AKIO HASEGAWA. HOUYHNHNM

2020.2.6 Up
Basic of United Kingdom

英国の普通。

02ダブルカフパンツとエドワード8世のこと。
日本には日本の普通があるように、英国にはきっと英国の普通がある。前回に続き、〈C.E〉のディレクターのトビーさんに英国における普通について聞いてみた。

PROFILE

長谷川昭雄

ファッションディレクター、スタイリスト。様々な媒体、広告のディレクションを手がける。英国の雑誌『モノクル(MONOCLE)』では創刊よりファッションページの基礎を構築。2015年にファッションディレクターに就任。2012年より2018年秋まで『ポパイ』のファッションディレクターを務めた。

トビー・フェルトウェル

イギリス・ベッドフォード出身。1996年より音楽レーベル、Mo’Waxに勤務。 XLレコーディング内にレーベルを立ち上げ、ディジー・ラスカルと契約を結ぶ。ロンドンでの弁護士事務所勤務を経て、2005年に事務弁護士資格を取得。 2011年、スケートシング氏、菱山氏とともに洋服ブランド〈C.E〉を設立。

about Fleece Cap

長谷川:イギリスって帽子を被っている人ってあんまりいないですよね。

トビー:いないです。

フイナム:そうなんですか。

長谷川:〈モノクル〉のクリスマスパーティに行ったときに、その後、別場所で「さっきいたよね」って声かけられて。「何でわかったの?」と聞くと、「帽子を被っているのはお前しかいなかったから」って言われたことがあったんだよね。

トビー:まずベースボールキャップは少ないですね。

長谷川:そっか、野球しないですもんね。

トビー:今から50年くらい前までは、街でハットを被るのが普通、というかマストだったんですが、いつからか帽子を古臭いと感じるようになったんだと思います。昔はスーツにボーラーハットにという組み合わせが一般的だったみたいですが、僕は見たことないですね。

フイナム:意外。あのスタイルってまだまだ残っているもんだと思ってました!

トビー:ワーカーもフラットキャップ(ハンチング)を被るのが普通だったみたいですけど、今はあまり見ないですね。でも帽子を被らなくなったことで、ヘアスタイルのバリエーションが増えたのかもしれないですね。

〈エムエフティー〉ハリスツイードのビッグジャケット SIZE:64 ¥80,000+TAX(レショップ)、
〈ピーター バランス〉シェットランドウールのシャギードッグセーター ¥27,700+TAX(メイン)、
〈ビームス プラス〉ウールフランネルの2タックのパンツ ¥15,000+TAX(ビームス プラス 原宿)、
〈ロイヤル メール〉フリースのイヤーフラップ付きキャップ ¥4,500+TAX (プロップス ストア)、
〈J&M デヴィッドソン〉カーフレザーのメッシュベルト「エンベロープ バックル チップ エンド プレーテッド」 ¥36,000+TAX (J&M デヴィッドソン 青山店)、
〈ヴィンセントシューレース〉シューレース「PAUL」¥2,000+TAX(ティファインメント)、タートルネックTシャツ、イヤホン、靴は私物

英国紳士に倣い、ヘアスタイルは整えよう。そうは思っていても、いつもの調子で帽子に頼ってしまうようでは、大英帝国はまだまだ遠い。少しでも彼の地に近づくべく、手にしたのはイギリスの郵政社〈ロイヤルメール〉のフリースキャップ。耳あてにチラッとあしらわれた赤が心憎い。〈ロイヤル メール〉フリースのイヤーフラップ付きキャップ ¥4,500+TAX (プロップス ストア)

about Tweed Jacket

フイナム:今年『007』の新作が公開されますが、イギリスの男性にとって、ジェームズ・ボンドは気になる存在なんでしょうか?

トビー:やっぱり意識はしているんじゃないですか。イギリスのスーパーヒーローですしね。

フイナム:よく観ていましたか?

トビー:うん、テレビで普通にやっていたからね。でも僕は映画より原作が好きでしたね。13、14歳の頃に『カジノ・ロワイヤル』の原作本を叔父さんからもらって、ハマって全作読みました。

長谷川:原作も面白いんですか?

