AKIO HASEGAWA. HOUYHNHNM

2025.10.4 Up
Style of Authentic

ノルウェーの普通。

Case 142
オスロのフグレンコーヒー。
今年はノルウェーと日本の国交が樹立されて120年という節目の年だそう。そんな折に、ノルウェーのマリンウェアブランド〈HELLY HANSEN〉に声をかけてもらい、ノルウェーの様々な文化に触れさせてもらえるチャンスをいただいたのだった。

文:小牟田亮

about FUGLEN

ノルウェーのコーヒーシーンをリードする名店。1963年にオスロで生まれ、現在のオーナーになって以降は、北欧のヴィンテージファニチャーとカクテルバーの要素、そしてコーヒーの三本柱で独自の進化を遂げている。海外初進出の第一号店として、2012年に東京の渋谷に「FUGLEN TOKYO」をオープン。

ノルウェーに着いて、まず向かったのは街の中心街にあるオスロの「FUGLEN」。なにしろここに行かないと始まらない。

朝・昼・晩と一日に3回も訪れる常連さんもいるらしく、完全に街に、市民の生活に溶け込んでいる様子である。

ノルウェーは世界的に見ても一人当たりのコーヒーの消費量がかなり多い国のようで、1日の生活のなかで気軽にコーヒーを飲む文化が根付いているとのこと。

少し離れたところには焙煎所が併設された「FUGLEN COFFEE ROASTERS」もある。

朝早くから多くの人が訪れ、それぞれの時間を過ごしていた。

バー営業をしていることもあり、営業時間はかなり長い。

「FUGLEN」のコーヒーは基本的に浅煎りでフルーティな味わい。だからガブガブとたくさん飲んでもあっさりしているのがうれしい。コーヒー以外の飲み物も充実している。

1963年にこの場所でスタートした「FUGLEN」。当初は「KAFFE FUGLEN」という小さなカフェだったそう。それが今のオーナーになってから、北欧のビンテージデザイン、カクテルバーのコンセプトが加わった。

ちなみに“FUGLEN”とはノルウェー語で鳥という意味。ロゴにもなっている鳥は、オスロの港で見かける、世界最長距離を飛ぶアジサシという渡り鳥だとか。アジサシのように世界を飛び回り、その土地の良いところを吸収して、次の土地へと旅をする渡り鳥のように生きて行きたいという思いが込められている。

店内に置かれた家具は、ノルウェーのヴィンテージもの。北欧家具としては、デンマークやスウェーデンがよく知られているけれど、ノルウェーにもミッドセンチュリーの家具が存在している。

一般的に柔らかいイメージを持たれることが多い北欧家具のなかで、どちらかというと硬派で無骨なデザイン、質感のものが多いのがノルウェージャン ファニチャーの特徴。店内に置かれている家具は、購入することも可能だそう。

朝から「FUGLEN」で仕事をしている人もちらほら。

定番のフィルターコーヒーは40クローネ(約600円)。物価の高いノルウェーではまだ安めなプライス設定。前述したように浅煎りで、いくらでも飲めそうなライトな味わい。

「FUGLEN」のコーヒーは豆をブレンドをしないことが特徴。いわゆるシングルオリジンというやつだ。また、コーヒー豆を販売するときには、必ずそこに生産者の名前を入れるようにしているそうだ。

「ブラジルならブラジル、ケニアならケニアの味わいがあるんですけど、それをこちらで意図的にデザインするのではなくそのまま出して、それぞれに違いがあって面白いよねということを伝えたいと思います」と教えくれたのは「FUGLEN TOKYO」の代表である高橋圭也さん。

おにぎりは人気のメニュー。この日は“ツナマヨ”。55クローネ(約825円)。過去にはたい焼きを販売したことも。あん、カスタード、チョコ、抹茶などのラインナップは大好評だったそう。

「skolebrød(スコーレブロ)」と呼ばれるノルウェーの定番ペストリー。ふわふわのパンにカスタードクリームを詰めた、いわゆる菓子パン。64クローネ(約960円)

公共施設で使われていた椅子を店外に並べて、一日中多くの方がここでくつろいでいるとか。カフェに行くことが特別なことではなく、生活のなかで当たり前のように存在しているような印象を受けた。いい意味で気張らずに、肩の力が抜けた感じでコーヒーに接している。それがオスロのひとたちなんだろう。

〈HELLY HANSEN〉マイルドウインドジャケット ¥30,800(HELLY HANSEN)

INFORMATION

HELLY HANSEN www.hellyhansen.jp
FUGLEN COFFEE ROASTERS www.fuglencoffee.no

STAFF

Direction & Styling_Akio Hasegawa
Photograph_Seishi Shirakawa
Coordination_Rico Iriyama
Production & Text_Ryo Komuta

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