AKIO HASEGAWA. HOUYHNHNM

2019.10.31 Up
Focus on

気になる服とか人とか。

Vol.12
LE
世の中には、いろいろな「普通」が存在する。一見、変わっているようで、実は「普通」なもの。「普通」なようでいて、実はすごく斬新なクリエーションを持つもの。様々なかたちの「普通」を「AH.H」が、ピックアップ。今回は「レショップ(L’ECHOPPE)」のオリジナルレーベルである〈LE(エルイー)〉。

about LE

青山のセレクトショップ「レショップ」のオリジナルレーベル。ショップ名の頭文字を取って〈LE〉。これまでにシャツ、Tシャツ、パンツをリリースしており、新作のセットアップが11月1日(金)に発売になる。

PROFILE

長谷川昭雄

ファッションディレクター、スタイリスト。英国の雑誌『モノクル(MONOCLE)』では創刊よりファッションページの基礎を構築。2015年にはファッションディレクターに。2012年より2018年秋まで『ポパイ』のファッションディレクターを務めた。

金子恵治

セレクトショップ「エディフィス」にてバイヤーを務めた後に独立。自身の活動を経て、15年4月に「レショップ」を立ち上げる。独自のバイイングスタイルには業界内外問わずファンが多い。

SINGLE JACKET:SIZE3、6POCKET PANTS:SIZE1

SINGLE JACKET:SIZE5、6POCKET PANTS:SIZE3

SINGLE JACKET:SIZE3、2PLEATS TROUSERS:SIZE3

DOUBLE JACKET:SIZE1、2PLEATS TROUSERS:SIZE3

SINGLE JACKET:SIZE3、2PLEATS TROUSERS:SIZE2

DOUBLE JACKET:SIZE5、6POCKET PANTS:SIZE3

DOUBLE JACKET:SIZE5、6POCKET PANTS:SIZE3

DOUBLE JACKET:SIZE1、6POCKET PANTS:SIZE3

長谷川:今回のセットアップはどういうものなんですか?

金子:ジャケットはシングルとダブルの2種類、サイズが1から5まであります。パンツは、軍チノ、6ポケットパンツ、2プリーツスラックスの3種類で、サイズは1から3までです。さらにブラックとベージュの2色展開になります。

長谷川:全部並べるとすごい量ですね。

金子:そうなんです。基本的には〈ブルックス ブラザーズ〉がベースになってまして、あとは軍モノを忠実に再現したりとか。基本的には「THE~」的なものを作ろうと思っていました。

長谷川:初めからセットアップでいくつもりだったんですか?

金子:そうですね。普段からずっとTPOみたいなことを考えているんですが、最近その辺がすごくユルいですよね。他のお店の話を聞いていても、ビジネスウェアの需要が少なくなってきているようですし。そういう声が多いなか、〈LE〉で「THE~」なものを作りたいっていうのがあって、ユルユルのTPOのなかでどんなものを作ればいいのかなと考えたんです。それで思いついたのが、ONでも使えてこなし方によってはOFFでも使えるものでした。パンツは3種類ありますが、6ポケットパンツとか2プリーツのパンツなんかは、こなし方によっては色々なシーンで着られるのかなって。この5種類のアイテムがあれば、ほぼほぼいけるんじゃないかなって思うんです。

長谷川:この2色展開には、何か意味があるんですか?

金子:黒は本当にどこでも使える色だと思うんです。もしかすると急なお葬式とかにも使えるかもしれないです。ベージュに関しては、今回はアメリカを意識したアイテムなんですが、そうなると僕のなかでアメリカってなると、こういうベージュのチノパンみたいなイメージがあるんですよね。カジュアルでこなすときには欠かせない色なのかなと。ネイビーもいいんですけど、2色ならこの2つかなって。

長谷川:たしかに〈ブルックス ブラザーズ〉でも、毎シーズンコットンのスーツがあるんですけど、それがだいたいベージュなんですよね。そういうことなんですかね?

