AKIO HASEGAWA. HOUYHNHNM

2019.10.10 Up
Focus on

気になる服とか人とか。

Vol.11
UNIQLO and Engineered Garments
世の中には、いろいろな「普通」が存在する。一見、変わっているようで、実は「普通」なもの。「普通」なようでいて、実はすごく斬新なクリエーションを持つもの。様々なかたちの「普通」を「AH.H」が、ピックアップ。今回は春夏に続いて、〈ユニクロ〉と〈エンジニアド ガーメンツ〉の第二弾。

about UNIQLO and Engineered Garments

ニューヨークを拠点とするファッションブランド〈エンジニアド ガーメンツ〉と〈ユニクロ〉が初めてコラボレーションしたのが2019年5月。あれから5ヶ月。今度はフリースコレクションがリリースされる。〈ユニクロ〉といえばフリース。そのフリースも今年で25周年ということらしい。〈エンジニアド ガーメンツ〉らしいアメリカ的な要素を、LifeWearに落とし込んだ今回のコレクションも話題になりそうだ。

Fleece Combination Jacket

3タイプのフリースとナイロンをバランスよく配置したフリースジャケット。肩や胸まわりに余裕を持たせたオーバーサイズシルエットで、首まわりや肩ヨーク、ひじ当てなどは耐久性があって毛玉にならないナイロンに切り替えられている。さらに首裏は毛足のあるフリースとなっており、高い防寒性を誇る。

〈ユニクロ アンド エンジニアド ガーメンツ〉フリースコンビネーションジャケット SIZE:L ¥3,990+TAX、 〈ユニクロ〉ソフトタッチタートルネックT SIZE:L ¥1,000+TAX、スウェットパンツ SIZE:XL ¥1,990+TAX(すべてユニクロ)、 靴下、スニーカーは私物

フイナム:〈ユニクロ アンド エンジニアド ガーメンツ〉のコラボレーションの第二弾はフリースコレクションです。

長谷川:このフリースジャケットはパッチワークになってて、4種類の生地を組み合わせてるんだよね。

フイナム:そうですね。3種類のフリースとナイロンとを組み合わせてます。

長谷川:これは(〈エンジニアド ガーメンツ〉デザイナーの鈴木)大器さんらしいテクニックだね。

フイナム:たしかにいろんなアイテムに落とし込んでますよね。シューズとか。

長谷川:そうそう。で、いろんな種類の生地をパッチワークしてるんだけど、ぱっと見は地味っていうかそんなに目立たない。でも、実はやってることはまさにクレイジーパターン。

フイナム:地味なのに主張があるっていいですね。なんだか粋な感じがします。

長谷川:〈ユニクロ〉はいろんな人に向けた服を作ってるブランドだから、そんなに過激なことはしないでしょ。でも、そのさじ加減が「普通」を産んでいて、いいなと思う。

フイナム:あからさまなパッチワークではないですよね。

長谷川:そう、それがちょうどいいんだろうなって。今回のコラボレーションのアイテムで、自分で着るならこれかな。

カラーバリエーションはブラック、ベージュ、そしてこのオリーブの3色。

〈ユニクロ アンド エンジニアド ガーメンツ〉フリースコンビネーションジャケット SIZE:L ¥3,990+TAX、 〈ユニクロ〉ワッフルクルーネックT SIZE:XL ¥1,990+TAX、ヴィンテージレギュラーフィットチノ SIZE:91×76 ¥2,990+TAX(すべてユニクロ)、 靴下、スニーカーは私物

長谷川:〈ユニクロ〉のいいところはサイズで遊べることだと思うんだよね。

フイナム:XSから4XLまでありますからね。(XS・XXL・3XL・4XLサイズは、オンラインストア限定)

長谷川:まぁ、その大きいサイズの服を着るっていう提案はブランド発というわけではなく、あくまで俺が勝手にやってるだけの話なんだけど。

フイナム:新鮮なバランスになりますよね。

長谷川:うん。オーバーサイズで作られているアイテムでも、3XLとかにすると自分的にちょうどいい感じになるんだよね。完全に新しいバランスになる。だから、製品が発売されたら、すごく大きいサイズを買ってそれで改めてビジュアルを作ってみたいんだよね。「AH.H」で。

