AKIO HASEGAWA. HOUYHNHNM

2020.6.25 Up
Focus on

気になる服とか人とか。

Vol.21
スニーカーの普通。(85年〜2010年くらいまで)
最近は、90年代にリリースされたスニーカーが、なんだか盛んに復刻されている。今回は伝説のストリートマガジン『ブーン』で活躍された、大学の先輩で、ライターの岸 伸和さんと、あーでもない、こーでもないと、名作スニーカーについてLINEでやりとりしてみたわけです。

PROFILE

岸伸和

大学在学中に雑誌「Boon」でライター活動を開始し、1990年代のスニーカーブームを牽引した同誌のスニーカー特集や別冊を担当。以降、スニーカー専門誌のほか、アパレルブランドのカタログ&ウェブ制作、書籍なども手掛ける。

長谷川昭雄

ファッションディレクター、スタイリスト。英国の雑誌『モノクル(MONOCLE)』では創刊よりファッションページの基礎を構築。2015年にはファッションディレクターに。2012年より2018年秋まで『ポパイ』のファッションディレクターを務めた。

長谷川:先輩、今日はよろしくお願いします。

岸:お願いします。

長谷川:最近、90年代のスニーカーの復刻が多いと思うんですが、その辺の話をするなら、岸さんしかいないかなと思って、今回お誘いしました。

岸:ありがとう!

長谷川:今回は最近のスニーカーというよりも、85年くらいから2010年くらいまでに絞って紹介していきたい思います。

岸:長谷川君はどの辺りの年代から始めますか?

長谷川:僕は種類ごとですかね。今日考えているのはジョーダンシリーズ、デルタフォース、エアレイド、エアトレーナー系、そして〈ニューバランス〉です。でもなんでもいいですよ。先輩の話に合わせます。

岸:僕の方では、初めてのスニーカーとして〈ニューバランス〉の「770」から「1300」、エアトレーナー系、裏ダンク、あとは2000年ごろのアルファプロジェクト、その他に最近の現役も用意しました。

長谷川:ありがとうございます。そもそも岸さんのスタンスは独特ですよね。ライターだけど、ブツ撮りのスタイリングはする。そういう人って聞いたことないです。

岸:いつの間にかそういう仕事のスタイルになってました。『ブーン』の影響かもしれません。

長谷川:『ブーン』を始めたきっかけってなんだったんですか?

岸:中学・高校時代の同級生がスタイリストのアシスタントをやっていて、『ブーン』でライター募集してるよって。大学3年生のときですね。

長谷川:岸さんがやるまでそこまでブツでキチッと伝えることってなかったんじゃないですか?

岸:どうだろう。まぁスニーカーが好きになったのは、高校時代に渋カジが流行っていて、その影響ですね。では最初のスニーカー、〈ニューバランス〉です。

「渋カジの影響から高校1年生のときに初めて履いたニューバランスが『M770』。1980年代半ば発売のUSメイド」(岸)

長谷川:渋カジでスニーカーって言ったら〈ニューバランス〉ですね。

岸:これは〈ニューバランス〉の「M770」、アメリカ製です。

長谷川:これが「770」? 全然知らなかったです。

岸:長谷川くんの言うように、渋カジはニューバランスが主流でした。

長谷川:『ポパイ』を見る限りそうでしたね。「1300」に憧れました。

岸:僕らも「1300」が憧れの的だった。当時すごい高かったし。

長谷川:色がいいですよね。

岸:いいよね。

長谷川:よく岸さんは薄いブルーデニムとかグレーのパンツに1000番代を合わせてて、それがカッコ良かったです。ダサカッコいいを先取りしてた。

「渋カジ少年にとって永遠の憧れだった『M1300』は、『ブーン』で働き始めてから復刻版を購入し、履き継いでいる。
写真は2010年発売のビブラムソール仕様」(岸)

長谷川:これはいつのですか?

岸:JP1です。

長谷川:なんですかそれ?