金子:そうなのかもしれないですね。やっぱりアメリカのトラッドってなると、ベージュっていうのはすぐ浮かんできますよね。

長谷川:たしかに。馴染みがいいっていうか、なんでも合いますよね。

金子:そうですね。白のBDシャツにベージュのジャケットみたいな。

長谷川:黒はちょっとネイビーっぽくも見えますよね。

金子:たしかに。いわゆる真っ黒ではないですね。生地の光沢がすごいので、もしかしたらそう見えるのかもしれないです。いまって最初から味が出ているような生地って多いと思うんですけど、これはその逆を張ったというか。

DOUBLE JACKET:SIZE1、2PLEATS TROUSERS:SIZE3

DOUBLE JACKET:SIZE1、2PLEATS TROUSERS:SIZE3

長谷川:〈ブルックス ブラザーズ〉をベースにして、どんな風にアレンジしているんですか?

金子:一番手を入れたのは肩の傾斜ですね。やんわりさせたというか。ちょっとオーバーサイズで着てもあんまり出っ張らないようにしています。元ネタの方はもっと傾斜がなかったり、ストンと落ちる感じなんですけど、そこはパタンナーと密に話してうまくアレンジできたと思います。あとはシルエットに関しては、ダーツを入れています。ボックスシルエットだと、どうしてもブレザーっぽくなっちゃうのかなって。

長谷川:そうか。ボックスではないんですね。

金子:そうなんです。若干シェイプされていて。でも着てみると、あんまりドロップされている感じはしないと思うんです。

長谷川:少しシェイプされてないと、カジュアルすぎちゃうんですかね?

金子:そうですね。いわゆるブレザーと呼ばれる、スクール、カレッジで使われるようなものと、テーラードの中間くらいのものにしたかったんですよね。本当にTPOばっかり意識していたので、テイストとかカッコよさとかではないところで作りました。

長谷川:ダブルのジャケットもありますよね。これとかは(〈LE〉の監修を務める〈コモリ〉デザイナーの)小森さんからの意見なんですか?

金子:いや、これも最初から決めてました。やっぱりジャケットだったら、シングルとダブルは作ろうって。あとは自分のなかでいまダブルが気分っていうのもあって。

長谷川:僕も着てみて、ダブルいいなって思いました。

金子:6ポケットパンツとか軍チノを穿いたときにはダブルの方がいいんじゃないかなと。

長谷川:あぁたしかに。あと素材が同じなので、軍パンでも違和感がないですよね。

金子:そうなんです。古くから紺ブレと軍パンの合わせって存在していたので、そこが合うっていうのはわかってたんです。あとは共地にしたときにどうなるのかなっていうのはありました。そこは着てもらうひとのテクニックなのかなって。

長谷川:ダブルのブラックのサイズ4に、ベージュの軍パンの4を合わせるのがベストな気がしてきました。そうやって色を外すのもありなんですかね?

金子:ありだと思います。黒のジャケットにベージュのパンツ、ベージュのジャケットに黒のパンツ、どちらも違和感なく合わせられると思います。全部同じ素材で作ることで、いままでの常識ではないような新しい組み合わせが生まれるような気がしたんですよね。

長谷川:普段は色が揃ったセットアップしか着ないんですが、こういうときは色をバラバラにして着てみたくなりますよね。

金子:このベージュ、このプロジェクトを一緒にやっているTITOさんには、「このベージュに果敢にトライするのは相当リスキーですよ」なんて言われました。

長谷川:あ、そうなんですね。

金子:「でも金子さんが言うと、このベージュもあたかもスタンダードな色に見えるんですよね」って。

長谷川:たしかに金子さんの口調って、半分詐欺師みたいですからね(笑)。

金子:えー、そんな(笑)。

長谷川:けど金子さんが着るとなんでも似合いますよね。

DOUBLE JACKET:SIZE5、2PLEATS TROUSERS:SIZE3

SINGLE JACKET:SIZE5、6POCKET PANTS:SIZE3

長谷川:生地はどういうものなんですか?

金子:チノというか、ナイロンタッチ?っていうぐらいの高密度のツイルを使っています。ピシッとしているとドレッシーに見えますね。

長谷川:表面にはノリがついてるんですか?

金子:いや付いてないです。これは高密度のツイルならではの光沢なんですよね。

長谷川:このジャケット、洗うとどんな感じになるんですか?