フイナム:なるほど。

長谷川:あと今回のコレクションですごくいいなって思う点がもうひとつ。それはブランドロゴが入ってないこと。

フイナム:すごくプレーンな印象になりますよね。

長谷川:たいていフリースは、どのブランドでもロゴが入ってるじゃない。そもそもロゴありきで作られてるから、デザインのバランスが少し変わってくると思うんだよね。その点ロゴがないと、そういうことを気にしないでいいから、すごくバランスがいいアイテムになるんだよね。収まりがいいというか。

フイナム:ここにロゴを入れたらポケットの位置をちょっとずらそう、とかそういうことですよね。

長谷川:そうそう。あとはジップの引き手に色を入れたりしたら、どこかでその色を拾ったりとかするじゃない。

フイナム:はい。

長谷川:今回のアイテムのデザインってけっこう完成されてるから、どこかにブランドロゴを入れるとなると、けっこう難しいと思うよ。

フイナム:確かに。

長谷川:この「フリースコンビネーションジャケット」みたいなアウトドアっぽいアイテムで、ロゴなしってほかにはないと思う。ミリタリーものをみんなが着てるのってどこかそういう理由もあると思うんだよね。

フイナム:確かに軍モノにはロゴはないですからね。

長谷川:でしょ。まぁ色の珍しさもあるかもしれないけどね。

Fleece Pullover

軽くて暖かく、肌触りが気持ち良いファーリーフリースを使用したプルオーバー。アウターとしてもミッドレイヤーとしても使えるフィット感で、左肩にはスナップボタンが付いているのでラクに着脱が可能。

〈ユニクロ アンド エンジニアド ガーメンツ〉フリースプルオーバー SIZE:L ¥1,990+TAX、〈ユニクロ〉ソフトタッチタートルネックT SIZE:L ¥1,000+TAX、 ヒートテックウォームイージーパンツ SIZE:L ¥3,990+TAX(すべてユニクロ) 、スニーカーは私物

長谷川:今回のコレクションは大器さんが持ってるクリエーションと、〈ユニクロ〉のプレーンさが混ざりあっていて、すごくバランスが取れていると思う。その上で〈ユニクロ〉の特徴のひとつでもあるサイズレンジの広さでスタイリングに幅をもたせることで、〈エンジニアド ガーメンツ〉でもなく〈ユニクロ〉でもないところにいけるんだよね。

フイナム:というと?

長谷川:〈ユニクロ〉って服というよりもプロダクトという印象が強いと思うんだよね。変に色が付いてないというか。だから、自分らしく着ることができるというか、自分の個性にアジャストさせながら着ることができるんだよね。

フイナム:長谷川さんはよく「なんでもない服がいい」って言ってますけど、それに近いんですかね。

長谷川:そうだね。まず、見た目はとにかく“普通”な方がいいよね。あと、多くの人が服にお金をかけるということを、できるだけなくしたいって思ってると思うんだよね。暮らしていくことでいろいろお金がかかるし。

フイナム:はい。

長谷川:そういう意味では、価格面で〈ユニクロ〉はまず優れてるよね。さらにサイズのバリエーションも揃っている。この二つがあるブランドって他にそうそうないからさ。

フイナム:確かに。

長谷川:やっぱりどうしてもデザインしすぎてるブランドが多いし、そうなると値段も高くなるわけで。そうするとこっちでアジャストできないんだよね。なんていうか服の着方も決まってくるし、着る人のキャラクターも似たような感じになると思うんだよね。

フイナム:その点〈ユニクロ〉はいろんな着方ができますね。

長谷川:そうだね。そこに大器さんのエッセンスがちょうどよく入ってるのが今回のコレクションだと思う。大器さんは昔からすごく好きなデザイナーなんだ。

Fleece Collarless Coat

アウターとして使えるしっかりとした素材感に、ミリタリーウェアからインスパイアされたディテールをプラスしてデザイン性がアップしたノーカラーコート。フロントにファスナーとボタンの2つを使い、自由にシルエットの調節ができる仕様に。表面はなめらかなマイクロフリース、裏面はふわふわのボアフリースの2枚を貼り合わせた素材を使用している。