岸:2010年の復刻版。一応オリジナルも持ってましたが、すでに加水分解してました。

長谷川:俺も持ってます。でもなんかあんまり履かなかったです。オリジナルってよかったですよね。

岸:うん、雰囲気あった。でも復刻版もすごく良いと思うよ。

長谷川:僕、「オッシュマンズ」とかで売ってるインラインみたいな「1300」の方が意外とくすぐられてしまったりするんです。

岸:うん。特に少し履いた状態がかっこいい。

長谷川:そうですね。

岸:「M1300CL」だね。

長谷川:味わいがあります。〈ニューバランス〉はそういう良さがありますね。

岸:うん、あれはあれでかっこいい。

長谷川:先輩はつねに愛があるセレクトですよね。

岸:そうかなぁ。

長谷川:そうです。みんなもっと軽薄です。人気かどうかでしかない。

岸:プレミア至上主義。それは最近の傾向だね。いや、以前からそうかなぁ。

長谷川:人気がなくても僕は好きだっていうことを伝えたいです。

岸:それはよく長谷川くんが以前から言ってたね。あえてインラインみたいな。

長谷川:ひねくれ者なんで(笑)。先輩、最近よく変なの履いてるじゃないですか。

「『パンテオス(PANTHEOS)』は2017年製、90年代のランニングシューズをモダナイズした進歩的なフォルムや配色の美しさに惹かれて4足購入。
量販店を中心に流通している低価格帯のエントリーモデルだけに、誰にも注目されない希薄な存在感、誰とも被ることのない孤高の安心感、そんな屈折した思いにニヤニヤ。
超限定のプレミアモデルとは対極にあるインラインのパトロールも疎かにできません」(岸)

岸:こういうやつね。

長谷川:そうそう。先輩の最近はそういう感じですね。いきなり、2010年までという枠から飛び出てますが(笑)。僕が一番最初にスニーカーに興味を持ったのは〈アシックス〉です。10歳とかそれくらい。

岸:〈アシックス〉! 〈アシックスタイガー〉か。僕も履いてたし、財布もそうだったな。

長谷川:で、中3くらいで渋カジの洗礼を受けて、〈ナイキ〉とか〈ニューバランス〉を知って。

岸:渋カジはカッコよかったよね。

長谷川:で、アメリカの今とバスケを追っているうちに〈ナイキ〉に惹かれていって。

岸:なるほど。

長谷川:エアトレーナーとジョーダンは同時期くらいに知ったのかな。

岸:バスケットシューズは〈ナイキ〉だよね。

長谷川:そうですね。けど、そのときはマジック(ジョンソン)とかの影響もあってか、〈コンバース〉が主流だったと思います。だからこそジョーダンって言う新しい才能と、彼が履く〈ナイキ〉が新鮮に映った時代だったのかもしれないです。〈ナイキ〉はあの時代にどんどん進化するんですよね。

岸:僕もジョーダンとトレーナーは同時期に知ったのかも。

長谷川:一番大きな入り口はスパイク・リーです。彼の履いてたエアトレーナーに影響を受けて。

岸:『Do The Right Thing』だね。

「手前から『エアトレーナー 3 QS』、『エアトレーナー 1』、『ズームトレーナー』。手前はミッドソールを修理したもの」(長谷川)

「2000年代初頭に復刻された『エアトレーナー SC』」(長谷川)

長谷川:もっといろいろあるんですけど、ざっと選んだのがこのへんです。なんていうか、あまり前面に出てこないインテリ感を感じるんです。

岸:そうそう、エアトレーナーはあのグレーがインテリっぽいね。

「1988年発売の『エアトレーナー 3』のオリジナル。
1990年代に入ってからデッドストックで購入した時点で、加水分解することは覚悟していたが、こうも見事に朽ち果てるとは…。
ボックスや冊子など付属品も今は亡きパッケージ」(岸)

長谷川:すごい、箱付き。僕は箱は捨てるので(笑)。かっこいいなぁ。実は僕の持っている同じモデルも加水分解して、修理してます。

岸:もう化石です。

「2019年発売の『エアトレーナー 3』の復刻版。2013年前後にリリースされた復刻版を履き潰し、こちらへバトンタッチ。
念の為、サイズ違いでもう1足キープ」(岸)

長谷川:〈ナイキ〉って会社は、エアトレーナーとかエアジョーダンとかACGも、いちいちプロジェクトの発表みたいな感じがかっこよくて。

岸:それは確かにある!