金子:ファーストサンプルは一回洗ってみたんですけど、ちょっとシワがゆるゆると出てきました。昔はジャケットを洗うっていう概念がなかったと思うんですけど、これだと洗ってもいいかなって。わざとそうやって揉んで着るのもカジュアルっぽくていいと思います。そういう意味ではこの生地には二面性みたいなものもあるような気がします。ただ、洗うなら裏返して洗った方が安全かもしれないですね。

長谷川:なるほど。

金子:洗っていくと肩のあたりにシワとかアタリが出てきてしまうんですが、なるべくそれが出ないようなつくりにしています。この辺は小森さんもすごく考えてくれましたね。

長谷川:裏側、すごく綺麗ですね。

金子:そこはすごくこだわったところではあります。サンプルも2~3回作ったんですけど、肩の部分のゴロツキを解消するために、うまく“つまんで”るんです。工場ともけっこうやりとりがありました。このへんはカバーオールというか、ワークジャケットっぽいのかもしれません。

長谷川:やっぱりジャケットって着ていて楽だし、みんなもっと着たいって思ってるはずなんですが、肩がネックなんですよね。Tシャツとかスニーカーが合うような肩じゃないと。

金子:まさにその通りで、これはシャツというよりもTシャツで合わせてほしいんです。サンプルが上がってきて試着するときもたいがいTシャツでした。シャツはどうやっても合うので。

DOUBLE JACKET:SIZE5、6POCKET PANTS:SIZE3

長谷川:これ、どのサイズも意外と着れちゃうので、悩みますね。

金子:試着率がものすごく高いアイテムになるかもしれませんね。シャツのときもみんな試着しまくりましたから。小柄なひとほど選択肢が多いような気がしますね。アキオさんは、ワイド一択かもしれませんが(笑)。

長谷川:(笑)。けどジャケットを1にして、ピタピタにしてみると、また全然違う感じになりますよね。

金子:そうなんです。無限に組み合わせがあるような気がするので、なにが正解なのかはよくわからないですね。

長谷川:これは本当に迷惑なアイテムですね(笑)。決めるのに2時間くらいかかっちゃうんじゃないですか?

金子:たしかに。試着待ちがすごそうですね。

長谷川:試着室をいっぱい作んないといけないんじゃないですか。で、一人の時間を決めるとか。

金子:そうかもしれないですね。

長谷川:試着しやすいように、お店の入り口でペラペラのトランクスみたいなのを配ったらいいんじゃないですか。靴も脱いで、みんなそれを履いて、試着しまくるっていう。その日はお店はこれだけにして(笑)。

金子:それアキオさんに店頭に立ってもらいたいですね。で、全部シューティングしていくとか。

長谷川:いやいや。でも、着たやつを撮ってあげるのはいいかもしれないですね。試着するのが楽しくなってくると思います。あと、これぐらいプレーンな服の方がいまっぽいですよね。変にデザインされているわけではないので。

SINGLE JACKET:SIZE3、2PLEATS TROUSERS:SIZE2

長谷川:数はまんべんなく作ってるんですか?

金子:いや、そんなことないです。サイズがたくさんあるので、どれが人気になるかわからないので。人気のサイズや型がわかれば、そこからすぐ追加をしていくっていうやり方ですね。それができるのが〈LE〉のいいところではあります。

長谷川:「ベイクルーズ(レショップの運営母体)」って自社工場があるんですか?

金子:いや、自社工場はないんですが、すごくやりやすい環境ではあります。あと全体のスケールが大きいので、コスト面にもかなりいい影響があるんですよね。

長谷川:なるほど。これ、形を決めても、次にサイズで悩みますよね。。

金子:そうですね。自分もジャケットは2でも3でも4でもいけますからね。

長谷川:うーん、いいのを作りましたね。

金子:ありがとうございます。今日ようやくそれを実感しました。ひとに見せたのも今日が初めてなので。

長谷川:こうやって着てみて初めてわかる服っていうのは、いいですよね。

金子:そうですね。いまってなんでもかんでもわかりやすい服ばかりが作られるので。インスタ映えしちゃえばOKというか。そういう意味ではこういう服は楽しいですよね。今後はどんどんサイズを増やして、どんどんややこしくしたいなって思います。

SINGLE JACKET:SIZE1、NO PLEATS PANTS:SIZE3

SINGLE JACKET:SIZE5、NO PLEATS PANTS:SIZE3

長谷川:〈LE〉のことはいつごろから考えてたんですか?

