AKIO HASEGAWA. HOUYHNHNM

2020.1.9 Up
Basic of United Kingdom

英国の普通。

01ガンジーセーターとスニーカー、あと紅茶。
日本には日本の普通があるように、英国にはきっと英国の普通がある。サヴィルロウ、007、フーリガン、そういったワードだけは頭に入っているけど、知りたいのはもっと普通の話。そこで〈C.E〉のディレクターのトビーさんに英国における普通について聞いてみた。

PROFILE

長谷川昭雄

ファッションディレクター、スタイリスト。様々な媒体、広告のディレクションを手がける。英国の雑誌『モノクル(MONOCLE)』では創刊よりファッションページの基礎を構築。2015年にファッションディレクターに就任。2012年より2018年秋まで『ポパイ』のファッションディレクターを務めた。

トビー・フェルトウェル

イギリス・ベッドフォード出身。1996年より音楽レーベル、Mo’Waxに勤務。 XLレコーディング内にレーベルを立ち上げ、ディジー・ラスカルと契約を結ぶ。ロンドンでの弁護士事務所勤務を経て、2005年に事務弁護士資格を取得。 2011年、スケートシング氏、菱山氏とともに洋服ブランド〈C.E〉を設立。

about GUERNSEY SWEATER

フイナム:コットンキャバのトレンチコートやミリタリークロスのモッズパーカなど、英国的な冬服ってなんだか寒そうですよね?

長谷川:イギリスの服って、目の詰まった物が多いよね。高密度のシャツとかベンタイルとか、セーターとかも。で、それを重ね着している印象があるなぁ。トビーさん、どうでしょうか?

トビー:そうですね。(着用しているガンジーセーターを指して)これは温かいですよ。

フイナム:いわゆるガンジーセーターですか?

トビー:そう、僕は若い頃からスウェットよりニットが好きで、よくガンジーセーターを着ていました。

フイナム:イギリスにおける普通のアイテムですか?

トビー:若い人で着ている人は少ないのかもしれないですが、馴染みあるアイテムだと思います。

長谷川:カシミヤの方が柔らかいし、ゴワゴワしませんか?

トビー:うん、昔はそれがイヤだったんですけど、すぐ慣れますよ。カシミアのセーターを買うこともありますが、そんなに長持ちしないですよね。

長谷川:カシミヤに比べたら、たしかに頑丈そうですね。

トビー:そう、タフだから気に入ってます。

「カシミアとかウールとかって、天然素材なのに機能素材でもあるってすごいと思わない?」と長谷川さん。僕もそう思う。最新鋭のテックウェアもいいけど、見た目は普通なのに機能を発揮する服に惹かれる。このガンジーセーターもそう。イギリスとフランスの間に位置するガンジー島に古くから伝わる製法で作られたこのセーターは、防寒性、耐水性、防風性、防汚性など、ウールの特性を生かした様々な機能を備える。ウール大国、イギリスの知恵が詰まった天然由来のテックウェア。〈ル トリコチュール〉ビッグガンジーセーター SIZE:50 ¥22,800+TAX (ビショップ)

about BUILDER’S TEA

長谷川:やっぱり紅茶を飲む人が多いですよね。ロンドンの撮影スタジオに行ったときにイギリス人スタッフたちはみんな、ティーバッグを入れたソーサー付きのカップを両手で持ちながら立ち話をしていたのを覚えています。

トビー:そうですね。でも若い人はコーヒーの方が多いかもしれません。

長谷川:スターバックスの紅茶版みたいなテイクアウトもあるんですか?

トビー:昔はあったみたいですけど、今はどうなんでしょう。サンドイッチショップで、紅茶をテイクアウェイすることはありますが。

長谷川:持ち歩きするにはティーバッグが邪魔ですよね。ずっと入れておくわけにはいかないし。

トビー:それは人によりますね。ティーバッグを入れっぱなしにする"ビルダーズティー"というスタイルもあります。

長谷川:へー。 "ビルダー"は"労働者"という意味ですか?