長谷川:ですよね。

岸:プレゼン上手。

長谷川:そうそう、そこに惹かれるんです。なかでもエアトレーナーっていうのは履いてるだけでカッコいい感じがしました。だからやっぱり捨てられない。この辺とか。

「『エアトレーナー 1 プレミアム』とイタリア製の『エアトレーナー SC HIGH LUX』ともに、上質なレザーで作られている」(長谷川)

岸:エアトレーナーは今でも通の靴って感じだよね。

「『エアモック』のシリーズで、夏用に改良されたナイロンメッシュのエアモック。記憶では96、7年ごろに登場したモデル」(長谷川)

長谷川:「エアレイド」と「エアモック」にも同じものを感じるんです。

岸:そうだね、モックは特に。アウトドアの王道を外した感じが〈ナイキ〉っぽいと言うか。

長谷川:〈ナイキ〉かどうかがわからないくらいロゴが見えにくいっていうのはゾクゾクしましたね。

岸:そういうところでゾクゾクするんだ(笑)。

長谷川:はい(笑)。「エアレイド」は17歳の頃、ゾクゾクしすぎてやられましたね。

「FALL 92の米国カタログに掲載された『エアレイド』」(岸)

岸:これは92年当時のカタログ。ストリートバスケが流行ってたな。

長谷川:僕はオールブラックの別注を「オッシュマンズ」で買って履いてました。よく覚えていないんですけど、17歳の頃の、その当時の「エアレイド」か、そのもっとあとの2000年代初頭の復刻に、スパイク・リーのイラストが入っていたんです。

岸:それは憶えてないなぁ。

長谷川:その意味深な感じにもすごい惹かれて。あのX、あれはマルコムXのXだったのかもです。

岸:クロスストラップね。

長谷川:はい。復刻のときのカード持ってるんです。そこには確実にスパイクリーの顔は入ってました。マルコムXとあのXストラップは開発当時に何か関連したんですかね。よくスパイク・リーも履いてましたよね。

岸:へぇ~、カード入りだったんだ。すごいな、これ。

長谷川:いや、これは配ってたのかな。とにかく死ぬほど萌えポイントでした。こういうのは先輩しかわからないです。ちなみにこのデルタフォース。

「箱付きデッドストックの『エア デルタフォース』。
履き方が難しくて履かないままだったが、シュータンのロゴデザインやカラーリングは、いつ見てもかわいい」(長谷川)

長谷川:これはすごく好きなんですけど、唯一ってくらい箱を取ってあって。

岸:やばいね! なぜウィングマーク!

長谷川:そうなんです。この頃はフォースシリーズにはウイングマークがついてたみたいです。やっぱり80sのバッシュにはロマンを感じてしまって。

岸:80年代のバッシュ、良いよね!

長谷川:フォース3も持ってたんですけど、どっかいきました。フォース1よりも2よりも、3とかデルタとかの方がぼくは影響受けましたね。

岸:フォース3、すごく好き。ネイビーのやつ。

長谷川:ネイビーやばい。僕はアメ横で買いました(笑)。伝説のショップ、「アウターリミッツ入谷店」で。

岸:アメ横で買えた時代!