金子:「レショップ」を立ち上げる前からですね。それを一番体現していたのが、最初にリリースしたシャツなんです。9つのフォルムがあって、〈ブルックス ブラザーズ〉のシャツをベースにしていて。すごく王道なんだけど、元ネタよりもいい素材でいい縫製っていう。そんな風に作れば、僕らみたいな服をいっぱい見て買ってきたひとでも、欲しいなと思えるものができるんじゃないかって。

長谷川:なるほど。

金子:このセットアップも、王道にはない素材とか組み合わせができたと思いますし、原型を越えていきたいなって思っていて、いつもそうやって商品を考えています。

長谷川:ファッション業界のひとらしい考え方ですよね。いわゆる業界のひとが考える普遍的な捉え方だとは思うんですけど、こういうやりかたって意外とあんまりないですよね。

金子:みんな似たようなことは思っていると思うんですけど、実行するひとが少ないっていう。どうしてももう少しわかりやすい表現になるとか、コレクションとしてはっきりさせてしまうんですよね。そうなってくると、本来求めていたことと違ってきちゃうんですよね。とにかく一過性のものになるのがすごくいやなんです。このアイデアって3年後に生まれていても、みんなが感じることって一緒だと思うんです。いまっぽいっていうことではなくて、たまたまいま作っただけというか。

長谷川:精神性みたいなことにも繋がってきますよね。

金子:そうですね。だからなるべく歴史のあるものをベースにしています。歴史があるものって今後も変わらないと思うんです。王道のものをリスペクトしてつつ、恥じないものをちゃんと作って、新しいアイデアを入れて。

長谷川:すごくわかります。この手の仕事をしていると、みんな服って家にたくさんあるじゃないですか。だから、わざわざ買うときって理由がないと買いたくないんですよね。どういうものであれば、自分にとって必要なのかっていうのが大事なのかなって思うんです。で、僕にとっては普通なものがいいということになるんですが、それも昔からそういうことを思っていたかっていうとそうでもなくて。いろんな変なものも散々買ってきたからこそ、そういう風に思えるのかなって。

金子:本当そうですよね。なんか40歳を超えてくると変わってきませんか? 自分はすごくそう思うんです。あと自分の周りにいるひともテンションが似ていて。

長谷川:わかります。あと、例えば小森さんと話していると、このひとってこういうことが好きなんだなっていろいろ発見があるんですけど、〈コモリ〉の服からはそういうのは見えてこないんです。それはあえて出さないようにしているんだと思うんですけど、でもだからこそ面白いんだと思うんです。自分の興味あることをそぎ落として表に出すから、すごくソリッドでミニマルに見えるんですけど、実は背景にはカルチャーがあるんですよね。普通に見せかけているけど、背景があるものじゃなければ、面白いと思わないと思うんです。

金子:そうですね。

長谷川:やりすぎたものは、もう見飽きたし、散々着てきたからもうあんまり興味が持てないんだなって。

金子:今回、小森さんはいろいろなところを見てくれてるんですが、とくに縫製面はすごく細かくいい感じに指示してくれてます。細かいところにオーラがあるのはそういうことだと思います。自分のブランドを作るときと全然違うんですよね。すごく悩んでます。

SINGLE JACKET:SIZE5、6POCKET PANTS:SIZE1

SINGLE JACKET:SIZE5、6POCKET PANTS:SIZE1

金子:実は最近不思議な現象が起きていて、〈LE〉の考え方って僕ら世代が分かり合えるかなって思うんですけど、いまむしろ若い子にすごく共感してもらえてるんです。20代前半の大学生とか。

長谷川:わかります。僕もモデルにする子で、20歳くらいの子がいるんですけど、その子と趣味が合ったりするんですよね。なんでなんだろうなって思ったら、その子のお父さんが僕と同じくらいの歳で。