〈ユニクロ アンド エンジニアド ガーメンツ〉フリースノーカラーコート SIZE:L ¥4,990+TAX、〈ユニクロ〉スウェットフルジップパーカ SIZE:L ¥2,990+TAX、 ワッフルクルーネックT(重ね着の下) SIZE:XL ¥1,990+TAX、スウェットパンツ SIZE:L ¥1,990+TAX、〈ユニクロ ユー〉クルーネックT(重ね着の上) SIZE:XL ¥1,990+TAX(すべてユニクロ)、靴下、スニーカーは私物

フイナム:このノーカラーコート、すごくオシャレだなって思いました。

長谷川:そうだね。

フイナム:ところで今回のスタイリングって、基本的にワントーンで作ってますよね。なんか最近の〈ユニクロ〉の服って、色味がすごくかわいい気がするんです。

長谷川:そうかもね。ここのところの〈ユニクロ〉は、コヨーテとか、モスグリーン、あとはレンガとか枯葉っぽい色みたいに、アースカラーっぽい色が多いような気がする。

フイナム:〈ユニクロ ユー〉とかとくにすごくいいなって思います。

長谷川:いいよね。

フイナム:あと、フォルム、シルエットはすごく大事ですよね。長谷川さんのスタイリングって、普通の服を着てるのにすごくよく見えるのはなんでなんですかね?

長谷川:わかんない。モデルの子がかっこいいんだよ。

Fleece Shawl Collar Jacket

ニットのようなざっくりした表情を持つフリースを使用した、リラックス感のあるジャケット。ポケット口と裏に補強用の別布を当てることで、フリースでもしっかりとした仕立てに。また、肩、アームホール、身頃切り替え、前見返しは3本針ステッチにすることで縫い代がすっきり見える。カーディガンとしても使える便利な1着。

〈ユニクロ アンド エンジニアド ガーメンツ〉フリースショールカラージャケット SIZE:XL ¥4,990+TAX、 〈ユニクロ〉プレミアムラムタートルネックセーター SIZE:L ¥2,990+TAX、スウェットパンツ SIZE:XL ¥1,990+TAX(すべてユニクロ)、靴下、スニーカーは私物

フイナム:最後はショールカラージャケットです。

長谷川:これはすごく大器さんっぽいアイテムだよね。

フイナム:確かに。

長谷川:実はサイドに大きめのポケットが二つ並列して付いてるんだよね。

フイナム:そのへんもちょっと〈エンジニアド ガーメンツ〉っぽいですね。このジャケットはどういう風に合わせたらいいですか?

長谷川:例えばこれにベージュのチノパンを履いて、黒い革靴にシャンブレーシャツにニットタイとか?

フイナム:あぁ、そういうスタイル思い浮かびます。

長谷川:まぁ、でも、なんでもいいと思うけどね。あまり堅苦しいのもなんだし。

フイナム:そうですね。

長谷川:“普通”っていう概念とか根拠って、人によって違うじゃない。けど、やっぱり服における本当のスタンダードっていうのは確かにあるんだよね。だからそういうことをちゃんと形にしていきたい。こないださ、ロケハンの合間に〈ユニクロ〉のお店に行ったの。

フイナム:はい。

長谷川:で、みんなであーでもないこーでもない、って話しながらいろいろ着てみたりしたんだけどさ。お店にはXLまでしかないんだけど、このアイテムならXLがいいなとか、こっちはWEBでXXLを買おうとか。そういうことをお店でできるのは、なんか楽しいなって思った。そうやって自分にアジャストさせていける喜びがあるんだよね。なかなかそういうことってできないからさ。

フイナム:確かに。そういうことのなかから、自分のスタイルが見つかるかもしれないですしね。

長谷川:そうそう。色々着てみるのがいいなって思う。

10月11日(金)発売開始

STAFF

Direction&Styling_Akio Hasegawa
Photo_Seishi Shirakawa
Hair_Kenichi Yaguchi
Edit_Ryo Komuta

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