トビー:ストーリー自体はめちゃくちゃですが、作者のイアン・フレミングによるディテールの描写が面白いんですよ。どこの服がお洒落だとか、どこのワインが美味しいとか、紳士の嗜みみたいなものが書かれているんです。

フイナム:そういったマニュアル然としたものがイギリス人の身だしなみの根底にあるんでしょうか?

トビー:うーん。まず紳士服がお洒落とされていて、そのシンパシーが脈々と続いているんだと思います。

フイナム:そこにサヴィルロウ的な世界もあると?

トビー:そうですね。

長谷川:あの文化は廃れないんですね。

トビー:どうなんでしょう。でも、今はスーツを着るチャンスは少ないですよね。

長谷川:たしかに。着たくても着るチャンスがないんですよね。

トビー:弁護士事務所に勤務していた頃は、毎日スーツだったので楽しかったですね。

長谷川:スーツとまでいかなくても、ジャケットを着る習慣はありますよね?

トビー:ロンドンはまだドレスコードみたいなものが少し残っていますね。田舎ではもうないかもしれませんが。

長谷川:へー、そうなんですね。

イギリスにおける正装はスーツ、またはセットアップが基本。ドレスコードが薄れつつあるとはいえ、ジャケットぐらいは着ておこう。今だったら、そんなに格式張ったものではなく、ツイードジャケットでも充分。元々は英国紳士が狩猟や乗馬の際に身にまとっていたアイテムだけあって、防寒性が高く、多少手荒く扱ってもへこたれない。それでいて見た目はしっかり品良くまとまる。〈エムエフティー〉ハリスツイードのビッグジャケット SIZE:64 ¥80,000+TAX(レショップ)※完売しました。

about Double Cuff Pants

フイナム:ダイアナ妃のようにロイヤルファミリーがファッションアイコンになることは普通の話なんでしょうか?

トビー:まあ、よくある話ですね。

長谷川:あのメーガン妃もそうなんじゃなかったけ。彼女が着た服が売れるって話を聞いたことがある。

トビー:ファッションアイコンとして一番有名なのは、エドワード8世(ウィンザー公)ですね。

長谷川:メンズファッションのいろいろなディテールを考案したんですよね。

トビー:そう。離婚歴のあるアメリカ人女性との結婚が認められず退位した人で、とてもお洒落だったそうです。彼のスーツを仕立てていたのは(フレデリック・)ショルティというテーラーで、〈アンダーソン&シェパード〉の創業者、パー・アンダーソンの師匠にあたる人なんです。

フイナム:よくグレンチェックを着ていたから、あの柄を“プリンス・オブ・ウェールズと呼ぶんですよね。

トビー:うん。“プリンス・オブ・ウェールズ(皇太子)”というと、この人のイメージですね。今はチャールズも 〈アンダーソン&シェパード〉でスーツを仕立てていますが、やっぱりエドワード8世の方が魅力的ですね。

長谷川:〈ジョン・ロブ〉のダブルモンクを作ったのも、この人だって聞いたことがあります。

トビー:そうです。遊び人だし、センスも良かったんでしょうね。

ダブルの起源は諸説あるが、世に広めたのはエドワード8世というのが定説。その意匠を受け継いだ〈ビームス プラス〉の2プリーツパンツを持っていない「ビームス」のスタッフはいない、これもまた定説。たっぷりとったワタリにきつめのテーパード、足元はいかようにも、と言わんばかりにやや短めに設定された丈感がお見事。〈ビームス プラス〉ウールフランネルの2タックのパンツ ¥15,000+TAX(ビームス プラス 原宿)

about Suede Shoes ウールパンツにスウェードシューズ、という今では当たり前の組み合わせもエドワード8世の発明によるもの。なんでも当時はスウェードシューズを男性が履くなんてご法度だったというから驚きだ。 〈ヴィンセントシューレース〉シューレース「PAUL」¥2,000+TAX(ティファインメント)、靴は私物

INFORMATION

J&M デヴィッドソン 青山店03-6427-1810
ティファインメント vincentshoelace@gmail.com
ビームス プラス 原宿 03-3746-5851
プロップス ストア 03-3796-0960
メイン 03-3264-3738
レショップ 03-5413-4714

STAFF

Direction&Stylingt_Akio Hasegawa
Photo_Seishi Shirakawa
Hair_Kenichi Yaguchi
Text_Shigeru Nakagawa
Edit_Ryo Komuta

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