金子:あー、それはあるのかなー。

長谷川:聴いてきた音楽とか、着てきた服が似てたりするんですよね。ジェネレーション的に近いとそれはそのまま子供に受け継がれたりするんじゃないかなって。

金子:そっか、それは気づきませんでしたね。。そうかもしれないです。とにかく大学生とめちゃくちゃ話が合うんです。

長谷川:(笑)。

金子:ポップアップイベントとかやると、9割くらいが大学生だったりするんですよね。普通に喋ってても、向こうもなんとなく感覚でわかってくれるというか。

長谷川:ですよね。だからよく世代でジャンルを切ったりするじゃないですか。でも、意外とそうではないんじゃないかなって。同じようなものが好きなひとの集まりって、年齡の軸じゃないというか。

金子:そう思います。「レショップ」を立ち上げるときって、おじさんのためのセレクトショップっていうのが、社内で一人歩きしそうになっていて。40代のための、みたいな。そこにすごく違和感があって。いやいや“洋服が好きなひとのためのお店”なんじゃないのかなって。それには年齡とか関係ないんですよね。なのでスタッフにも20代の子を入れたり。好きだから同じテンションで仕事ができるし、お客さんの幅も広いです。“好きだから”集まるんです。

長谷川:面白いですね。

金子:このセットアップも、これから社会人になるひととかにもいいのかなって。

長谷川:買える値段ですもんね。

金子:はい。なにかの集まりがあるときとかにもいいんじゃないかなって。

長谷川:改めて思うんですが、このセットアップってすごく「レショップ」らしいなって思います。ファッションブランドって、スタイリングというものにはあんまり興味がないと思うんですよね。プロダクトに特化しているというか。デザインするという作業自体がそういうことだからという気もするんですが、組み合わせを考えて作ってないことが多いような気がして。だからルックの仕事ってけっこう難しくて。その点、これは組み合わせが自在というか。それがいいですよね。生地が同じっていうのも大きいような気がしますが。

金子:なるべく無垢な感じにしたかったんです。これがキャンバスだとしたら、いろいろなものを合わせてほしいんです。

長谷川:これ、何通りの組み合わせがあるんですかね??

金子:さぁ、どれくらいあるんでしょうか(笑)。

長谷川:そもそも、このコンセプトがすごく好きなんですよね。僕、NBAがすごく好きだったんです。当然「シカゴブルズ」が好きだったんですけど、当時トライアングルオフェンスっていうのをやってたんです。つねに三角形をつくって、その三角形をいろいろなところで組み立てていけばオフェンスがスムーズにできるっていうシステムで、誰がどこにいてもいいんです。そのオフェンスの仕方っていうのがもう何百通りもあるので、いわゆるセットプレーをやったときに強いんですよね。それがすごく画期的だなって思って、フィル・ジャクソンっていう監督のひとの本を読んだりして、そういう目線でNBAを見てたんですけど、それと似たようなものを感じます。

金子:あぁ、なるほど。まぁ試着祭りになって回転率は悪そうですけどね。。けど、回転率の悪いものほど魅力的なものが多いかもしれないです。あとは無駄に手間をかけたものとか。〈ニート USA〉とかまさにそうで、無駄に一緒にアメリカに行って、無駄な動きをしてつくって、でもそれが魅力的で。

DOUBLE JACKET:SIZE1、2PLEATS TROUSERS:SIZE3

DOUBLE JACKET:SIZE1、2PLEATS TROUSERS:SIZE3

DOUBLE JACKET:SIZE1、6POCKET PANTS:SIZE3

長谷川:今回改めて思ったんですが、パンツってやっぱり大事ですね。何事もそうなんですけど、大枠が決まらないうちに細かいことを決めてもしょうがないんじゃないかって思うんです。だからまず全体像を決めたいんですよね。で、コーディネートを組むときにパンツってすごく重要で。ひとに着せるときにはまずパンツを履かせないことには見えてこないんです。パンツが良くないと、もうどうにもならないんですよね。サイズを大きくしたりとか、ロールアップしたりしたのも、実はそのへんがちょっと関係していて。だからいいフォルムを持っているパンツっていうのは本当に重要なんです。西野くんがやっている〈ニート〉みたいにパンツを大事にしているっていうのは、すごくいいことだなって思います。

