野菜を食べたい。昔は、そんなこと思わなかった。というのも、10年くらい前まで、僕は、味のないサラダしか知らなかった。ランチの時に、申し訳なさそうに出てくるあの佇まい。健康に良い(らしい)から、仕方なく食べる。それが僕にとっての野菜だった。
そんな僕の価値観が一変したのは、LAにある、外観がクリーンでめちゃくちゃカッコいい、とあるオーガニックレストランで有機野菜のサラダを食べてから。
一つ一つの野菜の味を考えながら構成されたサラダを作っていたのだ。添え物で出てくる、食べた気のしないそれとは全く異なるものだった。こんなものが世の中にはあるのか!? という衝撃は今でも忘れない。
いい野菜を栽培するのは、時間や労力がかかって大変だと聞く。買う側にとっても安くはないだろう。でもこんなに味が違うことを知ってからは、できるだけきちんとした食材を口にしたいと思うようになったし、安いだけのサラダって、どうなんだろうと思い始めた。それって本当は普通のことなんじゃないかと思うのだ。最近は東京でも、有機野菜を出してくれる店が増えてきた。アメリカには叶わないけど、世界標準な価値観を持つ店で、美味しくて、安心できる食材を食べたい。そして元気になって、いい仕事をする方が、絶対にいい。だからこの日は、いい野菜を食べに、浅草橋にやってきた。
about ORGANIC COTTON HEAVY WEIGHT T-SHIRT
農作物の中で、最も農薬を使うのがコットン。人が食べるわけではないから、大量に使うそうだ。いい野菜を育てることが大変なように、綿も栽培するのは苦労が絶えないと聞いたことがある。虫がつきやすいから、莫大な量の農薬で殲滅していくしかないそうで、そのせいで土壌もダメになり、環境に悪いという話だった。オーガニックコットンというのは、そうした事情の上で存在している綿なのだろう。いずれにしても、貴重な存在。だから服を無駄にしてはいけないし、安ければいいということではない。環境において、ファッションにおいて、とても大切なことである。
このTシャツは、神田にある〈BLUE BLUE〉と僕が相談して作ってもらったもの。GOTS認証を受けているインドのオーガニックコットンを、京都の染工場の方が無駄なコストがかからないよう
苦心して探して仕入れてくれた。それを大阪で編み立て、10ozの度づめのヘビーウェイトTシャツに仕立ててもらった。世間には絶対にないであろう、ヘビーオンスのオーガニックコットンTシャツ。代謝が良すぎる僕は、これくらい肉厚じゃないと、夏場は大雨に打たれたような姿になってしまい、なかなか着られない。この綿をここまでたくさん使って作ると、普通はもっともっと高くなってしまうそうだ。でも、薄いと僕は結局着なくなってしまう。だから無理言って、作ってもらった。京都の染工場の方はすごく頑張ってくれたのだ。ありがたく、着させてもらおうと思う。サイズはいくつかあって、これは一番大きい5(2XL)。乾燥機に突っ込んだから、7、8センチは縮んだと思うけど。。。
about ALEC’S CAP
こないだ原宿で、ポパイの頃によくモデルをやってもらっていた、アレックの絵の展覧会があった。画伯は、もう何年も、椅子をモチーフにした絵をずっと描いているのだ。何か買って帰りたいと思っていたら、このキャップが。白のボディに青い刺繍が輝いていて、すぐにこれだって思ったのだった。
about Ome Farm Kitchen
浅草橋駅の東口を出て右手に歩くと、浅草橋という橋が出てくる。それを渡らずに右手の階段を降りて行くと、突き当たりの二階に、おいしい野菜を出してくれるお店がある。青梅にある畑で作った、採れたての野菜を食べられるのだ。
Ome Farmは、もともと、ファッション業界にいた太田さんという方が、志を同じくする人達と一緒にはじめた農場。彼が住んでいたニューヨークによくあるような、オーガニック食材が当たり前のように提供される社会であって欲しいという気持ちから、自ら畑を始めた。農薬や化学合成肥料は使わず、遺伝子組み換え種は使わないというポリシーで、野菜を育てている。このレストランは、その農園が経営している。だから当然、採れたての新鮮な野菜で作られた料理が提供される。露地栽培で育てられたここの野菜たちは、僕がかつて食べた野菜と同じように、しっかりした、濃厚な味がする。
about VEGETABLE BUDDHA BOWL
ここのランチで一番人気なのが、こちら。ホーリーバジルと大葉のハーブのジェノバソースを混ぜこぜにしたバジルライスの上に、青梅で採れた新鮮な野菜を調理して添えた丼。(向かって左から)ラタトゥイユ、ビーツのハニーバルサミコマリネ、沖縄島かぼちゃのソムタム、オクラのナムル、コルノデトーロのグリル、カーリーケールのサラダ。コルノデトーロは、イタリアの伝統品種『牛の角』という意味で、辛くない唐辛子なのだ。
意外とボリュームもあって、お腹いっぱいになれた。
Ome Farm Kitchen
住所:東京都台東区浅草橋1-1-10 2F
電話:080-9386-2914
時間:11:30〜15:00、17:00〜20:00、日10:00〜15:00
※Dinnerは緊急事態宣言以降、前日までの予約制。東京都ガイドラインに伴う短縮営業により変更の可能性あり
www.omefarm.jp