「SPRING 89の米国カタログに掲載された『エア デルタフォース』及び『エアフォース 3』(岸)

岸:その少しあとにエスケープ版が出たんだよね。

長谷川:エスケープとかやばいですね。

岸:あの配色は完璧でしょ。

長谷川:ですね。あのロゴもカッコ良かったですね。しかし、あのときは〈ナイキ〉しか興味なかったです。自分と紐づくエリアの靴屋全てを回って、スニーカーをチェックする日々でした。

岸:まぁ、当時は〈ナイキ〉だよね。

長谷川:〈ニューバランス〉はすごいと思いながらも、まだ若すぎたのか、整理しきれなかったですね。どれも同じに見えて。。でも、当時、先輩はカッコよく履いてましたよね。

岸:昔は〈ニューバランス〉の「UK576」とかUS版の「1600」とか履いてたね。

長谷川:そもそも僕は大きめで履いてたから、〈ニューバランス〉を履いても、良さを実感できなかったです。

岸:それはそうかもね、大きめじゃあね。

長谷川:僕はある時、『ブルータス』とか『モノクル』とか、フィールドが変わっていったときに、スニーカーのチョイスを変えようとした時期があって。決定的だったのが『ポパイ』です。

岸:ふむふむ、どう変えたの?

長谷川:その少し前に〈エンジニアドガーメンツ〉の(鈴木)大器さんの影響を受けて、〈ニューバランス〉の「993」を履いたんです。

「『993』は、他の色も持っているのだけど、特にネイビーは好きでよく履いたし、『ポパイ』でも度々使っていたモデル。
いまでは加水分解が進んでいる。奥の2つは米軍仕様」(長谷川)

岸:なるほど。

長谷川:最初は理解できなくて。〈ナイキ〉派には意味不明だったんです(笑)。

岸:そうだよね、あの感性は難しいよね。今でもそう思うもん。〈ニューバランス〉は900番台を攻略してこそ本物かも。

長谷川:でもあるとき履いてみたら、これはヤバいってなって。そこから一気にいきました。僕は1000番代は90年代の『ポパイ』に、2000番代は岸さんに、そして900番代は大器さんに影響を受けてます。

岸:2000番台は実家にありました。

「ニューバランスのフラッグシップモデルとして2001年に発売された『M2000』のオリジナル。
約20年の歳月の重みを感じさせる加水分解の惨状。
長谷川君の記憶によると、当時スティーブ・ジョブスばりにデニムとコーディネイトしていたダサかっこの先駆け!笑」(岸)

長谷川:いや、1000番代も岸さんかな。

岸:それは嬉しい。

長谷川:「1600」とかその辺をダサカッコよく履いてた姿に憧れましたね。

岸:「1600」とかよく履いてたなぁ。あれは「ジャストフォーフィート」というショップの別注だったんだよね。

長谷川:へー。なんか501とか薄いブルーデニム、あとはグレーのパンツみたいなのに合わせてましたよね。あと〈ダブルタップス〉のバックパック。

岸:〈ダブルタップス〉のアリスパックとかベルゲンとか大好きだった、今でも好きだし。グレーのは〈フィネス〉のウールパンツだね。

長谷川:そうだったんですね。そうかだからあれプレッピーぽかったんですかね。テツさんは当時会ったことなかったから、ミステリアスすぎて、岸さんを入り口にしてテツさんを知るっていう(笑)。

岸:そうなんだ、徹くんとは面識なかったんだね。

長谷川:全然ないです。テツさんといえば「エアジョーダンⅠ」のローカットですね。

岸:そうそう、『ポパイ』の企画でね、あのページ良かったね。

長谷川:ですね。「エアジョーダンⅠ」のローカットを見るたびに思い出します。

岸:結構自由にやらせてもらえて、『ポパイ』ってすごいなぁって思った。

長谷川:構成は二人で考えたんでしたよね。あまり覚えていないけど。ローカットは、世界初がテツさんですよね?

岸:いや、ローカットはオリジナルにもあったよ。。

長谷川:えー、知らなかったです。

岸:あるある。

長谷川:先輩さすが、なんでも知ってますね。

「祥伝社『Boon』1993~97年発行のバックナンバー。マニアックなスニーカー特集を制作することでスニーカーの知識を吸収。
稀少なデッドストックから最新サンプルまで取扱い、様々な視点でスニーカーカルチャーを開拓した」(岸)

岸:『ブーン』のおかげだね。青春を捧げたから。

長谷川:大学行かないで?

岸:たまには行ってたよ!