トビー:そう。ビルダーが休憩に飲む紅茶という意味です。

フイナム:なるほど。庶民の味ということですね。

(カップの底が見えないぐらい)濃いめに淹れた紅茶にミルクと砂糖をたっぷり入れるのが正統派ビルダーズティー。テイクアウトの紅茶で試す場合、蒸らし時間を考慮して、熱々のお湯をリクエストするべし。ちなみに、イギリスでは〈メイク・マイン・ア・ビルダーズ〉というメーカーからビルダーズティー専用ティーバッグまで販売されている。

about DENIM PANTS デニムって、案外難しい。それは色落ちとともにマッチするアイテムが変わるから。そこをひっくるめて楽しめればいいんだろうけど、外出をためらうほど中途半端な色落ちの時期もある。逆に良い時期というと、ワンウォッシュかアイスブルー。なかでも「アイスブルーは結構なんでも合うんだよね」と長谷川さんは言う。この〈セブン バイ セブン〉のデニムは、いい感じにブルーが抜けた理想的な色合い。これがヴィンテージだと生地が痩せてしまって秋冬にはなんとも心もとないが、これは20オンス超のヘビーオンス。目の詰まった服を愛するイギリス人もきっと納得するクオリティ。〈セブン バイ セブン〉アイスブルーのヘビーオンスデニム ¥48,000+TAX(レショップ)

about SNEAKER

フイナム:イギリスとアメリカでは人気のスニーカーが違いますよね。

トビー:イギリスにはバスケットボールの文化があまりないので、「エア フォース1」みたいなバスケットボールシューズの人気はないですね。

長谷川:「エア マックス」を履いているイメージがあります。

トビー:イギリスではスニーカーのことを“トレーナー”と呼びます。イギリスで人気のトレーナーというと、「エア マックス」みたいなランニングシューズということになるのかもしれません。

フイナム:あと「リーボック クラシック」も多くないですか?

トビー:はい。ステレオタイプのストリートシューズですね。

長谷川:なんであれ、皆好きなんでしょうか?

トビー:値段が高くなくて、どこでも手に入るからじゃないですか。

長谷川:〈アディダス〉も人気ありますよね?

トビー:〈アディダス〉を履いているのは、リバプールやマンチェスターなどイギリス北部のカジュアルズ(フットボールファン)のイメージがあります。

フイナム:ロンドンではあまり見かけませんか?

トビー:ライバルチームのファンと同じものを履きたくないという心理から、ロンドンでは〈リーボック〉や〈ナイキ〉に落ち着くんじゃないですか。

〈リーボック〉の「ワークアウト」は、フィットネス向けに開発されたシューズ。高い耐久性とグリップ力を備えたこのスニーカーをスケーターが放っておくわけはなく、90年代からカリーム・キャンベルやスティービー・ウィリアムズといった鼻の利いた面々が愛用。特にユーロ圏で支持は高く、近年でも〈パレス〉や〈オイ・ポロイ〉が、コラボレーションモデルを発表した。スニーカー「ワークアウト プラス」 ¥12,000+TAX(リーボック アディダスグループお客様窓口)

about OILED JACKET

フイナム:オイルドジャケットみたいな英国的なクラシックアイテムを実際に着ている人はいるんですか?

トビー:いますよ。僕のお父さんとか(笑)。田舎の人は普通に着ています。

フイナム:どちらかというと、ファッションアイテムではないということですか?

トビー:いや、カジュアルズが着ていたこともあり、ファッションアイテムとしても認知されています。

フイナム:そうなんですね。

トビー:イタリアでイギリス的なウェアとして、一時期〈バブアー〉のオイルドジャケットがお洒落なアイテムになったんですよ。その影響でイギリスのカジュアルズたちがファッションとして着ていました。

長谷川:イギリス人のなかには、イタリア好きが多いんですか?

トビー:それはあると思います。イタリア人もイギリスが気になるんじゃないですか。

長谷川:それはサッカーがリンクしているんですか?

トビー:そういった部分もありますし、テーラリングの世界でもお互いを意識し合っているところがあると思います。

長谷川:そうなんですね。

アレクシスが着ているのは、長谷川さんがドイツの古着屋で手に入れたオイルドジャケット。 〈グリーン フィールド(GREEN FIELD)〉という謎メーカーのもので、サイズはXXXL。コーデュロイの襟、大ぶりのポケット、 チェックの裏地とオイルドジャケットのアイコニックなディテールを拾いつつも、表地の色合いのせいかワークジャケットのような佇まいに。

INFORMATION

ビショップ 03-5775-3266
レショップ 03-5413-4714
リーボック アディダスお客様窓口 0570-033-033

STAFF

Direction&Stylingt_Akio Hasegawa
Photo_Seishi Shirakawa
Hair_Kenichi Yaguchi
Text_Shigeru Nakagawa
Edit_Ryo Komuta

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