AKIO HASEGAWA. HOUYHNHNM

2020.5.21 Up
CROSS TALK

長谷川昭雄 × 南貴之

Talk05(後編)
ファッションディレクター、スタイリストの長谷川昭雄が、〈グラフペーパー〉、〈フレッシュサービス〉、「ヒビヤ セントラル マーケット」などを仕掛けるクリエイティブディレクターの南貴之と、「普通」に関してのトークを繰り広げるレギュラー対談企画。「普通」に対して思い入れの深い2人による、普通なようで普通じゃないファッション談義。今回はこんなご時世なので、ZOOMで対談。全然フツーにできました。

PROFILE

南貴之

〈グラフペーパー(Graphpaper)〉、〈フレッシュサービス(FreshService)〉、「ヒビヤ セントラル マーケット」など、様々なブランド、ショップを手がけ、ファッション、カルチャーにまつわるあらゆる領域を手がけるクリエイティブディレクター。「alpha.co.ltd」代表。

長谷川昭雄

ファッションディレクター、スタイリスト。様々な媒体、広告のディレクションを手がけるなか、英国の雑誌『モノクル(MONOCLE)』では創刊よりファッションページの基礎を構築。2015年にはファッションディレクターに。2012年より2018年秋までは『ポパイ』のファッションディレクターを務めた。

松田共司

私物

南:じゃあいこうかな。まずやちむんね。普段は外食が多いんだけど、最近は家にいることが多いし、家でごはんつくって食べたりすることも増えたからね。

長谷川:うんうん。

南:で、今までいろんな作家さんのを使ってきたし、使ってるんだけど、なんだかんだで民藝のものが一番しっくりくるというか。普段使いってなると、やっぱりそうなんだよね。

長谷川:あぁ、なるほどね。

南:前に沖縄に行ったときに結構買ったんだよね。柄もいいんだけど、素朴な感じが和食に合うというか。結局、俺はご飯が好きだし。

長谷川:雰囲気がいいよね、やちむんは。

南:そう。価格もそんなに高くないし、ついつい手に取っちゃう器だよなーって。民藝のって好きな窯元が多いんだけど、最近はやちむん使うことが多いなぁ。これは、松田共司さんのやつなんだよね。

長谷川:あ、俺も持ってる、共司さんの!

南:すごい好きなのよ、この人のが。

長谷川:うんうん、いいよね。

南:いろいろ置いてあるなかで、パッと手に取るのが松田さんのでさ。

長谷川:俺もラーメンどんぶりかなにかを買ったな。

南:俺も買った(笑)。いいんだよね、これで食べるのサッポロ一番とかさ。

長谷川:なんかゴツゴツしてて、しっくりくるんだよね。

南:ごはんが美味しく見えるっていうかさ。

長谷川:近所にやちむん専門店があってさ。「おかず横丁」っていうところにある米屋さんだったところで、土日だけやちむんを売ってるのね。

南:やばいね、それ。

長谷川:やちむんだけ売ってるのって変わってるなって思って。けど、沖縄のものなんだけど、なんかしっくりくるよね。

南:そうなのよ。

長谷川:なんなんだろうね。違和感を感じないっていうか。

南:実は何年か前まではあんまり好きじゃなかったんだけど、歳とったせいなのか、最近はいいなぁって思うようになって。読谷とかにも行って、作家さんのアトリエに押しかけたりもしたし。やっぱり自分が使う器とかは結構好きでいろいろ見るんだけど、最近はやちむんが多いっていう話です。

ARNE JACOBSEN

私物

南:次は「アルネ・ヤコブセン」。「シリンダライン」っていうステンレスのシリーズがあって。いっぱい種類があるんだけど、これは灰皿。クルンと回すと、灰が下に落ちるっていう素晴らしい構造なのよ。

長谷川:へぇ。

南:これ、灰皿のなかで一番機能的で美しいと思ってるんだよね。

長谷川:上に丸いのが乗ってるってことか。

南:そうそう。ヤコブセンは椅子とかいろいろ作ってるけど、俺は「シリンダライン」が好きなんだよね。ほかにもお酒飲むセットとかあってさ。

長谷川:いいね、それ。

南:でしょ。氷を入れるやつとか色々持ってるんだよね。

長谷川:お酒セットいいな。

南:全部同じ素材でできてるシリーズで。

長谷川:現行であるの?