長谷川:(笑)。僕は毎日行ってました。

岸:最初の頃でしょ?

長谷川:いや、最後まで毎日行ってました。最後の方は大学の近所に住んでましたね。そして、そこからアシスタントの仕事に向かうっていう。実家から通うよりも遠かったです(笑)。

岸:そうなんだ。

長谷川:だからあのスニーカー屋で「エアジョーダンⅠ」の復刻買いました。

「『エアジョーダンⅠ』の赤黒は、全然自分には似合わないのだけど、思い入れがある一足。95年ごろ?の復刻」(長谷川)

岸:えっ、どこ?

長谷川:駅前のスニーカー屋ですよ。

岸:あったっけ? あんまり駅使わなかったから。

長谷川:あんなとこで買ったおかげで、去年〈ダブルタップス〉の「MILL」のビジュアルを作れました(笑)。

岸:ふふふ、履かせてたね。

長谷川:紐替えって意外と難しいですよね。

岸:長谷川君は紐替え得意でしょ!?

長谷川:たまたまこれは替えた紐がハマったけど、大抵は変えないです。

岸:ワラビーの紐替えには度肝抜かれました。デザートブーツだったかな? それはともかく、僕はカスタムして履くのも好きです。

長谷川:あれはたまたまそういうことを、アンディ・スペードがしてて、苦し紛れにそれでページを作ったんです。たまたま友達が靴紐ブランドやってたから応援したかったし(笑)。

岸:なるほど。

長谷川:岸さんはカスタム好きですよね。

「普通、スニーカーマニアはオリジナルの状態を尊ぶ傾向にあるが、自分はむしろ積極的にカスタムしたい派。
2008年発売のヴィンテージシリーズ、、『バンダルシュプリーム VNTG』をベースに、スウッシュを取り外しスプレー塗装した後、
接着剤で仮止めして縫い直したもの。アンクルストラップもミシンで縫って自作」(岸)

岸:そうだね。これはバンダルシュプリームのカスタム。

長谷川:バンダルいいですね。こんな色のあるんですね。

岸:スウッシュをペイントして、ベルトを自作した。

長谷川:えー、すごい。

岸:もともとヴィンテージ仕様で発売されてたやつです。その頃、暇だったので。スウッシュ外して色塗ってとか結構大変だった。

長谷川:〈ナイキ〉でなんか作って欲しいですね。裏ダンクって岸さんが作ったんでしょ?

岸:違うよ!

長谷川:あれは名作。スニーカーの歴史を変えましたよね。

岸:あれはたまたま藤原ヒロシさんと一緒に「ナイキジャパン」へ行ったときに、裏ダンクのサンプルを見せてもらって、そのとき一組だけ表と裏の違いが目立たない配色があって、ヒロシさんがそれが良いって。

長谷川:何しに行ったんですか?

岸:なんかの打ち合わせだったかな。

長谷川:その裏ダンクって、何色だったんですか?

岸:ブラック/パープルだと思う。

「表と裏のカラーの違いが分かりづらいサンプルを見た藤原ヒロシさんが『そのままの方が面白い』とアドバイスしたらしい」(岸)

岸:ほとんど一緒(笑)。

長谷川:そういうことこそ、ファッションですからね。

岸:〈ナイキ〉にとっては、藤原ヒロシさんの洗礼だったのかもね(笑)。

「このミシガン大学カラーのようにカレッジリーグの強豪校をイメージした2トーンカラーのナイキダンクがアッパーの配色を逆転したペアで展開された所謂「裏ダンク」」(岸)

岸:ダンクと言えば紺黄でしょ。

長谷川:ですね。

岸:ミシガン大学カラー。

長谷川:ミシガンがやっぱり強かったんですかね。

岸:うん、当時〈ナイキ〉がサポートしていた大学はどこも強かったみたい。

長谷川:この色ってレジー・ミラーを思い出して、なんかいやなんです。

岸:レジー・ミラー懐かしい。当時、『ブーン』でも大人気だったな。

長谷川:でもいい色ですよね。フォース1も最初の復刻はこの色でしたよね。

岸:えっ、本当に! フォース1で紺黄あったっけ?