金子:確かにそうですね。

長谷川:いいパンツって本当にあんまりないんですよね。みんなパンツを作るときにどうしているかわからないですけど、世の中には名作とされているものがいくつもあるわけじゃないですか。軍チノならこれとか。そういうのを真似して参考にして作ればいいのになって思うんです。

金子:これもTITOさんが言ってたんですが、「最近の風潮としてみんなパンツをあんまり試着しない」らしいんです。

長谷川:そうなんですね。試着しないとわからないと思うんですけどね。じゃぁ店の入り口で靴を脱がせるのはどうですか?(笑)

金子:あー、確かに(笑)。パンツ屋をやるなら絶対いいですね、それ。玄関つけたりして。南くんのお店(「フレッシュサービス ヘッドクォーターズ」)とかそういう感じですもんね。そういう意図ではないだろうけど。わー、いま新しいお店の形が生まれましたね! ちなみにパンツを買うとトップスも買ってくれることが多いんですが、その逆は起きにくいらしいんですよね。

長谷川:なるほど。

金子:それは販売スタッフの問題もあるのかもしれないですね。試着に持っていくスキルというか。

長谷川:確かに販売の力って大きいですからね。それでいうと、金子さんってやっぱり口が上手いじゃないですか(笑)。話術って大事ですよね。誰がどんなことをどんな風に言うかが、とても大事だと思います。僕は原稿を書くのはそんなに得意じゃないんですけど、じゃあなぜ書くのかというと、編集者だとその媒体を代表している立場なわけで、その媒体のひととしてでしか書けない、つまり個人の見解っていうのが書けないんですよね。でも、それが入ってこないと面白くなるわけがないので、彼らには絶対に書けない。だから自分で書くんです。なんにしても自分はこう思うとか、こうしたほうがいいというようなことは、いまとくに言いにくい社会だと思うんですけど、言わないことには人の心は動かないし、関心も示してもらえないと思うんです。そういう意味では、金子さんってつねに本気で思ってるんだろうなって伝わってくるんです。本当はそうじゃないのかもしれないけど(笑)。

金子:いやいや、本気ですよ(笑)。

長谷川:お店に行っても金子さんに言われると、買おうかなって思うんですよね(笑)。こないだもデカいバックパックを買っちゃったんですよね。すでにひとつ大きいの持ってるのに(笑)。あとブランドのひとが、金子さんに買ってほしい(バイイングしてほしい)って言いますよね。そんな話ってあんまり聞いたことないですよ。やっぱりお店が責任を持って売っているのがわかるし、逆に顔が見えてないと難しいというか。そもそも「レショップ」って不思議なお店ですよね。「ベイクルーズ」っていう大きい会社のなかにありながら、個人商店みたいな顔をしているっていう。

金子:そうかもしれないですね。

長谷川:今の場所になってよかったですよね。

金子:そうですね。けど、アキオさんは最初のお店の頃から来てくれてますよね。

長谷川:はい。最初からこのお店は面白いなって思いました。そういえば、当時やってたシャツのコンセプトからして好きでしたね。

金子:サイズのバリエーションがあった〈セロ〉のシャツですね。

長谷川:『ポパイ』のときから、わかりやすく、たくさんのひとにものを伝えるっていうことをやっていたので、それをやるには偏った情報ではなくて、いろいろなひとにとっつきやすい情報を伝える必要があったんですよね。あとは新しさだけではない情報を伝えたいというか。そういうところが「レショップ」が考えていることと合致したというか。なかなかそういうことをやっているところってないですからね。

SINGLE JACKET ¥35,000+TAX
DOUBLE JACKET ¥36,000+TAX
NO PLEATS PANTS ¥16,000+TAX
6POCKET PANTS ¥18,000+TAX
2PLEATS TROUSERS ¥18,000+TAX
インナー、スニーカ−は私物

INFORMATION

レショップ 03-5413-4714

STAFF

Direction&Styling_Akio Hasegawa
Photo_Seishi Shirakawa

Hair_Kenichi Yaguchi

Illustration_NAIJEL GRAPH
Edit_Ryo Komuta

TAG

LE

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