about ALL IN ONE
COMOLIのオールインワン
90年代初頭、代官山を歩いていたら、「オクラ」から国民的男性アイドルが出てきた。美形な顔立ちにロングヘア、ネイビーのワークブランドと思われるオールインワンの中に白いTシャツを着て、足元には〈レッドウイング〉のエンジニアブーツを合わせていた。その姿に、秋の八幡通りは確実にザワついていた(ような気がした)。この時期になると、僕はいつもそれを思い出す。夏には暑いけど、真冬には寒すぎる。上に何か着ればいのだろうけど、合うアウターなんて、ないも同然。それがオールインワン。これは秋にこそ、ふさわしい服なのだ。
〈コモリ〉のそれは、デニム。少しふっくらした素材感は、意外にも柔らかい。パンツ部分は適度にテーパードされたシルエットだから、スニーカーにも合わせやすくなっている。ウエストは程よくシェイプされていて、ベルトで調整できる仕組み。暑くなって、上着部分を腰に巻くときには、ずり落ちることがなくて便利だ。
もっと大きいフォルムの方が、いつもの感じで、よりいいのかもしれないけど、それをするには、今履きたい、ちょうどいい靴がない。上が大きくなるなら、靴もボリュームがないと、きっとおかしいからだ。訳があって着ているように見えたり、引越し屋さんと間違われてしまうんじゃないかと、自分で自分を心配に思う。あ、でも、「Nike Air Force 1」のハイカットとかに合わせたらいいのかもしれない。いやいや、それ以前に、大きいサイズのオールインワンを見かけないからやっぱりまだ、ダメだ。そう、今の時代には、〈コモリ〉のこのシルエットが、ちょうどいい普通なのだ。
〈COMOLI〉11ozデニムのオールインワン ¥68,000+TAX、ウールとコットンのサーマルセーター ¥26,000+TAX(ともにWAG, Inc.)、〈ARTEX KNITTING MILLS〉ニットキャップ ¥1,200+TAX(HIGH! STANDARD)、スニーカー、靴下は私物
about THERMAL KNIT
COMOLIのサーマル
サーマルには、いろんな編み方や生地の厚さがある。この表面の凹凸が、保温性を高め、汗をすぐに乾かしてくれるから、インナーに最適なのだ。僕はこの生地が好きで、いろいろなパターンを集めている。真冬用には、ウールやカシミヤでできているものもあって、古くは〈ナンバーナイン〉、〈ビズビム〉、いろいろなところでそれを買ってきた。これは〈コモリ〉。ウールにコットンをブレンドしたもの。ピタピタしているほうがサーマルらしいのだけど、適度に余裕をもたせて設計されているから、アウターとしても着るときには最適だ。90’sっぽくTシャツやワークシャツの下にレイヤードするのもいい。
〈COMOLI〉ウールとコットンのサーマルセーター ¥26,000+TAX(WAG, Inc.)、中に着たタンクトップは私物
about STYLING
オールインワンの着こなしで、世界的に有名なのは『ゴーストバスターズ』。あのアメリカらしい色合いと適度にダボっとしたサイズ感は、最高にクールでしかない。劇中に登場しているような気がするが、勘違いかもしれないのだが、オールインワンの着こなしで一番かっこいいのは、腰に巻くヤツだ。腕を通して着るのはツマラナイ男がやることだ。代官山で見かけたあの国民的アイドルはその時、つまらなく着ていたけど、きっと暑くなったら腰に巻くつもりだったに違いない。これを着るときの醍醐味は、それなのだ。そうするときにはトップスにはサーマル。その上には、夏に着ていたプリントTを着るのもいいと思う。冬でもグラフィックをアピールできる。
〈COMOLI〉11ozデニムのオールインワン ¥68,000+TAX、ウールコットンのサーマルセーター ¥26,000+TAX(ともにWAG, Inc.)