長谷川:たしか。キャンバスで、、

岸:「エアフォース1キャンバス」ね。あー、キャンバスで紺黄あったね。思い出した!

長谷川:ありましたよね。

岸:最初は良かったんだけど、途中からシューレースのつま先寄りにスウッシュが刺繍されたり、だんだん最初の新鮮さが失われていった。当時はヒップホップカルチャーだったよね。代官山の「デタント」とか。

長谷川:そうですね、「トマフォークチョップ」とか。

「『エアジョーダンⅠ』の青黒は、2000年ごろの最終の復刻。このブルー加減がすごく気に入っている。(長谷川)

岸:「トマホークチョップ」には本当にお世話になりました。

長谷川:当時はいろいろ買えない靴が多くて、2000年以降ですかね。自由に買いやすくなったのは。

岸:そうかもね。

長谷川:ジョーダンの青はそんな時に買えた靴で、今でもずっと好きです。

岸:でも最近はまた買いづらくなってきたよ。

長谷川:そうなんですね。

岸:僕もジョーダンなら青黒がベスト。

長谷川:最初の復刻がいいですよね。その後のは、色も形もなんか好きになれなかったです。

岸:うん、OGでしょ。「エアジョーダンⅠ」と言えば、当時こんなのもありました。

「1985年当時のオリジナルに存在した幻の『エアジョーダンⅠ』をスクープ! ブラック/ゴールドのエナメル仕様とレイカーズカラーの選手モデルを紹介」(岸)

長谷川:エナメル?

岸:そう、エナメルの黒金。

長谷川:持ってるかも。

岸:一度復刻されたんです。

長谷川:エナメルって言えば、フライト89。

「『エア フライト 89』のエナメルバージョン。
ミッドカットがこの世に台頭してきた頃のバスケットボールシューズ。やはりシュータンのロゴデザインが秀逸」(長谷川)

岸:あったね、黒エナメル。

長谷川:あれのエナメルに石をちりばめたやつをLLクールJが履いてて、それに憧れてエナメルのフライト89を買いました(笑)。

岸:LLクールJ!

長谷川:ほとんど履かないまま加水分解して。

岸:もったいない。

長谷川:修理しました。

岸:おっ、ナイス!

長谷川:ミッドソールを交換しました。あと、「エア フライト 89」のベロ裏のロゴは「エアジョーダン Ⅳ」と同じ発想で、ロゴが逆さまについてたんですよね。同じ時期ですから。その頃は、ベロを見せて履くのが流行っていたからかもしれません。

「『ポパイ』のリニューアル1号目でモデルに履かせたのがこの『エアジョーダン Ⅳ』。
プラスチックパーツがたくさん使われていて、おもちゃっぽいところが魅力」(長谷川)

長谷川:ジョーダンはその頃はフライトシリーズだったかもですね。ただ、デルタフォースの頃は、フォースシリーズもジョーダンと同じシリーズだったようですね。

岸:仰る通り、 「エアジョーダン Ⅳ」はシュータンにFlightロゴが入ってました。AJシリーズは基本的に軽量性を追求したフライトと同じコンセプトで開発されてました。ちなみにバークレーはフォース系、ピッペンはアップテンポ系。

「『エアジョーダン Ⅴ』。手前はミッドソールを修理したもの。奥はナンバリング入り」(長谷川)

長谷川:そうでしたね。で、「エアジョーダン Ⅴ」になると逆さまではなく、上下正しく入っています。Ⅴは黒を3足持ってたけど、一足はとっくに壊れて捨てたかな。。で、一つは直して履いていて、一つはまだ健在で23が入っています。

岸:結構頑張りましたって感じだね。

長谷川:そうなんです(笑)。加水分解しても捨てにくいというか。

岸:たしかに。歴史的な資料にするしかないね。

長谷川:ですね。

「『デルタフォース ACスネーク』、1987年製のデッドストック。長谷川君もエアジョーダンをリペアしていましたが、
僕もデルタフォースのボロボロになったシュータンを修理してもらったものの、ライニングのベタつきが発生。もはや観賞用に」(岸)

岸:これもリペアした。

長谷川:フォース2?

