フイナム:この回に続いて、神田神保町にフォーカスしています。
長谷川:あらためて神田神保町っていいなって思うんだよね。
フイナム:近隣に「CAHLUMN STORE」や「stacks bookstore」があったりで、最近このあたりに足を運ぶ機会が増えたんですが、渋谷、青山、代官山あたりにいることが多い自分にとってはすごく新鮮で、なんだかワクワクします。
長谷川:楽しいよね。
フイナム:はい。“本の街”なだけあって、書店の充実度はもちろん、飲食店の幅と種類もすごいし、とにかくたくさんの文化が集まって織り重なっている感じがします。その昔、レンタルCD&DVD店の「ジャニス(Janis)」にはよく行ってました。
長谷川:ただ歩いてるだけで、面白いんだよね。
フイナム:そんな神田神保町の看板の一つである「三省堂書店」がリニューアルオープンしました。
長谷川:子供の頃からよくこの辺りには来てたんだよね。本を買いに行くとなると、まず最初に三省堂に行ってた。昔は多くの人がそんな感じだったと思うよ。
フイナム:近隣の方にとってはそれくらい身近な存在だったんですね。
長谷川:昔は「神田へ本を買いに行く」という言い方をよくしてた。
フイナム:「神田神保町本店」っていう店舗名がちょっと不思議だなと思って調べてみたら、元々は「神田本店」という名称で、2007年に「神田神保町本店」に変更されたみたいです。
長谷川:あぁ。当時は神保町という呼び方をしている人はいなかったと思うよ。
〈CAHLUMN〉コーデュロイジャケット ¥69,960、コーデュロイパンツ ¥49,940(CAHLUMN STORE)、ニットキャップと靴は私物
「三省堂書店」と「stacks booksstore」が制作したカプセルコレクション。〈三省堂書店 + stacks bookstore〉Recycle bag ¥2,200(三省堂書店 神田神保町本店)
〈三省堂書店 + stacks bookstore〉THROWUP S/S TEE ¥6,600(三省堂書店 神田神保町本店)
フイナム:ここからは三省堂書店の岡田輝命さんに店内をご案内頂きます。開店準備室の所属ということで、このリニューアルプロジェクトに長らく携わってきた方です。
三省堂:よろしくお願いします。長谷川さんのお仕事は昔から拝見しておりまして、当時の『POPEYE』は全号自宅で保管しています。今回は貴重な機会をいただきましてありがとうございます!
長谷川:こちらこそです。
フイナム:店内、すごく開放感がありますね。
三省堂:1階はとくに天高なので、そう感じるのかもしれません。高さの違う棚がお客さまを取り囲むように配置されていて、我々は「知の渓谷」と呼んでいます。
書棚の設計は長谷川豪氏が担当。
洋書は一段高いフロアにまとめられている。ここからは1階に広がる様々なジャンルの棚を一望できる。名付けて「世界の展望台」。
三省堂:このフロアで扱っているのは、新刊、文学、ノンフィクション、地図や旅行ガイド、ビジネス関係、雑誌、古書もあります。
フイナム:圧巻の数ですね。。
三省堂:出版社って約3000社ありまして、毎日200タイトルほどが刊行されているんです。なるべくたくさんの本を置きたいとは思っているのですが、それでも限界はあるので難しいところです。
長谷川:雑誌も1階にあるんですね。でも随分減りましたよね。
三省堂:そうですね。雑誌に限らないのですが、動画に置き換えられるような種類の本は減っていく傾向にあります。逆に小説とか絵本なんかは、落ちないですね。あとは人文学書なんてなかなか動かないジャンルなんですが、そこはもう意地で置いているところもあります。
店内のサインは「日本デザインセンター」の色部義昭氏が担当。
三省堂:2階は歴史、哲学、社会、芸術などの本を並べています。我々は「発見のさざ波」と呼んでいて、多くの本の表紙が寄せては返す波のように、目に飛び込んでくるような棚の配置にしています。
長谷川:棚の間のスペースに座れるのいいですね。
三省堂:これだけの本があるので、見ているだけでも結構疲れると思うので、適度に休憩しながら店内を巡っていただきたいと考えています。
〈三省堂書店 + stacks bookstore〉THROWUP ZIP HOODIE ¥12,100(三省堂書店 神田神保町本店)
春は花見、夏の舟遊び、落語百作品を四季に分け、読みながら楽しむ落語入門の代表的ロングセラーシリーズである『落語百選』。
長谷川:落語の本もありますか?