南:うん、現行でも出てる。俺が持ってるのはちょっと前のだと思うんだけど。

長谷川:こういうのがあると、家で飲んでても楽しそうだよね。家で飲むのもだんだん飽きてくるしさ(笑)。

POET MEETS DUBWISE

〈ポエト ミーツ ダブワイズ〉キャップ ¥5,400+TAX(グラフペーパー 青山)

南:次は“沈黙詩人”って書いてある帽子。

長谷川:インスタか何かで見たかも。かわいいね。

南:下田(法晴)さんっているじゃない。サイレントポエツの。その下田さんが〈ポエト ミーツ ダブワイズ(POET MEETS DUBWISE)〉っていう名前でグッズを作ってて。

長谷川:あぁ、そういうことなんだ。

南:これがすごいかっこいいのよ。グラフィックも全部下田さんがやってて。実は昔っから好きでさ。で、たまたまよく行くコーヒー屋さん「リトルナップ」に行ったら、SILENT POETSの展示会って書いてあって。それで、お店の子を知ってたので、無理言って中に入れてもらったの。

長谷川:そうなんだ。かっこいいね。

南:でしょ? 漢字っていうのがまた超いいなって思って。Tシャツとかもかっこいいのよ。

長谷川:へぇ、いいね。

南:ありもののキャップのボディに、こうやってグラフィックが入ってるのが良くて。これは〈フレッシュサービス〉でも使ってるやつなんだよね。普通でいいなって。

長谷川:これてっきり南くんが作ってるんだと思ってた。

南:違う違う(笑)。今、下田さんに他のも色々お願いしてるんだよね。

長谷川:いくらくらいなの?

南:けっこう安いよ。5000円とかそれくらいじゃないかな。

WEEKEND

〈ウィークエンド〉シャンブレーシャツ¥20,000+TAX(フレッシュサービース ヘッドクオーターズ)※6月13日(土)発売

南:これは「WEEKEND」っていう金子さんたちがやってる、なんかいろいろ売ってるユニットのシャツ。(注:「レショップ」バイヤーの金子恵治、〈ヘリル〉デザイナー大島裕幸、「にしのや」ディレクターの西野大士が立ち上げた休日に行うフリーマーケット)

長谷川:うんうん。

南:で、けっこうでかいサイズのシャンブレーです。俺も着られるくらいの。

長谷川:これはオリジナルで作ったってことなの?

南:そうだと思う。「WEEKEND」っていうネームがついてるから。

長谷川:あ、そうなんだ。

南:そうそう。アメリカのシャンブレーシャツを結構忠実に再現してるんだよね。ボタンホールのところにペン入れがあったり、前たての作り方とか、「ザ・シャンブレー」っていう感じなんだけど、すごくでかいっていう。

長谷川:うん、こういうの意外とないよね。

南:そうなのよ。やられたって思って。

長谷川:ボタンってどういうの使ってるの?

南:ん? 普通の貝ボタンだよ。

長谷川:そっか。俺もデカいの探したことあるんだけど、全然ないんだよね。〈ラルフローレン〉が昔やってたぐらいだと思う。

南:生地も、厚すぎず薄すぎずで、ちょうどいいんだよね。

長谷川:これは(ヘリルの)大島さんが作ってるのかな?

南:いや、多分あの3人で企画して、重松くん(アンシングス代表)が作ってるんじゃないかな。

長谷川:あぁ、そうなんだ。あそこで〈DAIWA PIER39〉とかもやってるよね。

南:そうそう。金子さんたちといろいろやってて、あとは「INVENTORY」っていうのも始めるし。

長谷川:それはなんなの?

南:個人で立って物を売ろうっていうモール。前々からそういう話はあってさ。

長谷川:いろんなことを思いつくよね。

南:まぁみんなで話して考えてるんじゃない?