岸:いや、「デルタフォース ACスネーク」。

長谷川:へー。

岸:でもインナーがベトベトで履けない。

長谷川:わかります。〈ニューバランス〉ってインナーも直してくれますよね。

岸:そうなんだ。インナーまで直せたら完全復活できるね。

長谷川:「1300」はライニングとアウトソールを直してもらいました。

岸:そんなことできるんだ。

「1995年か2000年発売の『M1300』の復刻版をリペアしたもの。
ヒールのENCAPを模したパーツなど職人の心意気に感動。最終的にはボロボロになってしまいました 涙」(岸)

長谷川:でも直すこと自体そこまでオープンではないんです。状態によるらしいので。

岸:そうだよね。

「手前が『M2000』、奥が『M2001』。
どちらもオッシュマンズのセールにかかっていて、嬉しすぎて即買いしたのが、2011年くらいだったような気が。。
他のモデルよりも大人っぽい雰囲気が気に入っている」(長谷川)

「ともに『M2002』。当時はたしか4万円くらいしていたような記憶が。
2000番代を揃えたくなり、勢いで2色とも購入。
それ以来たまに履いているのだが、ある日、レショップの金子さんが異常に反応してびっくりしたと思ったら、まさかの色違いでお揃い。
今ではなかなかの注目モデルになっている」(長谷川)

長谷川:そしてこれは一部ですが、先輩の影響で僕が買った2000番台です。いつか成功者になったら買いたい。そんなスニーカーがこれでしたね。

岸:2000番台は本当にプレステージって感じだもんね。

長谷川:「M2040」だけは買いませんでしたが。

岸:僕も「M2040」は理解できなかった。

長谷川:〈ニューバランス〉で好きなモデルはありますか?

岸:うーん、一番最近買ったのは「M997SNF」。そういえば、〈ダブルタップス〉の「M992」、すごいことになってるね。

長谷川:15万とか?

岸:そうそう。いくらなんでも。

長谷川:ちなみに「M997SNF」ってどんなのですか?

「『M997SNF』は、踵が大きく張り出したソールユニットのハイテク感に惹かれて」(岸)

岸:このメカニカルなソールが好きなんだよね。同じくソールの近未来的なフォルムに感動したのがこれ。

「メカニカルなデザインと言えば、アルファプロジェクト発のクロストレーニングシューズも飛ばしてました。
写真左の『エア 227』は、24時間のうち22時間を一週間でも履き続けられるシューズをコンセプトに開発された」(岸)

長谷川:この左、247なんとかでしたっけ?

岸:「エア 227(トゥエンティトゥセブン)」 。

長谷川:あーそうだ。俺も白を履いてました。

岸:それと「エアクロストレーナー 3」。

長谷川:ジョーダンみたい。これもティンカー(ハットフィールド)ですか?

岸:そう、ティンカー。さすが、お目が高い。インテリっぽいデザインだよね。

「1999年に発表されたナイキアルファプロジェクトは、ティンカー・ハットフィールドをリーダーにスペシャルチームが先進って取り組む特別企画。
〈ナイキ〉の前衛的なものづくりを手加減なしに具現化したコレクションは圧巻。エア227、エアクロストレーナー3、エアズームサイズミック、エアウーブン……
いずれもエッジの効いたデザインで、個人的に最も好きなエア227などセールス的には大コケだったが、ナイキの本気をまざまざと見せつけられたエポックメイキング」(岸)

岸:エアズームサイズミックとウーブンも。まだまだ紹介してないシューズあるけど、この対談企画、二回に分けますか?

長谷川:そうですね。次回はティンカーの話にしましょうか。

岸:それいいね。またトレーナー祭りになりそうだけど。

長谷川:掘り下げましょう。

STAFF

Direction _Akio Hasegawa
Edit_Ryo Komuta

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