AKIO HASEGAWA. HOUYHNHNM

2024.11.26 Up
Style of Authentic

普通の服、普通のスタイル。

Case 134
ØC tokyoのクレープとコーヒー。
シンプルに素材を活かす。
服も食べ物もそれが一番。
北欧、デンマークの風を感じる
緑道沿いの小さなお店を訪れた。

文:小牟田亮

※本企画は会員制サイト「Commune H」の連載と連動しております。

数年前に雑誌『HOUYHNHNM Unplugged』の企画で、デンマークのコペンハーゲンを訪れた。ファッション、カルチャー、ライフスタイル、さまざまなものを取材したけど、とくに印象的だったのは食だった。

その辺のベーカリーで出しているバゲットの美味しさ、浅煎りで淹れられるコーヒーの瑞々しさ。「noma」みたいなファインダイニングではなくても、美味しいものが手軽に食べられる街、そんな印象。うわさ通り、物価はとても高かったけど。

コペンハーゲンと聞いてパッと思いつくのは目黒の「kabi」。シェフの安田翔平さんは彼の地の二つ星レストラン「kadeau」にて研鑽を積んでいる。

今年の春に代々木上原にオープンした「ØC tokyo」のシェフ、田井將貴さんもコペンハーゲン帰りだそう。それどころかオープン時から「kabi」のスタッフだったらしい。料理の世界も広いようで狭いのかもしれない。

〈SEPARATE BATH & TOILET+A.H〉スーツ(ジャケット、スラックス、シャツ、ネクタイ、ウォーンアウトキャップのセット)¥70,000(SEPARATE BATH & TOILET)

「このクレープ、コペンハーゲンの名物ってわけではないんです。ただ好きで自宅でよく作ってたのを以前から親しくしていた(山本)憲資さんがインスタで見て、これ推しのカフェやろうかと声をかけてくれて」と田井さん。カットしたバターと一緒にいただくのがおすすめ。クレープ ¥1,200

素材選びがほぼ全てだという、シンプルなルックスのクレープ。普通のクレープとなんら変わらない作り方で、素材の力で圧倒的に差をつけるようなイメージ。福岡の無農薬農家の小麦に喜界島のざらめ、島根の木次乳業の牛乳、ニュージーランド産のグラスフェッドバター。納得いくオーガニックの素材しか使っていない。

日本でクレープというと、原宿のあれが頭に浮かぶ人が多いと思う。美味しいは美味しいんだけど、いろんなものが入ってそうで、最近はなんだか躊躇してしまう。「美味しいものはカラダに悪いんだ」なんていう言い回しもあるけれど、“美味しい”と“カラダにいい”が両立した料理もあるわけで、どうせならそういうものを選んで口に入れたい。

昔、サンフランシスコに行ったときに、ディナーを終えた人たちが行列をなすデカ盛りのアイスクリーム屋さんを見かけた。食後にデカ盛りアイスはアメリカ人にとっては普通のことだと、そのとき教えられた。

デカ盛りアイスを夕食後に食べきる自信はないけど、ここのクレープならいける。というか、ここのなら朝昼晩いつでも食べられる。それくらいさりげなくて、やさしい。

田井さんがコペンハーゲンにいたときに毎日飲んでいたという「PROLOG」のコーヒー。丸みのある酸味が特徴で、とても飲みやすい。コーヒー ¥600

サードウェーブコーヒーという呼称がずいぶんと流行ったけど、今はどうなってるんだろう。もう誰も気にしてない気がする。デンマークは世界でも有数の、浅煎りスペシャリティコーヒーの先進国らしい。そんなコーヒーが成熟した国において、高い人気を誇るコーヒーショップがこの「PROLOG」。何番目のコーヒーかはわからないけど、ただただ美味しい。

〈PROLOG〉コーヒー豆 ¥3,800

モダンでスタイリッシュな店内。さりげなく山口幸士さんのペインティングが飾られているのは山本さんのセンスだろう。秋からはディナー営業も始まり、ナチュラルワインも楽しめる。

ほかにも「ØC tokyo」が気になる理由はいろいろあるんだけど、これくらいにしておこうと思う。情報を食べるんじゃなく、目の前の料理にしっかり向き合うべきだと思うので。

後日、「ØC tokyo」のコース料理をいただきながら行った対談を「Commune H」にて公開中。

ØC tokyo
住所:東京都世田谷区北沢5-27-16
営業:9:00〜22:00(LO21:00 ※カフェのみの日は20:00CLOSE)
※Dinnerスケジュールはこちらから@octokyodinner
Instagram:ØC tokyo

INFO
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INFORMATION

SEPARATE BATH & TOILET sepabath.com>

STAFF

Direction & Styling_Akio Hasegawa
Photograph_Seishi Shirakawa
Hair & Make-up_Kenichi Yaguchi
Edit_Shigeru Nakagawa
Production & Text_Ryo Komuta

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