REVERBERATE

私物

南:このズボン、自分ですごい穿いてるやつなんだけどさ(笑)。丈が短くて、めっちゃ太いズボン。ウエストはゴムで絞るだけで、めちゃくちゃ普通のズボンなんだけど、形が絶妙で。

長谷川:うん、太いね。

南:作ってるのが、すごい若い子で自分でパターン引いて、自分で縫ってるっていう変わり者でさ。イギリスにずっといたみたいで、ヴィヴィアンの息子さんのブランド(ア・チャイルド・オブ・ザ・ジャゴー)で縫い子したり、パターン引いたりしてたみたい。

長谷川:へぇ。

南:で、ちょっと前に日本に帰ってきて。ネームもロシアンアバンギャルドみたいな感じで。これなんて読むんだっけな、、〈リバーバレイト(REVERBERATE) 〉だって。展示会でこれを見て、今すぐ穿きたいんだけどって、無理言って作ってもらったの。

長谷川:その場で縫ってくれたの?

南:いや、さすがにその場ではないよ(笑)。で、このパンツのなにがいいいって、股上も深いんだけど、とにかくこの絶妙なフォルムなんだよね。

長谷川:生地はなんなの?

南:コットン。ちょっと光沢があるから、ウエポン(ウエスト・ポイント)かな。今、秋冬用にウールバージョンも作ってもらってて。

長谷川:あぁいいね。

南:アメリカの簡単なズボンってあるじゃない。作業着みたいな。あれをよくした感じっていうか(笑)。このパンツすごくいいので、今度穿いてみて。最近だとすごく推しのパンツです。

長谷川:うん、穿いてみたい。

南:このロゴ、ロシアンアバンギャルドとバウハウスの影響もあるみたい。ちょっと怪しい感じはあるよね。

長谷川:ね。怪しいよね(笑)。

南:けど、これすごい縫製うまいのよ。アトリエで自分でやってて、この生地で作ってよみたいなことにも対応してくれるし。作ってるのは星くんって子で。面白いんだよね、熱くてさ。なんか「AH.H」で別注してもいいかもね。

長谷川:いいね。けど、イギリスにいたひとがこんな感じのラフなのを作るんだね。

南:本当だよね(笑)。

長谷川:ゴムパンとかイギリスの人、嫌そうじゃん(笑)。

南:とにかくすごい気に入ってて。ずっとこの対談に出したかったんだよね。ちなみにベージュも持ってます。

MONOCLE

私物

南:これは〈モノクル〉のヒノキの香水なんだけど。

長谷川:あぁ、あるね。

南:今まではイタリアの、あのポプリのさ、、どこだっけ?

長谷川:〈サンタ・マリア・ノヴェッラ〉ね。

南:そうそう。そのへんが好きだったんだけど。

長谷川:タイラー(タイラー・ブリュレ『Monocle』編集長)も喜ぶだろうな、こんな風に紹介されたら。

南:そう? これはヒノキの香りっていうのがいいんだよね。もっと超ヒノキだったらいいんだけど。

長谷川:なんかハンドソープもあった気がするなぁ。

南:何が言いたいかっていうと、とにかくヒノキなんだよね。日本人にとってのヒノキに、普通を感じてしまって。お風呂とかもヒノキの匂いって落ち着くなーって。

長谷川:うん、わかるわかる。

南:温泉とか行って泉質があんまりよくなくても、ヒノキだったらそれだけでいいっていうか。一番携帯しやすいヒノキの代表格としてこれを持ってきました。これはだいぶ前から売ってるんじゃないかな。

長谷川:そうだね。〈モノクル〉のお店が始まった頃から売ってる気がする。

南:けど、意外とヒノキの香水ってない気がするんだよね。俺が知らないだけかな。とにかく落ち着くんだよね。人に嗅がせるっていうか、自分が気持ちいいっていう。リラックスできる。

長谷川:あそっか、これ〈コム デ ギャルソン〉なんだよね。

南:そうそう。とにかくヒノキの匂いを嗅ぎたいっていう。

長谷川:落ち着くよね。

南:なんなんだろうね。日本人だからなのかな。海外の人もそう思うのかな。

長谷川:タイラーがこれを選んでるわけでしょ。彼は日本がものすごく好きだからさ。ヒノキの匂いに日本を感じたんじゃない。

南:そうかもね。付けなくてもたまに嗅いでるときあるからね。ちょっとやばい人だよね(笑)。

INFORMATION

グラフペーパー青山 03-6418-9402
フレッシュサービス ヘッドクオーターズ 03-5775-4755

STAFF

Direction_Akio Hasegawa
Edit_Ryo Komuta

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