三省堂:もちろんです。あ、撮影していただけるのであれば、ちょっと面を整理させてください。
長谷川:何から読めばいいんですか?
三省堂:まずは「ちくま文庫」の『落語百選』ですね。春夏秋冬で季節ごとに4冊あって、最初にこれを読んでおけば間違いないと思います。
フイナム:やっぱり人気というか、手に取ってもらいやすい本をちょうどいい高さに置くんですか?
三省堂:そうですね。なので、本好きの方は真ん中ではなく、上とか下の棚を見るんです。そこに何を置くかで書店の個性が出るので。いわゆる面かまし、挿しかましというやつですね。
長谷川:(笑)。
三省堂:私もいくつかのコーナーの選書を担当しているのですが、お店ではなく、自宅の書棚で面かまし、挿しかましをしています。
フイナム:なるほど(笑)。すごい数の蔵書がありそうですね。
三省堂:そうですね。床が抜けないように注意しています。知り合いで本当に床が抜けた方がいるので。
フイナム:よく聞く言い回しですが、本当に抜けた方がいるとは。。
三省堂:3階には児童書、学習参考書、保育、あとはコミックなどを置いています。
フイナム:2階にもこういうスペースありましたが、小さくコーナーごとに奥まっている場所があるんですね。「stacks bookstore」が今、2階のこういうスペースでポップアップをやってますよね。
三省堂:はい。「探究の洞窟」と呼んでいるんですが、本が体を取り囲むので、没入感があるかと思います。何を見ているか他人に見られるのを嫌がる方もいるので。
長谷川:それにしてもこれだけ本が多いと、万引きも多いんじゃないですか?
三省堂:そうですね。年間で1億円近い額の被害が出ています。
フイナム:そんなに。。
三省堂:〈UNIQLO〉さんの店舗でやっているようなICチップの埋め込みが、ほとんどの出版社で実現できれば、そうした被害も減っていくと思うのですが、まだ時間はかかりそうです。
長谷川:本を一冊販売して得られる利益って、そんなに大きいわけではないですもんね。
三省堂:そうですね。けれど熱心に本を読んでいるお客さまも多数いらっしゃるので、その熱意には応えなければと思います。とくにこの神保町本店には濃いお客さまが多数ご来店なさるので。
フイナム:3階にはこれまでの歴史を振り返ることができるスペースがあるんですね。
三省堂:はい。1881年に創業した当初は古書店だったんです。
長谷川:そうなんですね。え、せっけんとかネクタイも売ってたんですか? 幅広いですね。
三省堂:はい。大正13年(1924年)に洋品の販売を始めて、文房具、学生服、洋品雑貨なんかも取り扱っていて、“学生のデパート”なんて呼ばれていたみたいです。
長谷川:海の家もやってたんですね。またやったらいいんじゃないですか?(笑)
三省堂:(笑)。鎌倉の由比ガ浜に出店していたようです。
フイナム:写真は昭和8年(1933年)頃のものとのことです。
学生を中心に人気のあったという食堂は、戦争の影響もあり昭和18年(1943年)に閉鎖。
掲示板が原稿用紙を模したデザインなのは書店ならでは。
フイナム:今年で創業145年。時代の流れに合わせて、さまざまな変化をしてきたんですね。
三省堂:そうですね。このリニューアルオープンに際しても、いろいろな方から励ましや応援のお言葉をいただきます。注目していただいているなと感じます。
フイナム:「AH.H」も昨年初めて本というかアートブックを作ったんですが、やっぱりフィジカルなものはいいなと思っています。今回、その本を「stacks bookstore」のポップアップにて販売をさせていただけることになりました。今その準備中で、現状はサンプルを展示させていただいています。今後もなにかとご一緒できたらと思います。
三省堂:はい、よろしくお願いいたします。
三省堂書店 神田神保町本店
住所:東京都千代田区神田神保町1-1
電話:03-3233-3312
開店:2026年3月19日(木)
営業:10:00~20:00 年中無休
公式サイト
stacks bookstore POP UP
場所:三省堂書店 神田神保町本店 2F
日程:2026年3月19日(木)〜4月18日(土)