないよね。ちょっとウェリントンっぽいというか。
フイナム:そうですね。いろいろな形のテイストが混ざってる感じはしますよね。そういう意味で、伝統的な形ではない、という意味なのかもしれません。
長谷川:ていうか、今回のコレクションってどのモデルも同じような方向性だよね。
フイナム:はい、けっこう似てると思います。デザイナー曰く、すべて同じコンセプトのデザインだとか。
長谷川:いろいろかけてみたくなるよね。メガネって結局は、かけるひとによって全然違うから、かけてみないとわかんないし。
フイナム:このスタイリングにも、ロナン&エルワン・ブルレックがデザインした家具を使ってますね。
長谷川:うん。こないだ〈ヴィトラ〉と〈アルテック〉のPRの平井さんにいろいろ話を聞いてきたんだけど、このテーブル、〈アルテック〉の「カアリ テーブル」っていうんだけど、この三角の部分をテーブル以外にも、いろいろなプロダクトに応用してるんだって。
フイナム:へー。
長谷川:もともと、「アルテック」をつくった一人である、アルヴァ・アアルトさんが開発した「L - レッグ」っていうのがあって、それをいろんなプロダクトに応用したということに敬意を表してということらしい。
フイナム:考え方の部分を受け継いだんですね。
長谷川:そう。そういうことを聞くとすごく欲しくなるよね。やっぱりプロダクトっていうのは、ものに込められたフィロソフィーがわかった方がよく見える。
フイナム:間違いないですね。
長谷川:テーブルの上にあるフラワーべースも、彼らが好んで使っているモチーフである8つの楕円形を重ねた形をベースにしてるんだって。
フイナム:いいですね、そういうのって。
長谷川:ね、いいよね。あとメーカーからしたら、大量生産していくうえで、複数のプロダクトにおける共通パーツがあるっていうのは、すごくいいことだよね。作り手としての責任感があるんだと思う。
フイナム:作っておしまいではなくて、きちんと販売するということまで考えが及んでいるんですね。
長谷川:アート作品じゃなくて、人が使うものだからなんだろうね。椅子もメガネもすべてそういう哲学によって作られているんだと思う。毎日の生活のなかで使い勝手が悪いなって思ってしまったら、やっぱり使わなくなるもんね。そういう話を聞いて、彼らのデザイン哲学にすごく興味が出たんだよね。
SUGATA R
フイナム:最後はラウンド型ということで、これはまぁ丸っぽいですね。けどやっぱり絶妙な形ですね。普通だけど普通じゃないというか。
長谷川:そうだね。なんかこの形は、女の子がかけた方が可愛かったんだよね。まぁ女の子っていうか、この二人が似合っただけだと思うけど。
フイナム:ちなみに今回のメガネって、“ヨロイ”がないんです。
長谷川:“ヨロイ”ってなに?
フイナム:えーと、「レンズを囲んだリムとフレームの開閉に必要なヒンジをつなぐところ」です。
長谷川:へー。わかるようなわからないような。まぁたしかにないかもね。フロントからテンプルにすーっと続いてるってことか。そのせいなのか、すごく全体的にシンプルだよね。
フイナム:そうなんです。
長谷川:今回の「SUGATA」ってどういう意味なの?
フイナム:かける人の表情に溶け込みながら、その人の“姿”をつくる、っていうことみたいです。
長谷川:なるほどね。さっきも言ったけど、同じメガネでも、顔の形や、鼻の高さだったりで、全然印象が変わってくるから、たくさん試してみた方がいいね。なにかしらは似合うはすだと思う。
フイナム:今回のプロジェクト、4年前からスタートしていたみたいです。
長谷川:そうなんだ。すごいね。すごくシンプルなメガネだけど、彼らのフィロソフィーがぎっしり詰まっている感じがする。
フイナム:それでいて、5000円+税(レンズ代込み)ですからね、とんでもないですよね。
長谷川:値段以上の価値は間違いなくあるよね。
フイナム:いろんな形、そしていろんな色を試す気になるし、新しいメガネの体験を生み出すような気がします。
長谷川:そうだね。今回のプロジェクトって、本当に〈ジンズ〉自体の価値を上げるものだと思う。目がいいひとでも、さっき話したブルーライトレンズを入れたりして、使ってみたらいいんじゃないかな。伊達メガネが悪いわけじゃないけど、ブルーライトレンズを入れたりした方が、もの自体に意味が生まれるしね。
フイナム:何個も買えますしね。
長谷川:そうそう。
JINS Design Project #05
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