about Polo Ralph Lauren
言わずと知れたアメリカンカジュアルの代表的なブランド。なかでも「The Polo Big collection」は〈ポロ ラルフ ローレン〉の90年代のアイコニックなオーバーサイズデザインからインスピレーションを受けており、オーバーサイズのチノ、オックスフォード、ラグビーシャツ、ポロシャツからなるコレクション。当時のアイコニックなスタイルを維持しながらサイズ感を変更することで、今日のスタイルに当てはまるコレクションとなった。
フイナム:90年代に〈ポロ ラルフ ローレン〉からリリースされたオーバーサイズコレクション、いわゆる“ビッグポロ”の復刻です。
長谷川:うん、これはヤバいね。
フイナム:今回のコレクションは「The Polo Big collection」というのが正式名称みたいです。
長谷川:たしか当時の広告ビジュアルにもそんな文字が書いてあったような。アイテムにも「THE BIG SHIRT」みたいなタグが付いてたはず。
フイナム:なるほど。当時リリースされたものを持ってるわけですね。
長谷川:うん。
フイナム:大きいという意味では一緒ですけど、前に紹介した〈ポロ ラルフ ローレン〉のポロシャツとは違いますよね。
長谷川:そうだね。あれは春にアメリカで買った現行物で、今回の“ビッグポロ”とどう違うのかはまだ検証してないんだけど、多分、あっちの方が横幅が大きくて着丈が短いと思う。ようは身体が大きい人用。こっちはそこまで着丈は短くないと思う。
フイナム:でも大きいですよね。
長谷川:うん。MサイズでXLぐらいの大きさだったんじゃないかな。
長谷川:“ビッグポロ”って、当時日本の「ラルフ ローレン」では売ってなくて、並行輸入をやっているお店で買うしかなかったんだよね。例えば当時の「メイド イン ワールド」とか。
フイナム:「メイド イン ワールド」!
長谷川:で、師匠の喜多尾(祥之)さんが『ポパイ』のスタイリングで使ってたんだけど、そのビジュアルがすごくカッコよかったんだよね。
フイナム:どんな感じだったんですか?
長谷川:たしか当時の広告ビジュアルに近い感じだったと思う。俺はそれに影響されて、この仕事をしたいと思ったんだよね。だから“ビッグポロ”っていうのは俺にとってはすごく大きい存在なんだ。
フイナム:原点みたいなものなんですね。
長谷川:そう。〈ssz〉の加藤さんと一緒に作ってるシャツも、“ビッグポロ”が着たくても、もうないっていうのが始まりだったりするんだ。
フイナム:90年代にこのコレクションがリリースされたときって、何歳ぐらいだったんですか?
長谷川:16~7歳くらいかな。
フイナム:ということは91、2年にリリースされたものってことですよね。
長谷川:うん、そのくらいだね。90年代スタイルの走りはこれなんじゃないかな。
フイナム:というと?
長谷川:いわゆる“90年代のフォルム”っていうものを作ったのがこれだと思う。 その前にヒップホップとかストリートの流れもあったとは思うけどね。特に当時は〈ポロ ラルフ ローレン〉って、アメリカに住む多くの人における、憧れブランドとしての絶対的な存在感があったと思う。そこには黒人も含まれていて、とくにストリートの人たちは、大きいサイズを着ることが当たり前のようなところがあったと思う。そんななか、ジャストなはずのサイズを選んでも、大きく着られるようなグレーディングにしたのがこのシリーズなんだと思う。大きいシルエットが主流だった当時、これはすごくセンセーショナルな出来事だった。大きなサイズを自分で選ばなくても、ブランド側が大きなサイズを提唱したわけだから。
フイナム:このコレクションって、しばらくリリースされてたんですかね?
長谷川:いや、そんなに長くは作られてなかったと思うよ。けど、当時は流行とか情報が伝わっていくスピードが遅かったから、発売になってから1年くらいはザワザワ騒がれていたんじゃないかな。物も手に入りづらかったし。
フイナム:“ビッグポロ”ってファンが多いんですか?
長谷川:どうなんだろうね。けど、当時の並行輸入ものをやっているお店ではすごく盛り上がってたよ。人気があったから、ちょうどいいサイズはすぐになくなってたと思う。ポロシャツでも2XLとかになると、もうワンピースみたいになっちゃっててそれはさすがに着れなかったよね。だから今回ちゃんと自分に合うサイズが買えるってだけでもすごいことだと思う。
フイナム:サイズ以外で好きなところはありますか?
長谷川:裾にロゴマークが入ってるポロシャツがあるんだけど、それがカッコよかったんだよね。
フイナム:うん、いいですよね。他に裾にロゴが入ってるアイテムってあるんでしたっけ?
長谷川:今でも無地のTシャツでそういうのがあるんだよ。胸に付いてるよりも、そのほうがかっこよくて、アメリカに行くとよく買ってる。3枚セットみたいなやつね。
フイナム:ロゴって奥深いですよね。どこに入れるかだけですごく印象が変わるし。
長谷川:そうだね。それまでってタックインして着るのが前提だったと思うんだよね。ジャストサイズで着てタックインすると、ロゴマークが胸のところにくる、みたいな。それがタックアウトして着るとなると、ロゴが裾にあってもいいんじゃない?ってことで裾につけたんじゃないかな。
フイナム:このコレクションは「ラルフ ローレン」のお店では展開がなくて、日本では「ビームス 原宿」だけでの発売になります。
長谷川:みたいだね。
フイナム:元々はアメリカの百貨店の「ノードストローム」で、「ビームス」のポップアップショップを開催するにあたり、アメリカだけで発売する予定だったのが「ビームス」でも販売できることになった、という経緯みたいです。
長谷川:ずっと欲しかったから、本当によかった。
フイナム:このコレクションが発売になることは、前から知ってたんですか?
長谷川:うん。元々は〈ポロ ラルフ ローレン〉の展示会で、こういうのが今度出ますよって聞いてて。それがもう1年くらい前かな。それからずっと欲しいって言い続けてたんだけど、あるとき「ラルフ ローレン」ではなくて、「ビームス」でやることになったんですよって。
フイナム:そうなんですね。
長谷川:それで「ビームス」の松下くんに連絡をしたんだ。入ったら必ず教えてくれって。全部欲しいって(笑)。
フイナム:いいタイミングで撮影させてもらえてよかったです。明後日、11月16日(土)に発売です。
長谷川:うん、ありがたいよね。あと思ったのは、あんまり真面目なアイビーとかプレッピーみたいなのって、いまの気分じゃないんだ、俺はね。だからこのストリートっぽさがある“ビッグポロ”の感じが、いまの自分にはしっくり来るんだよね。